平成16年度地震研究所職員研修会報告
研修運営委員会

 平成16年度地震研究所職員研修会が、1月24日(月),25日(火),26日(水)の3日間にわたり開催された.その内容を報告する.

1. 職員研修会の概要
 今年度は,日常的な業務報告や技術発表を行う「技術発表会」と,「所外研修会」の組み合わせにより3日間の日程で開催された.初日の午後と3日目の午前に行われた技術発表会では,合計9名の技術職員(うち他大学2名)による発表があった.地震研究所でご活躍の3名の先生方に特別講演をお願いした.24日は高森昭光助手「光ファイバー変位計の開発・応用」,と武井康子助教授「当たり前を当たり前にすることの難しさと技術の重要性」,26日には塩原肇助教授「海底地震観測:世界と日本での現状と将来計画」の講演が行われた.
3日間の参加者の内訳は,初日の技術発表会に43名,懇親会には37名,2日目の所外研修会は30名,3日目の技術発表会は35名であった.また,他大学など所外の研究機関からの参加者は2名であった.
全日程に参加した技術職員(地震研究所27名,京都大学1名,名古屋大学1名,)に対し,所外参加者を代表して京都大学吉川慎技術職員,所内参加者を代表して竹田豊太郎技術職員に山下所長より修了証が手渡された.

1. 技術発表会
 技術発表会では以下の発表があった.
(a)業務成果及び研究報告:「デジタルレベルの測定精度について」,「阿蘇火山中岳第1火口の温度変化と火山活動」,「DATレコーダーの改良に伴う再生装置の導入」,「2004年新潟県中越地震臨時余震観測点の設置」,「ヘリコプターによる新潟県中越地震の余震観測」,「2004年新潟県中越地震の直後における臨時余震観測および被害調査の概要」,「高山のFM電波受信による地震予報観測」.
(b)技術を応用した報告:「チタン球上部アダプター製作について」,「海底地震計の組み立て」.
(c)特別講演:「光ファイバー変位計の開発・応用」,「当たり前を当たり前にすることの難しさと技術の重要性」,「海底地震観測:世界と日本での現状と将来計画」.

2. 所外研修会
研修会2日目は,会場を埼玉県比企郡嵐山町花見台の地球科学総合研究所嵐山研究センターに移し実施された.午前中は講義,午後から施設見学というスケジュールをとった.午前中の講義は,最初に特任顧問井川氏より会社概要に始まり特に地震研究所に関係の深いと思われる業務分野環境防災調査の紹介があり,システム開発部長の黒田氏より地下構造探査,反射法地震探査,反射法地震探査用計測機器について講演をして頂いた.昼食を挟み午後は,5班に分かれ地下構造探査装置を見学しそれぞれの機能や構造について説明を受けた.火山関係の技術職員はすべて始めての経験であったが,地震に携わる技術職員は,ここで開発された機器をすぐに使用するためか説明に対し鋭い質問をしていたのが印象的だった.

3.  反省
 開催時期については,今回の職員研修会も運営委員会で検討した結果ではあるが,所外からの発表,及び参加申し込み者が少なかったことは検討の余地がありそうだ.より多くの方の参加をお願いするには,開催時期についての再検討は勿論のこと,参加申し込みの受付け日についても検討を行い,さらに合同観測などで懇意の技術職員から個別にお願いしてもらうのも一案かもしれない.開催時期について妙案又はご意見をお持ちの方はぜひ研修運営委員会までお願いいたします.研修会への参加者をみると,今年も教官の参加が少なかった.次回懇親会は,事務部の方にも連絡し,参加いただけるよう計らっていきたい.

5.  最後に
職員研修会の実施にあたっては,各大学や関連機関等の施設長には所属の技術職員に地震研究所職員研修会への参加を奨励していただき有り難うございました.3日間にわたる開催期間中,所長,事務長をはじめ各部門主任,各センター長,事務部の皆様には,年度末を控えた大変忙しい時期に,研修会の運営などで様々なご支援ご協力をいただきました.ここに記して深く感謝申し上げます.

