3.5.10 2007年能登半島地震の余震活動の拡大様式

大地震後の余震域が広がることはよく知られているが、その詳細についてはほとんど議論されてこなかった。2007年能登半島地震(Mw6.7)の余震活動に注目し、本震発生後の約1月間の連続波形記録に対する波形相関解析に基づき、既知の余震波形(気象庁一元化処理震源)に類似するイベント検出を実施した。その結果、本震発生直後から断層の走向方向に余震域の拡大が始まっていたことが明らかとなった。余震域の拡大は特に南西側で顕著に見られ、余震域のフロントの位置は時間の対数として表現できる。このことから、余震域の拡大の要因の一つとして、余効すべりの寄与が考えられる。さらに特筆すべき点として、余震域のフロントの拡大の仕方は滑らかではなく階段状の不連続な拡大様式を示した。このような振る舞いは、震源域の複雑な断層構造に起因するものと考えられる。