担当教員 | 森田裕一(教授,併任),篠原雅尚(教授,併任),酒井慎一(准教授,併任) |
技術職員 | 阿部英二,安藤美和子,藤田親亮,池澤賢志,増田正孝,宮川幸治,西本太郎,佐伯綾香,芹澤正人,田中伸一,八木健夫,渡辺篤志,辻浩(小諸地震火山観測所),大塚宏徳(2019年8月31日に転出) |
平成22年4月の地震研究所改組に伴い,これまで個々の研究室に配属されていた技術職員のうち,主としてフィールドで観測研究の支援にあたる技術職員を総合観測室に集め,技術者集団として組織的な観測支援に対応して研究所全体の観測研究をより高度化することを目的に体制を変革した.総合観測室では,従来から行ってきた観測開発基盤センターが管理している地震・地殻変動・火山・強震・電磁気の観測所及び観測網の保守及びデータ管理,データ処理や本センター所有の観測機材の維持・管理に加え,所内の他のセンターや部門の実施する観測研究の支援をおこなうようになった.更に,本研究所が「地震・火山科学の共同利用・共同研究拠点」として,この研究分野における全国の大学・研究機関の中枢として果たすべき重要な機能のひとつである全国の大学・研究機関による地震,火山の合同観測やそれに利用する観測機材の貸し出しやその管理・維持を行っている.
観測網や観測所の維持・管理の業務は,平成23-24年度に多くの技術職員が退職を迎えたが,順調に現世代の職員への引き継ぎ作業が行われ,現在に至っている.更に,これまで研究室ごとに観測機材を管理していた非効率なシステムの改善を目指して全所的に観測機材を管理できるシステムの構築を目指した「観測管理データベース」の構築や,全国の大学で地震データを共有する仕組みを支援する「データ流通・収集・処理」の高度化を目指した作業部会を,技術職員が立ち上げ,業務改善に向けて自主的に励んでいる.
今後は,新たな研究の方向を見据えて,既存観測所や観測網の整理・再構築を行い,学術の進展に従い,より柔軟な技術支援を実現できる体制を目指す必要がある.一方で,現状においても,業務量が年々増加の一途をたどり,支援業務は概ね順調に行われているものの,技術職員の業務過多が深刻化しつつある.研究所の将来のサイエンスプランに連動し,研究支援業務の内容・量を大幅に見直す時期に来ている.
主要な活動:
(1)陸域における地震/地殻変動観測研究の支援
- 各観測所の庁舎維持管理
- 各観測所データシステムの保守・記録の整理・保管
- 定常地震及び地殻変動観測点の保守
- 各観測所の地震・地殻変動データの収集状況及び機器動作状況の確認
- 定常地震観測点・地殻変動観測点におけるデータ品質管理・処理
- データ流通/収集/監視に必要なサーバ等の構築や保守
- 地殻変動のデータ監視用のWEBサーバの構築と保守
- 地殻変動データの一次処理と共同研究利用者への提供
- 四国南西部,九州東部における広帯域地震観測点の保守・データ監視
- 四国西部における制御震源地殻構造探査における観測支援
- 山形県沖の地震の余震観測支援
- 島根県西部の地震の余震観測支援
- 北海道胆振東部地震の余震観測支援
- 茨城県及び福島県域のオンライン・オフライン稠密臨時観測支援
- 四国南西部・九州東部における広帯域地震観測支援
(2)海域観測研究の支援
- 自己浮上式海底地震計・圧力計の組立・整備
- 自己浮上式海底地震計の機材整備
- 海底電位差磁力計の整備
- 釜石海底地震計・津波計観測施設の維持・管理(被災による緊急対応を含む)
- 日本海海底地震観測所の維持・管理
- 宮城沖、三陸沖での自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- 熊野灘での自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- 日本海での自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- 日向灘、南西諸島沖での自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- 沖縄トラフでの自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- トカラ、種子島近海での自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- 根室十勝沖での自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測への支援
(3) 火山観測研究の支援
- 浅間山,伊豆大島,霧島山観測所の維持・管理
- 火山定常観測網(浅間山,伊豆大島,富士山,霧島山)の維持・管理及びデータ処理
- メタル回線を使用している各観測点の光回線への切り替えに向けた準備
- 三宅島・伊豆大島におけるMT探査支援
- 無人機による火山観測支援
- 三宅島における臨時観測支援
- 霧島山(硫黄山)噴火の現地調査
- 桜島における火山体構造探査支援
- 父島における臨時観測支援
- 神津島地震観測点の保守
(4) 電磁気観測支援
- 八ヶ岳地球電磁気観測所における機器保守ならびに基準観測支援
- 伊豆・東海地磁気観測点の観測点維持・管理
(5)強震観測支援
- 定常強震観測網及び観測設備の維持・管理
- 共同強震観測網の観測支援
- 強震観測データの回収、整理及びWebサーバでの公開
- 強震観測事業推進連絡会議への強震速報の報告
(6)機器開発支援
- レーザーひずみ計,レーザー傾斜計の設置,保守支援
- 小型傾斜計開発の支援
(7)その他の国内観測・実験支援
- 東海地方、伊豆大島,豊後水道における絶対・相対重力測定
- 先島諸島におけるサンゴ試料採取
(8)国外における観測研究支援及びその関連業務
- ニュージーランドでの自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- メキシコでの自己浮上式海底地震計を用いた海底地震観測支援
- ネパールに構築したオンライン地震観測網の保守及び技術移転
- トンガ王国における地磁気絶対観測支援
- 南鳥島・ポナペにおける地磁気観測点保守及び地磁気絶対観測支援
(9)観測機材の維持・管理業務
- オンライン地震計及び地震観測システムの維持・管理,貸出
- オフライン地震計及び地震観測システムの維持・管理,貸出
- 機動強震観測システムの整備,維持・管理,貸出
- 本所及び観測所の公用車の維持・管理
(10)その他
- 共同利用・共同研究拠点機能としての観測機材貸与(観測機器の点検・準備・発送)
- 地震計博物館・一般公開・ラボツアーに対する支援
- 地震予知連絡会資料の作成・所内検討会運営
- 火山噴火予知連絡会資料の作成
- 東京大学研修企画委員会業務
- 東京大学技術発表会実行委員会業務
- 研修運営委員会業務
- 技術研究報告編集委員会業務
- 報道取材(NHK「探検バクモン」等)対応
- 地震研カレンダーへの写真提供