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2.7 Ocean Hemisphere Research Center

3.7.4 深海底を含む西太平洋地域への地震・電磁気・測地観測網の展開・維持とデータ公開

(1)地震・電磁気・測地観測網(海半球観測ネットワーク)の展開・維持

(1-1)海洋島地震観測網

 ジャヤプラ(インドネシア),パラパト(インドネシア),デジャン(韓国),ポナペ(ミクロネシア),マジュロ(ミクロネシア),犬山(日本),石垣(日本),パラオ(パラオ),バギオ(フィリッピン),父島(日本),カメンスコエ(ロシア),サパ(ベトナム),ハイフォン(ベトナム),ビン(ベトナム)の9ヵ国14定常観測点における観測を, 海洋研究開発機構と共同で継続した.このうちマジュロ(ミクロネシア),父島(日本),カメンスコエ(ロシア)を除く11観測点からはリアルタイムで地震波形データを収集した.

(1-2)海洋島電磁気観測網

 ポナペ(ミクロネシア連邦),アテーレ(トンガ王国),モンテンルパ(フィリピン),カンチャナブリ(タイ),ワンカイヨ(ペルー),南鳥島の各観測点における地磁気3成分と全磁力の観測を海洋研究開発機構と共同で継続した.得られた地磁気三成分確定値は,人工衛星によって観測された磁場データとともに,グローバル地球磁場モデルの作成に用いられている.また,2022 年までの観測値の公開準備を行った.

2022年1月15日に発生したフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山大規模噴火前後のアテーレおよびアピア(サモア,インターマグネット地磁気観測点)における磁場変化の比較から,アテーレで観測された2時間程度の時間スケールを持つ磁場変化の一部は噴火に伴って電離層内に誘導された局所的な電流によること,また,アテーレとアピアで同時かつ同程度の振幅で観測された変化は噴火には関係のない外部起源磁場変化である可能性が高いことを示した.

(1-3)海底ケーブルネットワークによる電位差観測

 フィリピン-グアム,二宮沖-グアム(TPC-1),グアム-沖縄(TPC-2),上海沖-苓北(上海ケーブル)の海底ケーブルについて電位差観測を継続し,これらの電位差に含まれる長期変動成分の解析を継続して行った.電位差成分の永年変動(時間1階微分)と,短期主磁場変動や海流変動との関連の調査を継続した.また,これまでに行なってきた,電位差変動から地下電気伝導度構造の推定を目的とした電磁誘導数値モデリング手法の開発に加え,マントル最下部電気伝導度構造によるコアダイナミクスへの影響を評価するモデルの開発に着手した.

(2)海半球観測網を補完する長期アレイ観測

(2-1)海底地震観測

 海底観測網直下の構造を浅部から深部まで決定する「広帯域海底地震探査」の手法開発を継続して行った.周期3–30秒においては地震波干渉法を,周期30–100秒においては遠地地震のアレイ解析手法をもちいることで,地震波異方性も含めた深さ10–150 kmの構造の定量的な議論が,浅部の構造を仮定せずに行うことが可能となった.また,位相速度測定が困難であった海洋底を伝播する Love波の新たな測定手法を開発し,実用的な精度でのLove波の基本モード位相速度の測定を実現させた.

海底広帯域地震計の高度化するため微差圧計を追加し,Oldest-1アレイ観測より標準仕様として使用している.この追加により,傾斜ノイズ除去に加え,海中重力波起源のノイズを除去することで,30以上の長周期上下動成分のノイズレベルを最大20dB低減できるようになった.

 本センターが実施した海底地震観測の記録は,2014-2016年に観測を実施したオントンジャワ・アレイまでの記録がOHPデータセンターより公開済みである.本年はOldest-1アレイ観測記録・チリ三重会合点での観測記録を新たに公開した.

(2-2)海底電磁気観測

 三陸沖日本海溝では,太平洋プレートの沈み込みに伴う変遷と地震発生との関連を電磁気学的手法と熱学的手法で解明することを目的とした研究を,2007年よりJAMSTECと共同で進めた.またこの海域での観測は,2009年度以降は,「地殻流体」計画の一環として継続している.2012年度までに海溝軸を横切る複数の測線上の合計31観測点でデータを取得し,2次元構造解析を進めている.なお,本研究で2010年に設置したOBEMは,2011年3月11日の東北沖地震に伴って生じた大津波によって誘導された磁場変動を記録しており,巨大振幅津波の波源域推定に貢献した(Ichihara et al., 2013, Earth Planet. Sci. Lett.).東北地震の震源域および日本海溝を横断する2次元電気伝導度構造を推定したところ,太平洋プレートと上盤プレートの境界面付近の構造に注目すると,沈み込み直後の境界面近傍に顕著な高電気伝導度領域が存在すること,深部に移動すると低電気伝導度に遷移することをが明らかとなった.これは,含水率の違いを反映していると解釈でき,2011年の東北太平洋沖地震の断層破壊が海溝付近まで伝搬したことに影響していると推察される(Ichihara et al., 2023).更に2013年4月から8月にかけて,新潟・秋田県沖日本海でも6台のOBEMを用いた観測を行った.同時に周辺の島で観測したデータ,過去に秋田県沖日本海で取得したデータを加えて3次元解析が進行中である.これらの観測データを統合的に解析し,最終的には日本海溝から日本海にかけての島弧断面の電気伝導度構造を明らかにすることを目指している.