資料1.〔職員研修会プログラム〕

平成16年度 地震研究所職員研修会日程・プログラム

日時:平成17年1月24日(月)〜1月26日(水)
場所:技術発表会 東京大学地震研究所 第一会議室(5階)
所外研修会 地球科学総合研究所 嵐山研究センター
埼玉県比企郡嵐山町花見台
1月24日(月)技術発表会 13時30分〜17時00分 
1月25日(火)所外研修会 10時30分〜15時30分 
1月26日(水)技術発表会 09時30分〜11時30分 
技術発表会
1月28日(水)技術発表会:13時30分〜17時00分 第一会議室
挨拶:大久保修平地震研究所副所長 (5分)
    飯高 隆研修運営委員長 (5分)
<座長 小山悦郎>
★発表者:○竹田豊太郎・小山悦郎
題 目:デジタルレベルの測定精度について (20分)
★発表者:吉川 慎
題 目:阿蘇火山中岳第1火口の温度変化と火山活動 (20分)
★発表者:羽田敏夫
題 目:DATレコーダーの改良に伴う再生装置の導入 (20分)
======================= 休憩(10分) =======================
<座長 平田安廣>
★発表者:○小林 勝・坂 守・芹沢正人・羽田敏夫・平田安廣・渡辺 茂
題 目:2004年新潟県中越地震臨時余震観測点の設置  (20分)
★発表者:荻野 泉
題 目:ヘリコプターによる新潟県中越地震の余震観測  (20分)
★発表者:坂上実
題 目:2004年新潟県中越地震の直後における臨時余震観測および被害調査の概要 (20分)
======================= 休憩(10分) =======================
<座長 野口和子>
★特別講演:高森昭光助手
 題 目:光ファイバー変位計の開発・応用 (30分)
★特別講演:武井康子助教授
  題 目:当たり前を当たり前にすることの難しさと技術の重要性 (30分)

懇親会:17時30分から19時00分 第二会議室2階
所外研修会
1月25日(火)所外研修会:10時30分〜15時30分 
場 所:地球科学総合研究所 嵐山研究センター
     現地案内係:計測部 渡辺 勉リーダー、近藤千絵
             システム開発部 渡辺義考リーダー
     総合世話役:システム開発部 黒田部長、井川顧問
集 合:10:30 地球科学総合研究所 嵐山研究センター前
講 義:10:30〜12:00 
地球科学総合研究所の概要、嵐山研究センターの概要紹介
技術説明 地下構造探査法、特に反射法の紹介、探査事例の説明
昼 食:12:10〜13:30 管理センター食堂
見 学:13:30〜15:30 
探査機器デモンストレーション
        探査用人工震源装置:バイブロサイス、油圧インパクター
        探査用受信機類
        探査用計測システム:G・DAPSデジタルテレメトリシステム
                      MS-2000D独立型レコーダーシステム他
解 散:15:30 
技術発表会
1月30日(金)技術発表会:09時30分〜11時30分 第一会議室
<座長 松本滋夫>
★発表者:○山田 守・舛田敏治(システム技電)・中山 武
題 目:高山のFM電波受信による地震予報観測  (20分)
★発表者:内田正之
題 目:チタン球上部アダプター製作について (20分)
★発表者:八木健夫
題 目:海底地震計の組み立て (20分)

======================= 休憩(10分) =======================
<座長 松本滋夫>
★特別講演:塩原 肇助教授
題 目:海底地震観測:世界と日本での現状と将来計画 (30分)

挨拶:坂 守研修実行委員長 (5分)
修了証交付:山下輝夫地震研究所長 (10分)


資料2.〔平成16年度研修運営委員会委員〕

運営委員長:飯高 隆  副委員長:新谷昌人,井本良子 
委員:内田正之,小山悦郎,坂 守,芹澤正人,竹田豊太郎,芹澤正人
平成16年度職員研修会実行委員長:坂 守 副実行委員長:竹田豊太郎

図の説明

図1.技術発表会
図2.所外研修(講義)
図3.所外研修(地震探査用センサーの見学)
図4.所外研修(大型バイブロサイスの見学)
図5.修了証交付



図1.

   
図2.                                図3.

    
図4.                                図5.