3.10.6 1964年新潟地震60周年に向けた広報活動

発生から間もなく60年になる1964年6月16日新潟地震に関する解説記事を地震学会の広報誌「ないふる」に掲載した.概要は以下の通り.

新潟地震では,それまでに知られていなかったタイプの都市型災害が発生した.地震の名は「新潟地震」となっているが,震央は新潟と山形の県境の粟島付近で,震度がもっとも大きかったのは筆者が当時住んでいた山形県鶴岡市.完成したばかりの昭和大橋が落下したが,その時,橋の上で歩いていた人たちは幸いに無事であった.また信濃川沿いの川岸町に建っていたアパートが倒れてしまったことも知られているが,そのアパートには高校からの友人が住んでいた.アパートは川と反対側の陸側に倒れ,それは液状化で川側に側方流動が起こったためと考えられる.ゆっくり倒れたらしく,彼の家の冷蔵庫の中の玉子は割れていなかったそうである.

SMAC型強震計による観測は1953年頃から始まっていたが,最初に大地震が記録されたのがこの新潟地震のときである.倒れてしまった川岸町アパートの隣の棟に設置されており,長周期の地震動が明瞭に記録されている.