観測開発基盤センターと共同し,ニュージーランド北島ヒクランギ沈み込み帯で繰り返し観測されるスロースリップイベントに伴う電気的な構造変化の抽出を目的とした,長期の海底電磁気観測を開始した.この観測のためにOBEMに新たな計測モードを追加し,また電池用耐圧容器を大きくして,電位差計測をハイサンプリングで1年間継続できる仕様に改造した.改良したOBEM3台を,定期的にスロースリップイベントが観測されている海溝陸側斜面に設置して,2023年11月より計測を開始した.2024年秋にこれらのOBEMを回収し,電池を詰め替えたのちに再設置して,現在2年目の観測を継続中である.2024年12月には,観測海域で2009年以来の大規模なスロースリップイベントが発生しており,現在展開中のOBEMがこのスロースリップイベントに関連した信号を記録していることが期待される.

(3)海半球ネットワークデータの編集・公開

 Boulder Real Time Technologies社のAntelopeというソフトウェアを用い,オーストラリア地質調査所,台湾中央研究院地球化学研究所,及びIRISとリアルタイムデータ交換を継続した.

 各種機動観測データの公開を継続した.定常観測点データに関しては,海洋研究開発機構と共同で,広帯域地震データ,GPSデータ,電磁気データの公開を継続した.

3.7.3 最先端の地球物理海底観測システムの開発

(1)次世代の海底地震・測地観測システムの開発

 本所において共に海域地震観測を行う観測開発基盤センターと共同し,海底地震観測の高度化として複数次元での観測帯域拡大を進めている.現在,広帯域地震観測での機器の高機能化,機動的海底観測での測地学的帯域への拡大,および水深6000mを越える超深海域での長期広帯域地震観測の実現,の3項目を具体的課題として機器開発を実行中である.

 広帯域海底地震計(BBOBS)の平均的ノイズレベルを評価すると,長周期側での水平動のノイズレベルが陸上観測点での統計的上限に対して数倍以上高い.この対策として,低背なセンサー部をデータ記録部から独立させ海底面に突入させて自己埋設する構造の新型広帯域海底地震計(BBOBS-NX)を,ROV等の潜水艇による支援(設置・回収時)を要する運用方式で実用化した.2010年以降での複数の観測結果から,陸上観測点並のノイズレベルが確保できることを確認した.更に,このBBOBS-NXと同等の観測がROVを使用せず,自律動作により可能となる次世代機(NX-2G)の開発研究を科研費基盤研究(A)の補助を受け2015年から進めた.2016年10月にNX-2G試験機での実海域試験を実施,2017年4月に福島県沖日本海溝陸側斜面にて,既設置のBBOBS近傍にNX-2G試験機を設置,長期試験観測を開始し,2018年10月に回収,基本的な自律動作の機能が想定通りであることを検証した.更なる改良によるデータの質向上を確認するため,再試験を2024年9月に熊野灘において開始した[図5].後述の超深海用海底地震計(NUDOBS)と併せ,2025年度後半に回収する予定である.

 また,BBOBS-NXを基に,機動的に広帯域地震・傾斜同時観測を行うBBOBST-NXの開発・実用化を進めると共に,海底での条件次第ではこれまでのBBOBSでも傾斜変動が計測可能であることも,複数地点での試験的観測データにより分かってきた.使用している広帯域地震センサーの長期間での安定性には問題は無さそうで,観測対象次第では有用と考えられる.2020年10月に,房総半島南東沖に2015年7月に設置したBBOBST-NXを5年ぶりに回収し,2年間の地震・傾斜連続データを得ることに成功した.水温データも4年間分を取得した.これらのデータの解析処理を進めたところ,過去の傾斜観測時には不明確であったBBOBST-NXのセンサー部での温度依存性が明確になり,今後はセンサー内部で精密な温度記録を得て,より高精度な傾斜変動データの取得を狙う.なお,前述したNX-2Gでも傾斜観測は可能であり,機動的で高密度な海底地震・地殻変動観測アレイの実現性が見えてきた.加えて,2020年の上記航海時に設置したBBOBST-NXを,2024年7月に回収した.こちらも,2年間の観測期間中に近傍で海底電磁流速計を設置しており,水温などの海底環境データも併せて取得している.2013年以降,この房総半島南東沖の地点ではのべ5年間の広帯域地震・傾斜データを得ており,今後は海底面での傾斜観測の可能性をより詳細に検討する.

