3.3.3 浅部マグマ活動に関する研究

浅部マグマ活動に関する研究では,マグマ活動の実体を明らかにすることを目標に,含水量測定を中心とした火山噴出物の解析に取り組んでいる.マグマ中の揮発性成分量は火山噴火のポテンシャルとして重要であり,巨大噴火に到る準備過程でのマグマ中の揮発性成分量変化を明らかにする意義は大きい.また,含水量を適切に評価することによって,斑晶鉱物やマグマの液組成を用いた熱力学的温度圧力計の精度向上も期待できる.

2014年度は火山噴火予知研究センターや山梨富士山研究所との共同研究として,富士火山や姶良(桜島)火山の噴出物の解析を行った.富士山1707年宝永噴火では,白色軽石の鉱物と液組成の解析に基づき,珪長質マグマが地下4-6kmに存在し噴火前に水に飽和していたことを明らかにした.姶良(桜島)火山については,現在の桜島火山の珪長質マグマ溜りは物質科学的には10-12km程度に決定できる.一方,姶良火砕噴火当時の珪長質マグマ溜まりは深さ4-5kmに存在し水に飽和していたことを,大隅降下軽石と妻屋火砕流堆積物の分析から明らかにした.