(1-1)地震のOFCモデルに現れる余震領域の拡大現象
地震発生のセル・オートマトンモデルあるOlami-Feder-Christensen(OFC)モデルは、地震発生頻度のべき乗則(Gutenberg-Richter則、その指数b値)と、余震に関する統計的性質(大森則、その指数p値)が同時に現れ、地震のマルチスケール性理解のための統計モデルとして用いられてきた。しかし、余震の定義と統計的性質については不明瞭な点が残る。従来の定義は、ad-hocに「あるイベント震央と本震震央の距離が一定値以下のもの」とし、余震でない地震も集計されている可能性がある。 本研究は、「OFCモデルで自然に定義される領域」として新たな余震領域の定義を提案する。第一の定義では、本震の破壊領域とその最近接要素に含まれる地震を余震とし、第二の定義では、余震の余震も余震とみなす。これら二つの定義による余震の統計的性質を数値実験により調べ、第二の定義は余震領域のより良い指標をとなることを示した。