東京大学地震研究所(所長 平田 直)は、文部科学省が実施している「ひずみ集中帯の重点的観測・研究」(研究代表 防災科学技術研究所・小原一成)の一環として、ひずみ集中帯の活構造の全体像を明らかにし、震源断層モデルを構築することを目的として、「反射法・屈折法による地殻構造調査」を平成20年度より5カ年にわたり、新潟県など東北日本の日本海側の地域において実施いたします。平成21年度は、9月から「佐渡-会津測線」において地殻構造探査を実施します。

1. 地殻構造探査の目的

東北日本の日本海側の地域及び日本海東縁部は褶曲-断層帯を形成し、2004年新潟県中越地震や2007年新潟県中越沖地震だけでなく、歴史的にも1964年新潟地震(M7.5)など多くの被害地震が発生してきました。内陸地震に伴う強い揺れを精度よく予測するためには、これら活断層-震源断層の深部形状を明らかにすることが重要です。
本調査では、佐渡島・佐渡海峡及び新潟平野を横断し、越後山地東部に位置する福島県耶麻郡西会津町に至る約135kmの調査測線において、反射法・屈折法による地殻構造調査を行います。
この調査によって、測線上に位置する月岡断層帯・長岡平野西縁断層帯、佐渡海峡や佐渡島周辺の活断層の深部形状を明らかにし、発生する地震の強震動を予測するための基礎資料となる地下構造を明らかにします。
また、8月に独立行政法人海洋研究開発機構と地震研究所の共同研究として実施された佐渡海峡から佐渡沖の地殻構造調査結果と合わせて、越後山地から佐渡沖に至る地殻全体の構造を明らかにし、ひずみ集中のメカニズムを解明するための基礎資料を収集します。

2. 地殻構造探査の内容

調査測線(資料1参照)は、佐渡島西岸の佐渡市小川を基点として、佐渡島を南東方向に横断します。佐渡海峡を横断し、新潟市西蒲区越前浜から新潟平野を経て阿賀野川沿いに東進し、新潟-福島県境を越えて福島県耶麻郡西会津町に至る区間です。陸上の測線長は、佐渡島を含めて102km、海峡部分は33kmとなります。このうち海域では水中音波発震装置により、陸上ではバイブロサイス(大型起振車)(資料2参照)により人工的な振動を地下に投射し、地下深部から反射してくる弾性波(反射波)を、稠密に展開した多数の受振器(地震計)により記録し、地殻の詳細なイメージングを行います。実験期間の後半には、測線全域に受振器(地震計)を50m間隔で稠密に設置し、バイブロサイスや火薬による弾性波震源を用いて、地殻構造を明らかにするための屈折法・広角反射法地震探査を実施する予定です。

3. 調査期間

平成21年9月1日〜平成21年9月26日(26日間)

資料1 「佐渡−会津測線」測線図

資料2 バイブロサイス