 1990年頃からの課題である,水深6000mを超える超深海域での海底地震観測を実現させるため,2012~2013年に新発想の機構で超深海用海底地震計(NUDOBS)を開発し試験観測の実施後に,水深9200mでの長期観測(2013~2014)を無事開始したが、回収時に無応答で未回収状態である.この推定問題点を解決し,現代的な研究目的に対応する広帯域地震観測が可能な,超深海用広帯域海底地震計(UDBBOBS)の開発を,2021年に科研費(学術変革・分担・代表:田中[2021〜2025])を得て再開した.UDBBOBSに用いる上で有力な候補となる小型・低消費電力な広帯域地震観測用センサー(Silicon Audio社,203-60)について,実験室での検証試験を行った.2個の同一形式センサーを用いて,それらの内部雑音が無相関であると仮定すると,その平均的雑音レベルが簡単な計算から得られる,という手法により,周期100秒でもNHNM以下と,長周期側での内部ノイズレベルも優秀であることが確認できた.現在,製造会社と低消費電力化・高感度化・粗傾斜データ出力について改修を進めている.加えて,この加速度センサーの低ノイズ性能を活かすため,UDBBOBS専用のデータレコーダーをOBS用の現行品を元に差動入力仕様へ改修した.また,2023年には科研費(挑戦的研究(開拓)・代表:塩原[2023〜2026])が採択され,UDBBOBSを実現できる見込みが確実になった.2012年に開発したNUDOBSはプロトタイプ機として機構・サイズ的に扱い難い面があったので,今回のUDBBOBSではそれらの点を考慮した機構設計を進め,地震観測機能を内包する耐圧容器の設計も新しい加速度センサーに合わせて行った.2024年9月,前述したNX-2Gの再試験観測と同一地点で,実地機能試験を開始した.両者の機器とも,着底後に観測状態へ移行したことは音響通信での応答から推測出来たが,実際の海底での状況を視認するための潜航調査を2025年2月に実施した.

5 2024年9月に設置・2025年2月に,「ハイパードルフィン」で観察したNX-2Gの観測状態.下方のセンサー部と中心部の錘が堆積層に深く埋もれている.また,水中ケーブルの立ち上がりをセンサー部から離すための仕組みは,降下中にケーブルを抑え観測状態ではケーブルを離す役割である水色のカゴは適切に動作していたが,ケーブルは抑えに使った輪ゴムが伸びきらず,ケーブルが出切っていなかった.

(2)最先端の海底電場観測装置(EFOS)の開発

 電磁気探査の到達可能深度は,測定する電磁場変動の周期によって制御される.OBEM観測データのインバージョンによる最大探査深度は,周期1日以上で電場のS/Nが悪くなるために上部マントルの数百kmに限定される.新しい長基線電場観測装置(EFOS)は,1 km 以上の長いケーブルを海底に展張して良質な長周期電場データを取得する目的で開発された.上記「ふつうの海洋マントル計画」では,海域Aに合計3台のEFOS-2 (ケーブル長 2 km)と1台のEFOS-6(ケーブル長 6 km)を設置し,2014年9月に3台のEFOS-2を,2015年9月に1台のEFOS-6を回収した.観測点NM16に設置したEFOS-2[図6]とOBEMの電場データのノイズスペクトルを比較すると,105秒よりも長い周期でEFOS-2のノイズが約1桁低いことが示された.このデータを用いて遷移層の電気伝導度を求め,地震波のレシーバ関数解析結果と統合して,遷移層に存在しうる水の量の上限を推定することができた.

 EFOSによる観測を世界中の様々な海域で実施できれば,遷移層の水のグローバルな分布を明らかにすることが可能となり,地球内部に含まれる水の総量や,地球の進化に関する議論を促進することが期待される.しかし現状のEFOSは,設置および回収に無人探査機(ROV)を必要とし,このことがEFOS観測のグローバル展開を困難にする要因となっている.現在のEFOSは耐圧容器にガラス球を用いているために深海有人探査機での取り扱いができない.2017年度はこの点を改善して有人探査機でも扱えるよう,耐圧容器を金属製に変更した.2018年度および2019年度には,科研費基盤研究(B)により有人探査機による展張・回収システムを検討し,作成した.このシステムを有人潜水調査船「しんかい6500」により設置する観測航海がこれまでに2度採択された(2019年8月・小笠原海盆,2021年6 月・伊豆諸島青ヶ島東方沖)が,いずれも海況の不良により,機器設置を行うことができなかった.次回の設置機会に向けて,さらなる開発と観測準備を継続している. 

