(1) 火山噴煙のダイナミクス
爆発的火山噴火の理解を目指し,数値モデルの開発とそれを用いた大規模シミュレーション研究を進めている。爆発的噴火で放出される火山灰の堆積分布は、噴煙の上昇過程と傘型噴煙の拡大過程、大気風による輸送過程によって決まる。それぞれの過程が支配的な領域は互いにオーバーラップするため、統一的なモデルによって再現する必要がある。これまでに開発した3次元噴煙ダイナミクスモデルを大型計算機に実装し、噴火条件や大気条件を替えたパラメータスタディを実施した。噴火条件に関しては、噴出率を時間的に変化させ、より現実的な噴煙再現を目指した。また、大気条件に関しては、圏界面付近で風速が最大となるような現実的な条件を初期条件とした。大規模シミュレーションの結果、大気中における噴煙濃度、火山灰粒子サイズ分布、地表における火山灰堆積物分布データを取得した。これまでの1次元噴煙モデルや火山灰の堆積モデルと比較し、3次元の噴煙からどのように火山灰が堆積するのかを調べた。さらに、いくつかの実際の噴火事例に関して大規模シミュレーションを行い、人工衛星画像や堆積物分布といった観測データとの比較方法を検討した。