3.5.15 富士川河口断層帯の重点的な調査観測

 富士川河口断層帯は,日本列島の陸域では最大クラスの平均変位速度が明らかにされている大規模な断層帯である.伊豆衝突帯の西縁に位置し,フィリピン海プレートのプレート境界断層の陸上延長に相当する.このことから,本断層帯は陸上の活断層としての重要性のみならず,南海トラフで発生する海溝型地震の長期評価にも影響を与える.さらに,本断層帯は人口稠密域かつ大規模経済圏を繋ぐ動脈上に位置していることから,本断層帯から発生する地震像を明らかにしていくことは社会的にも重要な課題である.この様な背景に基づき,平成29年度から3ヶ年で,構造探査に基づく震源断層システムの解明・活断層システムの分布・形状と活動性・地震活動から見たプレート構造・史料地震調査・強震動予測・地域研究会をサブテーマとする調査研究を開始した.2019年は,本プロジェクトの最終年度であり,駿河湾横断地殻構造探査の解析を続け,プレート境界断層としての富士川河口断層帯の特徴が明らかになった.また,陸域では浅層反射法地震探査とボーリング・トレンチ調査により,沈み込み帯の先端部で特徴的なスラストの伏臥状構造や前面の断層の通過位置・活動特性を明らかにすることができた.