深海でのEFOSの設置・回収作業が可能な有人/無人探査機は,世界中を見ても極めて数が限られる.一方,マニピュレータがないため複雑な作業はできないが,深海底でケーブルを展張する機能はある各種曳航体が使用可能な研究船は,多くの国で保有している.これらの曳航体を用いた設置・回収が可能になれば,EFOSによる観測の機会が格段に増えることが期待される.我々は,深海曳航体(ディープトウ)によって設置/回収できるよう,EFOSの全面的設計変更を行い,このシステムについても本格的な開発を進めている.

6 「かいこう7000II」によって撮影されたNM16に設置したEFOS.2014年9月17日,記録計の入った耐圧容器が回収された.

図3-7-4 「かいこう7000Mk-IV」によって撮影されたNX-2Gの観測状態(左)から回収状態への遷移(中央—右).錘と記録部(オレンジ色の耐圧球,直径65cm)を繋いでいた細いロープを外し,上方の浮力体と耐圧球の浮力により,海底堆積層に埋まっていたセンサー部を引き抜き自己浮上動作を行う.

図3-7-4 「かいこう7000Mk-IV」によって撮影されたNX-2Gの観測状態(左)から回収状態への遷移(中央—右).錘と記録部(オレンジ色の耐圧球,直径65cm)を繋いでいた細いロープを外し,上方の浮力体と耐圧球の浮力により,海底堆積層に埋まっていたセンサー部を引き抜き自己浮上動作を行う.

太平洋アレイの配置構想図. 単位アレイをスパイラルで模式的に示す.☆は2018年に設置された観測点(US1a:5月, Oldest-1:11月).既存の海底機動観測点を小黒点で示す.Oldest-2, HEB, 20Ma, Samoa, MPMはアレイ候補である.US1bは,既にNSFによって採択された米国の第1期計画の2番目のアレイである.

太平洋アレイの配置構想図. 単位アレイをスパイラルで模式的に示す.☆は2018年に設置された観測点(US1a:5月, Oldest-1:11月).既存の海底機動観測点を小黒点で示す.Oldest-2, HEB, 20Ma, Samoa, MPMはアレイ候補である.US1bは,既にNSFによって採択された米国の第1期計画の2番目のアレイである.

3.7.2 フロンティア解析による地球の内部構造と内部過程の解明

 海底火山活動監視技術の改善のため,遠地海底地震計の波形データを適切に解析することにより,詳細な震央位置を推定する手法を開発した.複雑なP波波形の立ち上がりを正確に読み取り,適切な相対走時をデータとし,信頼できるデータのみを選択的に使用することにより,正確な震央推定を可能にした.地震研究所の広帯域海底地震計アレイが展開されていた時に発生した,火山活動と関連すると思われる顕著な地震活動の解析に応用することにより,活動の時間発展や海底地形との相関を明らかにした.この成果をまとめ,国際誌で発表した.

上記手法をさらに発展させ,遠地海底地震計のP波・S波の同時解析を行うことにより,深さを含めた正確な震源を推定する手法も開発した.上記地震活動の解析に応用した結果、本震発生から7.5時間の前後で,震源分布が顕著に変化したことが検出された.7.5時間以降の震源の深さは様々である一方,震央位置はリフトゾーンの直下に位置し,ダイクの貫入があったことが示唆された.

海底地震計アレイで取得された地震波形から,海底堆積層の詳細な構造を解析する手法を応用し,太平洋の様々な地域における海底堆積層の構造を推定した.構造特性や機器特性は様々であるが,本手法を用いれば正確な構造推定が可能であることを,海底掘削データの結果との比較等を通じて確認した.得られた結果をまとめ,海洋堆積物のVp及びVp/Vsのスケーリング則は従来考えられていたものとは異なることを示した.Vp/Vs値は,従来のスケーリング則から期待されるよりも大きい値を取っていることが明らかになった.これらの成果をまとめ,国際誌で発表した.

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図3-7-5 「かいこう7000II」によって撮影されたNM16に設置したEFOS.2014年9月17日,記録計の入った耐圧容器が回収された.

図3-7-2「技術革新」以前は,分解能は高いが海底下10 km程度までしか解像できない屈折法地震探査か,深部(–50 km以深)はわかるが分解能が低いグローバル表面波トモグラフィーが,LAS探査の手段であった.小スパンアレイによる「広帯域海底地震探査」の開発は,LAS全体を深さ方向に連続的にかつ高分解能で探査することを可能にした.

図3-7-2「技術革新」以前は,分解能は高いが海底下10 km程度までしか解像できない屈折法地震探査か,深部(–50 km以深)はわかるが分解能が低いグローバル表面波トモグラフィーが,LAS探査の手段であった.小スパンアレイによる「広帯域海底地震探査」の開発は,LAS全体を深さ方向に連続的にかつ高分解能で探査することを可能にした.

