川井型マルチアンビル高温高圧発生装置やバセットタイプダイヤモンドアンビル高温高圧発生装置等を用いて,地球の進化や地球内部の物理化学的状態を明らかにするための実験的研究を行っている.今年度は主に,長い間故障していた実験装置の全体的な修理修繕を行い,研究を行うための設備を整えた.高温高圧発生装置に加え,今年度初頭に電気伝導度を測定するためのインピーダンスアナライザーの故障も見つかったため,この修理も行った.
実験環境を整えた上で,マルチアンビル装置を用いて高温高圧下での炭酸塩鉱物の電気伝導度測定実験を行った.これまで過去数年にわたって我々が行ってきた研究を総合して,炭酸塩鉱物の電気伝導度の温度・圧力・化学組成依存性が明らかになりつつある.
同時に,バセットタイプ外熱式ダイヤモンドアンビル装置を用いた地球内部条件下での流体の電気伝導度測定実験を開始した.現在まだこの実験はテスト段階ではあるが,将来的には温度・圧力・化学組成をコントロールした上で地殻内及び上部マントル条件下での超臨界流体の電気伝導度測定実験が可能になるかもしれない.