3.5.17 歴史地震に関する研究

 2017年度より地震研究所と史料編纂所との連携研究機構として「地震火山史料連携研究機構」が設置され,地震予知研究センターからも教員・研究員が参画している.同連携研究機構では,東京大学デジタルアーカイブズ構築事業の一環として「日記史料有感地震データベース」を構築しており,2018年度から試作版を公開するとともに,順次データを追加している.また,いくつかの地点での有感地震の時空間分布の分析を行なった.また,「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の一環として,地震関連史料データベースの構築を進めている.

 1854年安政南海地震による家屋被害を詳細に分析し,地震史料の正確な解釈のための方法を提示した.1830年文政京都地震,1854年伊賀上野地震について史料の記述と震度の距離減衰式から別々に求められた震度分布の比較から震源のより精度ある推定を試みた.市民参加型の翻刻作業,翻刻テキストのテキストマイニングや,歴史地名データの活用など,人文情報学分野の知見を歴史地震研究に応用するための基礎的な検討をおこなった.