3.7.1 海・陸機動観測プロジェクトによる地球内部構造とダイナミクスの解明

 海半球センターでは,センターの立ち上げ当初から固体地球科学分野の基礎的な重要課題を解明することを目的にした,大型科研費によるプロジェクトを実施してきた(海半球ホームページ).また並行して,常に一段質の高い観測研究を進めるための観測機器開発と解析手法開発を行なってきた.海半球計画(1996–2001年)においては,西太平洋域に総合的地球物理観測ネットワークを構築して地球内部をグローバルな視点で見る基盤を整えた.また,地震と電磁気の海底長期機動観測装置を開発して,グローバルな観測網よりも高い解像度を獲得した.2004–2009年度の特定領域研究「スタグナントスラブ:マントルダイナミクスの新展開」(スタグナントスラブ計画)では,太平洋プレートの沈み込みに焦点をあて,観測網と機動観測からアプローチする我々のグループに国内の高温高圧実験グループと計算機シミュレーショングループを統合して,スラブの滞留と崩落のメカニズムおよびそのマントルダイナミクス,更にその地球史上の意義を明らかにした.2007–2011年度の科研費基盤研究(S)(NECESSArray計画)では,日中米の国際協力により,中国東北部に120点の広帯域地震観測網を展開し,直下のマントル遷移層に横たわるとされるスタグナントスラブ構造解明を目指した.その結果,中朝国境に存在する巨大火山・長白山の下の遷移層で横たわるスラブが欠如していることが描出され,マントル深部から長白山にマグマを供給する経路が存在する予想外の可能性が明らかとなった.2010–2014年度の科研費特別推進研究「海半球計画の新展開:最先端の海底地球物理観測による海洋マントルの描像」(ふつうの海洋マントル計画)では,自ら開発した世界最先端の海底観測装置と観測技術を駆使して,海底拡大軸・ホットスポット・プレート収束帯などの影響を受けずにほぼ水平なマントル流があると期待される,「ふつう」の海洋マントルにおいて,(a) リソスフェアーアセノスフェア境界(LAB)の原因および (b) マントル遷移層の水分布という,2つの固体地球科学分野の根本的課題の解明を目指し,北西太平洋のシャツキーライズの北西側(海域A)および南東側(海域B)の2海域 [図3.7.1]における観測を実施した.年代が近い両海域においても構造が顕著に異なることが明らかとなり,マントル史をふまえた成因の解明の必要性を再認識した.

 2014年度からは,以下に示すように,太平洋域の約2億年に渡る進化の解明からマントルダイナミクスの理解を深化させることを目的とした,国際共同による「太平洋アレイ(Pacific Array)計画」に基づいた観測研究を実施している.これに加え,小笠原西之島,チリ三重会合点の観測研究を実施するとともに,観測機器開発を継続している.

図3.7.1 「ふつうの海洋マントル計画」における海域AとBの全観測点配置図.

(1)太平洋アレイ計画 (Pacific Array)

(1-1) 経緯と計画の概要

特別推進研究「ふつうの海洋マントル計画」では,プレートテクトニクスの基本的な構造が存在すると考えられる海洋リソスフェア・アセノスフェアシステム(LAS)の解明を目指した先端的観測研究を行った.その成果として,十数台の広帯域海底地震計/電磁力計からなる小スパンアレイによる1–2年程度の観測により,アレイ直下の地震波速度(方位異方性を含む)・電気伝導度構造について,空白域であったモホ面からアセノスフェアまでの深さにわたる連続探査を可能にする技術革新を達成した(Takeo他, 2013, 2016, 2018; Baba他, 2010, 2017).海洋マントルの地震観測研究が,これまで主に屈折法探査による海洋モホ面直下(海底下10 km程度),またはグローバル表面波トモグラフィーによる深部(–50 km以深)の大まかな構造(水平波長が数千 kmの解像度)のみにとどまっていたことに比べると,この「広帯域海底地震探査」の手法を適用することで,LAS全体を深さ方向に連続的に探査できる[図3.7.2]ようになったことは,観測研究上のブレークスルーと考えられる(同様の解析は電磁気観測データについても可能になった).太平洋アレイ(Pacific Array)計画は,このブレークスルーに基礎を置き,海洋底における1–2年間の広帯域地震計・電磁力計アレイ観測(各十数台)を1単位として,時期をずらしながら十年程度で太平洋の広い領域をカバーする観測網の実現を構想している[図3.7.3].“アレイのアレイ” を考えることで国際協力の下,十年程度の時間枠で到達可能な目標となり,海外の当該分野の第一線の研究者らの賛同のもと国際連携体制が作られ,2018年から日韓共同および米国により太平洋の2カ所の海域で開始された.その後,日台共同及び米国のアレイ計画が実施され,2025年度には日独の観測網展開が開始される予定である.

