3.4.5 構造物の総合観測ネットワークの構築と損傷度評価

巨大地震が発生した場合,早急に損傷を受けた建物の損傷度を評価し,建物の継続利用の可否を評価する必要がある.そこで本研究では,比較的安価の加速度計を設置し,建物の地震時応答を計測して,等価線形化法を用いた損傷度評価システムの開発を進めている.等価線形化法とは,建物に作用している力と変形の関係を等価一自由度に縮約してその耐震性能を評価する方法である.このシステムの有効性を実証するため,既存構造物に実際に設置して,計測を続けている.観測建物は,中層事務所ビル,学校建物,低層木造歴史建造物,低層戸建て住宅,60m級通信用鉄塔などである.本年度には、新たに赤門、ペルーの国家緊急事態対策センター(COEN)、ペルーの戸建て住宅に設置を行った。

2021・2022年度には、特に技術的に問題となる一方向へ塑性変形が累積する場合を再現する鉄骨フレーム試験体を数種類作成し、振動台実験を実施した。さらに実験結果を用いて、加速度記録から精度よく残留変形を算出する技術の研究開発を行っている。