平成15年度地震研究所職員研修会報告

研修運営委員会

 平成15年度地震研究所職員研修会が,128日(水),29日(木),30日(金)の3日間にわたり開催された.その内容を報告する.


1.職員研修会の概要

 今年度は,日常的な業務報告や技術発表を行う「技術発表会」と,「所外研修会」の組み合わせにより3日間の日程で開催された.初日の午後と3日目の午前に行われた技術発表会では,合計15名の技術職員(うち他大学3名)による発表があった.地震研究所に長年勤務され,今年度で定年退官される3名の先生方に特別講演をお願いした.28日に兼岡教授「地球深部を探る−科学的な見方・考え方」,30日に東原教授「失敗学からリスクマネジメントへ」,笠原教授「私と技術開発の関わり」.

3日間の参加者の内訳は,技術発表会に44名,懇親会にはおよそ50名, 2日目の所外研修会は32名,3日目の技術発表会は42名であった.また,他大学など所外の研究機関からの参加者は4名であった.

全日程に参加した技術職員(地震研究所26名,北海道大学1名,京都大学2名,鹿児島大学1名)に対し,所外参加者を代表して鹿児島大学平野技術官,所内参加者を代表して酒井技術官に山下所長より修了証が手渡された.

2.技術発表会

 技術発表会では以下の発表があった.

(a)業務成果及び研究報告:「富士山頂における絶対重力測定−準備段階のノウハウ」,「富士山臨時稠密地震観測の紹介」,「東海地方地磁気観測点の移設に伴う観測結果について」,「2003年十勝沖地震の苫小牧市および周辺地域での余震観測」,「東京大学における歴史地震記象紙整理の完了とその成果」,「準リアルタイム離島(無人島)地震観測システムの試験観測」,「和歌山地震観測所における地震観測の変遷」,「大大特(房総半島)観測点設置報告」.

(b)技術を応用した報告:「残留応力測定装置の開発」,「老巧化した金属ケーブルとDSLモデムを利用した地震観測の高度化」,「マイコンを用いた計測機器の試作」,「大大特(房総半島)観測点設置報告(テレメータ関連)」,「震研90型水管傾斜計設置の方法と結果」,「地殻変動連続観測計器(水管傾斜計・石英管伸縮計)の感度検定方法の紹介」.

(c)特別講演:「地球深部を探る−科学的な見方・考え方」,「失敗学からリスクマネジメントへ」,「私と技術開発の関わり」.

3.所外研修会

 研修会2日目は,会場を神奈川県横須賀市夏島町の海洋科学技術センター(JAMSTEC)に

移し実施された.午前中は講義,午後から施設見学というスケジュールをとった.午前中の講義は,最初に普及・広報課山田管理役より「海洋科学技術センター全体の紹介」があり,深海地球ドリリング計画推進室井上講師「地球深部探査船ちきゅうの紹介」,地球深部探査センター石井講師「ちきゅうの掘削技術の紹介」,地球深部探査センター友本講師「孔内仕上げと長期孔内計測」といった最先端を行く深海掘削技術の講演をして頂いた.昼食を挟み午後の最初は,深海研究部木下講師よるJAMSTECにおける地球物理的調査研究の講演があった.その後,2班に分かれて普段あまり見ることのできない有人潜水調査船「しんかい2000」,「しんかい6500」,深海巡航探査機「うらしま」,高圧実験水槽などを見学し,それぞれの機能や構造について説明を受けた.

4.反省

 職員研修会は毎年7月頃開催されてきたが,この時期は各種観測計画が実行に移される忙しい時期ということで,前年度実施したアンケートを基に開催時期を再検討した.昨年3月に東京大学総合技術研究会が実施された後でもあり,今年度の開催時期を遅らせて平成161月末に決めて計画を進めてきた.参加申し込みの受け付け当初は申込者が少なく心配したが,締め切り間際になって発表申し込みが集中した.したがって,2~3名の方には残念ながら辞退していただく状況となってしまった.毎年1回実施されることが定着しているので,1年後を見据えて余裕のある取り組みをしていただくようお願いしたい.

 研修会への参加者をみると,昨年に比べ教官の参加が少なかった.学生の修論・卒論の世話や独立行政法人化への移行に伴う繁雑な仕事が重なったのが原因かと思われる.開催時期についてはもう少し運営委員会で検討してみる必要がありそうだ.


5.最後に

職員研修会の実施にあたっては,各大学や関連機関等の施設長には所属の技術職員に地震研究所職員研修会への参加を奨励していただき有り難うございました.3日間にわたる開催期間中,所長,事務長をはじめ各部門主任,各センター長,事務部の皆様には,年度末を控えた大変忙しい時期に,研修会の運営や懇親会の設営などで様々なご支援ご協力をいただきました.ここに記して深く感謝申し上げます.