 日韓共同及び日台共同の太平洋アレイ観測は,地球上最古の海域でOldest-1及び Oldest-2 海域観測と称して,2018年11月及び2022年9月にそれぞれ展開された.広帯域海底地震計と海底電磁力計をマリアナ東方の太平洋で最も古い海域に展開した.これらのアレイ観測は,太平洋アレイの1アレイとして全体計画に貢献すると共に,太平洋プレート生成のダイナミクスの解明と海洋プレート成長モデルの検証を目的としている.最古の太平洋(170Ma)がより若い太平洋(140Ma)と非常に似たマントル構造を持つこと,最古の太平洋域の中に有意な不均質があり異方性構造などが明確に異なるなど,重要な発見がなされつつある.

日独共同の太平洋アレイ観測は,HEB(Hawaiian-Emperor Bend)海域観測と称して,2025年に展開する予定であり,現在準備を進めている.リソスフェアの静的成長過程として理解されてきたプレート成長モデルを,リソスフェア-アセノスフェア系の動的成長過程モデルに拡張することを志向している.この目的をさらに確実に達成するため,HEBのあとにリソスフェア-アセノスフェア系の沈み込み様式を解明する観測計画を検討している.

図3.7.2 「技術革新」以前は,分解能は高いが海底下10 km程度までしか解像できない屈折法地震探査か,深部(–50 km以深)はわかるが分解能が低いグローバル表面波トモグラフィーが,LAS探査の手段であった.小スパンアレイによる「広帯域海底地震探査」の開発は,LAS全体を深さ方向に連続的にかつ高分解能で探査することを可能にした.

図3.7.3 太平洋アレイの配置構想図. 単位アレイをスパイラルで模式的に示す.★は回収が完了した観測点,☆は設置中の観測点を表す.既存の海底機動観測点を小黒点,2024年度末時点でプロジェクトが採択された観測点を青丸で表す.Oldest-1およびOldest-2はそれぞれ日韓・日台で実施した太平洋最古の海盆でのアレイ,HEBは採択が内定した日独のアレイである.

(1-2)海底地震観測

「太平洋アレイ計画」の第1期のアレイ観測として,太平洋最古の海洋底(グアム島東方沖)での海底地震・電磁気観測研究を行なっている.その前半部(Oldest-1観測)は韓国ソウル大学との国際共同観測研究として実施され,日韓共同でのデータ解析が継続して行われている.また,第1期アレイ観測の後半部(Oldest-2)は台湾との国際共同観測として基盤研究(A)等により実施されている. 2022年秋に,台湾研究船(R/V Legend)での設置航海が実施され,広帯域海底地震計14台(日本9台・台湾5台)を設置した.2023年秋に,台湾研究船(R/V Legend)を用いた回収観測が実施され,広帯域海底地震計12台(日本9台,台湾3台)を回収した[図3.7.4].データ回収率は全体として地震データ77%, 水圧計データ64%であった.

(1-3)海底電磁気機動観測

海底電磁気機動観測は,Oldest-1アレイに7観測点,Oldest-2アレイに10観測点を展開した[図3.7.4].現在韓国・台湾の共同研究者と共同してデータ解析を進めている.Oldest-1アレイの予察的な解析結果は,この海域ではリソスフェアに相当すると考えられる低電気伝導度層の厚さが200km程度にまでおよぶことを示した.この値は,北西太平洋の「ふつうの海洋」域よりも厚く,むしろ東北アウターライズ沖の構造に近いので,古い海盆の構造が単一のリソスフェア冷却モデルでは説明できないとした,従来の研究成果を補強するものである.

図3.7.4 Oldest-2 アレイ観測のデータ回収された観測点配置図.

(1-4)マントルの高分解能イメージング

Oldest-1アレイ観測で回収された広帯域地震波形連続記録に対して,「広帯域海底地震探査」手法を適用し,太平洋最古の海洋底(約1.7億年)の一次元S波速度構造を求めた.また,位相速度測定が困難であったLove波の基本モード位相速度測定する新手法を開発し,Oldest-1アレイデータに適用して,アレイ直下の異方性を含む1次元S波速度構造を得ることに成功した.得られた構造は等方・異方性構造ともに東西で異なることが明らかになった.韓国との共同研究により,Oldest-1アレイ下のP波速度構造に関しても顕著な不均質構造があり,この地域の海洋マントル構造は複雑であることが明らかとなった。Oldest-2アレイ観測で回収された記録を使用したマントル構造解析を台湾の共同研究者とともに進めている。

また,太平洋域の陸上および海底地震計記録を用いた表面波トモグラフィー解析により,太平洋全体の3次元上部マントルS波速度構造を明らかにする研究を継続的に行っている.これまで一部の海底地震計データにのみ施していたノイズ除去処理を全ての海底地震計データに適用し,構造モデルの改善を図った.

