巨⼤地震が発⽣した場合,早急に損傷を受けた建物の損傷度を評価し,建物の継続利⽤の可否を評価する必要がある.そこで本研究では,⽐較的安価の加速度計を設置し,建物の地震時応答を計測して,等価線形化法を⽤いた損傷度評価システムの開発を進めている.等価線形化法とは,建物に作⽤している⼒と変形の関係を等価⼀⾃由度に縮約してその耐震性能を評価する⽅法である.このシステムの有効性を実証するため,既存構造物に実際に設置して,計測を続けている.観測建物は,中層事務所ビル,学校建物,低層⽊造歴史建造物,低層⼾建て住宅,60m級通信⽤鉄塔などである.本年度には、引き続き設置した計測装置の保守を実施するとともに、学内の被災度判定の迅速化を目的に、赤門と東海村キャンパスへの設置を進めた。また、観測データの学術共有を目的に、日本建築学会所有の建築会館へのセンサー設置を行った。併せて、観測データを用いた新しい地震被災度判定手法の開発を目指し、Firefly理論を用いた機械学習を用いた方法の検討を始めた。また、建物の高次モードの影響を観測記録から取り除く新しい方法として、連続Wavelet変換を用いる手法の開発を行った。