資料1.〔職員研修会プログラム〕


平成15年度 地震研究所職員研修会日程・プログラム

日時:平成16128日(水)〜 130日(金)

場所:技術発表会 東京大学地震研究所 第一会議室(5階)

所外研修会 海洋科学技術センター

(JAMSTEC) 横須賀市夏島町

128日(水)技術発表会 1330分〜1700分 

129日(木)所外研修会 1030分〜1600分 

130日(金)技術発表会 0930分〜1200分 

技術発表会

128日(水)技術発表会:1330分〜1700分 第一会議室

挨拶:山下輝夫地震研究所長 (5)

   篠原雅尚研修運営委員長 (5)

<座長 小山悦郎>

発表者:○松本滋夫・新谷昌人・孫 文科・大久保修平・高木朗充

題 目:富士山頂における絶対重力測定−準備段階のノウハウ(15分)

発表者:○三浦勉・川方裕則・松尾成光・渡辺雅之

  題 目:残留応力測定装置の開発(15分)

発表者:○辻浩・卜部卓・嘉部茂

  題 目:老朽化した金属ケーブルとDSLモデムを利用した地震観測の高度化(15分)

発表者:○長田 昇・渡辺秀文・大湊隆雄・中道治久・小山悦郎・辻浩

  題 目:富士山臨時稠密地震観測の紹介(15分)

======================= 休憩(10分) =======================

<座長 荻野スミ子>

発表者:○小山茂・小河勉

題 目:東海地方地磁気観測点の移設に伴う観測結果について(15分)

発表者:山口照寛

題 目:マイコンを用いた計測機器の試作(15分)

発表者:坂上実

  題 目:2003年十勝沖地震の苫小牧市および周辺地域での余震観測(20分)

発表者:○岩田孝行・野口和子

  題 目:東京大学における歴史地震記象紙整理の完了とその成果(20分)

======================= 休憩(10) =======================

<座長 竹田豊太郎>

発表者:平野舟一郎 

題 目:準リアルタイム離島(無人島)地震観測システムの試験観測(20)

発表者:田上貴代子 

題 目:和歌山地震観測所における地震観測の変遷(10分)

特別講演:兼岡一郎教授

 題 目:地球深部を探る−化学的な見方・考え方(30分)

 

懇親会:17時30分から19時00分 第二会議室2階

所外研修会

1月29日(木)所外研修会:10時30分〜16時00分 海洋科学技術センター

  合:10:30 海洋科学技術センター

  義:

 10:30〜11:00 JAMSTEC全体の紹介

  11:00〜11:30 地球深部探査船「ちきゅう」の紹介

講師:深海地球ドリリング計画推進室 井上朝哉

 11:30〜12:00 「ちきゅう」の掘削技術の紹介

講師:地球深部探査センター 石井美孝

 12:00〜12:30  孔内仕上げと長期孔内計測

講師:地球深部探査センター 友本 潤

休 憩:12:30〜13:00 見学棟など自由見学

  食:13:00〜14:00  海洋科学技術センター食堂

講 演:

14:00〜14:30 JAMSTECにおける調査研究(仮題)

講師:深海研究部 木下正高

見 学:14:30〜16:00 有人潜水艇(しんかい6500)や無人水中ロボット

  散:16:00  バス時刻(追浜駅行:16:13 16:48)

技術発表会

130日(金)技術発表会:0930分〜1200分 第一会議室

<座長 小林勝>

発表者:○橋本信一・小林 勝・羽田敏夫・芹澤正人・五十嵐俊博

題 目:大大特(房総半島)観測点設置報告(10)

発表者:○芹澤正人・橋本信一・小林 勝・羽田敏夫・五十嵐俊博

題 目:大大特(房総半島)観測点設置報告(テレメータ関連)(10分)

発表者:○渡辺茂・平田安廣・内田正之

  題 目:震研90型水管傾斜計設置の方法と結果(20分)

発表者:○平田安廣・渡辺 茂・小林 勝

題 目:地殻変動連続観測計器(水管傾斜計・石英管伸縮計)の感度検定方法の紹介(20分)

======================= 休憩(10) =======================

<座長 野口和子>

特別講演:東原紘道教授

  目:失敗学からリスクマネジメントへ(30分)

特別講演:笠原順三教授

 題 目:私と技術開発の関わり(30分)

挨拶:羽田敏夫研修実行委員長 (5)

修了証交付:山下輝夫地震研究所長 (10)

 

 

資料2.〔平成15年度研修運営委員会委員〕

 

委員長:篠原雅尚 副委員長:井本良子,飯高隆 

委員:酒井要,坂上実,芹澤正人,小山茂,坂守,羽田敏夫

平成15年度職員研修会実行委員長:羽田敏夫 副実行委員長:坂守