電気伝導度構造については,「ふつうの海洋マントル計画」の海域A・Bそれぞれで等方3次元構造の解析を進めている.予察的な結果では,海域Aのアセノスフェアの深さにおいてアレイとほぼ同等の幅を持って北東-南西方向に伸張する高電気伝導度領域の存在を示している.前年に公表した1次元電気伝導度異方性モデル(Matsuno et al., 2020)は,高電気伝導度の軸が北東-南西方向であることを示しており,不均質構造モデルと異方性モデルを調和的に説明する解釈を検討する必要がある.現在は,タイの共同研究者と異方性を組み込んだ3次元構造インバージョン解析手法開発を行い,海域Aのデータに適用した(Thongyoy et al., 2025).今後同手法の更なる高度化を行い,異方性構造の解釈に踏み込んでいく予定である.

(2)その他のプロジェクト

(2-1)小笠原西之島・伊豆諸島

小笠原西之島周辺海域において,西之島下のマグマ溜りおよび海洋島弧の電気伝導度構造を推定することを目的とした電磁気観測を2016年より継続的に行っている.本研究は,火山噴火予知研究センター,地震火山噴火予知研究推進センター,観測開発基盤センター,海洋研究開発機構,名古屋大学および気象庁との共同プロジェクトである. 2016年10月から2017年5月にかけての第1次観測では,当センターのOBEM4台と海洋研究開発機構のベクトル津波計(VTM)1台を設置・回収した.続いて2018年5月から同9月にかけての第2次観測では,当センターのOBEM5台を設置・回収した.第2次観測の回収の際に海洋研究開発機構のOBEM6台を新規に設置し,2019年5月にそのうち4台を回収した(第3次観測).2台のOBEMは,錘を切り離せず浮上しなかった.いずれのOBEMも音響による錘切離し信号には正常に応答したこと,着底位置が設置時より数10mずれていたことなどから斜面崩壊などで切り離し部が埋まってしまった可能性がある.この航海では,当センターの2台のOBEMおよび海洋研究開発機構のVTM3台を新たに設置した(第4次観測).これらの機器は同年8月の航海で回収予定であったが,台風の影響で航海を実施できなかった.2020年12月および2021年1月には無人潜水艇による潜航調査を含む航海を実施した.第4次観測で設置した機器は5台中2台を自己浮上にて回収したが,これらの機器は設置時の位置から3 km前後も島から離れる方向に移動していたことが判明した.また自己浮上にて回収できなかった機器(当センターの2台のOBEMを含む)のうちのVTM1台および第3次観測で回収できなかったOBEM2台について無人潜水艇を用いて探索したが,機器の発見・回収には至らなかった.構造解析は全ての観測データの収集を待って行う予定であるが,副次的成果として,第1次観測中の2016年11月中旬に全磁力と傾斜に顕著な変動があったことが確認された.この期間,西之島の噴火活動は休止していたが,西之島を取り囲むように設置した5台全ての機器で同時期に変動が観測されたので,火山内部で生じた何らかの現象を捉えたものと考えられる(Baba et al., 2020).第2次観測中の2019年7月には小規模の噴火があり,これに関連すると考えられる全磁力の変化が各観測点で観測された.また西之島東側の斜面に設置したOBEMは設置時と回収時で位置が大きくずれており,OBEMの傾斜変化や磁場データが示すOBEMの回転などと併せて考えると,観測点付近で斜面崩壊を起こったことが推定される.また第4次観測期間中の2019年12月から2020年8月にかけては大規模な噴火が確認されており,回収できなかった機器はこの噴火活動の影響をうけて自己浮上が不可能な状態になった可能性がある.その後,第3次観測で未回収のままとなっていたJAMSTECのOBEM2台のうち1台が西表島に漂着していることが2021年2月に発見され,回収された(Tada et al., 2021).今後は回収に成功したOBEMのデータ解析を進め,所期の目的達成を目指す.

次の噴火が近いと予想される伊豆大島下の電気伝導度構造を調査するため,地震火山研究連携センターおよび海洋研究開発機構と共同して大島陸上と周辺海域での合同電磁気観測を実施した.海底観測は2021年9月から2022年8月にかけて10台のOBEMを展開し,7台を回収した.陸上データと合わせた予察的な3次元インバージョン解析では,大島直下にマグマの存在を示唆する良導体のイメージングに成功しており,今後より詳細な解析が行われる予定である.

