3.10.4 エピソディック非地震生すべりの発生周期

速度・状態依存摩擦則を利用して地震サイクルの数値シミュレーションを実施した.半径rの円形の速度弱化領域を速度強化領域の中に埋め込んだ平面断層モデルを考える.不安定すべり発生のための臨界断層半径rc(∝GL/(b-a)σGは剛性率,a, bは速度・状態依存摩擦則のパラメタ,Lは特徴的すべり量,σは有効法線応力)としたとき,Lを変化させて,発生するエピソディック非地震生すべり(SSE)の発生周期のr/rc依存性を調べた.SSEはr/rcが1に近いときに発生するが,先行研究で示されているように(b-a)/aが小さいほど,より広いパラメタ範囲でSSEが発生する.r/rcが1に非常に近くなるとSSEの発生周期は,1自由度バネ-ブロックモデルの場合に得られている発生周期の理論値(∝L/VplVplは外部から与えるすべり速度)に漸近する.Lを小さくすることによりr/rcを1より大きくしていくと,SSEの周期はいったん短くなった後に,長くなる.r/rcが1から離れると,理論式からの乖離が大きくなり,すべり速度の増大により応力降下が顕著になることによると考えられる.この結果は,SSEの観測からプレート境界面での摩擦パラメタを推定するのに役立つ.