3.12.6 巨大地震・津波の研究

津波データや測地データ,地震データを用いて,世界の巨大地震の断層運動の詳細や津波の発生過程について調査している.1960年チリ地震,2018年アラスカ沖地震などについて,主に津波データから断層面上のすべり分布の推定を行った.得られたすべり分布から,断層パラメータに関するスケーリング則の検討を行った.インドネシアや地中海における津波観測点の最適化配置の推定をおこなった.

沖合で記録された津波観測波形のデータ同化による津波予測手法について研究を行っている.2009年にニュージーランド沖で発生した地震,2015年鳥島近海地震やチリ・イヤペル地震について海底水圧計を用いたデータ同化の実証や,少数の観測データの補間によるデータ同化手法の開発を行った.

北海道・東北地方を中心とする日本海東縁部で津波の発生が予測される断層モデルを抽出し,様々なパラメータに基づいたシナリオ型津波シミュレーションを行った. 2015年に鳥島近海で発生した火山性津波地震が,海底カルデラ内部で大きな隆起現象を伴っていたことを示した.さらに,2009年,2017年にケルマデック諸島で発生した火山性津波地震についても,その発生機構を調べている.