(2-2)チリ三重会合点での海底地震観測

 南米チリ南部の三重会合点において,地震研究所・コンセプション大学・神戸大学・JAMSTECとの共同研究として海底地震観測を2019年1月から2021年1月まで実施した.同海域は生成されたばかりの海底と高温の拡大軸(リッジ)が南米大陸下へ沈み込もうとしている場所で,2009–2010年に実施した予備的海底地震観測(5観測点)では多数の微小地震活動や非火山性低周波微動が検出された.今回の観測研究プロジェクトでは,より詳細な成果を目指し,広帯域海底地震計(BBOBS)8台と1Hz長期海底地震計(LTOBS)5台を,約10km間隔で展開した.設置は研究船「みらい」,回収はチリ海軍パトロール船「Cirujano Videla」にて実施した.1台のBBOBSを夜間の海面浮上後に亡失したが,約2年間の観測データが12観測点で得られた.データ解析は日本・チリで分担し進行中.本観測期間で2000個以上にもなる微小地震の震源が決まり,第一報の論文は2023年2月に公表された(Ito et al., J. S. Am. Earth Sci., 124, 2023).2009-2010年分も含めた観測データ公開を2023年3月に本センターのOHPDMCにて開始した.また,チリ大学のPhD院生により,同海域での微動活動の推移・分布を解析した結果の論文が,現在GRL誌へ投稿中である.

(2-3)能登半島沖

 令和6年能登半島地震の発生を受けて、日本の海底地震観測グループにより、震源域東部の海域において余震活動調査のための海底観測が実施された。海半球観測研究センターは、3台の広帯域海底地震計(BBOBS)と共にこの観測に参加した。BBOBSは2024年1月に学術研究船「白鳳丸」にて設置、同年9月に傭船(第二開洋丸)にて回収された。回収されたデータは正常であり、他の海底地震計と共に精密余震活動解析に使用されるととともに、巨大地震後の長周期変動現象の解明に用いられる。

4.2.2 国際室の運営と業務

国際室は教授4名,准教授5名,オブザーバー(所長,事務長,副事務長,人事及び研究協力担当)及び業務スタッフ(特任専門職員2名,技術補佐員1名)で構成され,ほぼ毎月定例の国際室会議を開催して運営にあたっている.共同利用担当など事務部を支援して,海外からの研究者招聘(長期・短期)業務に加え,地震研に滞在する研究者・留学生の招聘に関する手続き支援,学術協定締結・更新業務,協定に基づく共同研究や全学主催の行事への派遣,ワークショップ・サマースクール開催に関する業務を行っている.育成室・広報アウトリーチ室と協力し,国際学会でのブース展示をここ数年実施している.

4.2.2-1 招聘事業

これまで外国人研究員の招聘事業は, 3ヶ月以上の長期招聘(特任教授・准教授などの教員級と若手のPD級)と3ヶ月未満の短期招聘との2種類で実施してきたが, 招聘をめぐる国際的な情勢の変化に対応するため招聘事業の見直しを行い, PD級(1年)と教員級(原則2−6ヶ月)の2カテゴリーで実施することにした. なお, PD級の研究者が1年を超えて滞在する仕組みも検討した.令和7年度から長期招聘と短期招聘を一本化して公募することにし,令和7年度来日の公募には32名の応募があった.

令和6年度の外国人研究員のリストを[表4.2.1](長期招聘者), [ 4.2.2] (短期招聘者)に示す.

4.2.2-2 国際共同研究・教育の推進

今年度で10回目となるJSTさくらサイエンスプログラムによるサポートを受けて,8月24日-9月13日の間,ジャダブプール大学(インド),北京大学(中国),ミシガン州立大学(米国), フィリピン大学(フィリピン), オーストラリア国立大学(オーストラリア), 国立台湾大学, 国立中央大学(台湾), ディポネゴロ大学(インドネシア), ケンブリッジ大学(英国)の計9名の大学生・院生を約3週間招聘し,滞在中,学生たちは受入教員の指導のもとそれぞれの研究に従事した.また神岡・立山への巡検(9月6-7日),ポスター発表(9月12日)を行った.参加学生からのアンケート結果は,おおむね良好であった.また,協定を締結しているパリ地球物理研究所と11月12日から14日までパリにてジョイントセミナーを共同開催し, 地震研より教員,研究員,学生ら計25名が参加し研究活動に関する発表と活発な意見交換が行われた.

4.2.2-3 国際アウトリーチ活動

2024年12月9-13日に開催されたAGU Fall Meetingにおいて地震研ブースを開設し,国際室招聘プログラムとともに地震研の最新の研究プロジェクトの紹介活動を行った. 来年の地震研100周年を記念する特大ポスターには世界各国から200を超えるブース来場者からのメッセージが集まった.また、100周年記念行事の一環として,AGU期間中に地震研アラムナイミーティング(12月10日)を, またその後は東京大学ニューヨークオフィスに場所を移し, コロンビア大学 ラモント・ドハティ地球観測研究所, イエール大学などアメリカ東海岸の協力機関の関係者や学生を招き100周年記念セッション,講演会,最新の研究発表ワークショップそして地震研究所のあゆみと研究活動を紹介する写真展示のエキシビジョンを4日間(12月16-19日)にわたり開催した.