平成17年度地震研究所職員研修会報告

研修運営委員会

 平成17年度地震研究所職員研修会が,1月23日(月),24日(火),25日(水)の3日間にわたり開催された.その内容を報告する.

 

1.                  職員研修会の概要

 

 今年度は,日常的な業務報告や技術発表を行う「技術発表会」と,「所外研修会」の組み合わせにより3日間の日程で開催された.初日の午後と3日目の午前に行われた技術発表会では,合計9名の技術職員(うち他大学は5名)による発表があった.また,23日には今年度で地震研究所を定年退官される工藤一嘉助教授「臨時(移動)観測での悲喜こもごも −強震から微動まで−」と,馬場聖至助手「海底電位磁力計を用いた上部マントル電気伝導度構造探査」,25日に土井恵治助教授「地震研究所におけるアウトリ−チ活動」の3名の方々による特別講演が行われた。

 3日間の参加者の内訳は,初日の技術発表会に48名,懇親会に55名,2日目の所外研修会には37名,3日目の技術発表会は49名であった.

 全日程に参加した技術職員(地震研究所26名、北海道大学2名,名古屋大学1名,京都大学5名,九州大学1名)対し,所外参加者を代表して福嶋麻沙代技術職員(京都大学),所内参加者を代表して八木健夫技術職員に大久保所長より修了証書が手渡された.

 

2.                  技術発表会

 

技術発表会では以下の発表があった.

(a)業務報告及び研究報告:「松本市牛伏寺断層周および松本盆地における強震観測点の設置計画について」,「ロシア極東地域での地震観測」,「跡津川大学合同観測点設置報告」,「北海道大学における地殻変動連続観測の紹介」,「ヘリコプター投下型GPS観測システムの開発 −浅間山投下試験−」,「阿蘇火山における各種観測〜磁場観測システムについて」,「浅間山集中総合観測における臨時自然地震観測点の設置」,「桜島火山観測所での業務紹介」,「観測現場から見た浅間山2004年の活動」

(b)特別講演:「海底電位磁力計を用いた上部マントル電気伝導度構造探査」,「臨時(移動)観測での悲喜こもごも −強震から微動まで−」,「地震研究所におけるアウトリ−チ活動」

 

3.                  所外研修

 

 研修会2日目は,会場を東京都三鷹市大沢の国立天文台三鷹キャンパスに移して行われた.午前中は講義,午後は施設見学というスケジュ−ルをとった.午前中の講義は野口教授による「すばる望遠鏡について」で,ハワイ島マウナケア山頂に設置された,世界最高精度の口径8.2mの反射鏡を持つすばる望遠鏡建設の記録が紹介され,世界一大きく,なめらかに磨かれた鏡が0.014ミクロンという誤差の鏡面精度でコンピュータ制御されている事や,ハイテク技術を駆使した望遠鏡駆動制御など,すばるを支える最新技術が紹介された.午後は,天文情報センタ−普及室の小池氏により天文台歴史館,開発実験棟,TAMA300重力波実験施設,太陽フレア望遠鏡などを見学し説明を受けた.

 

4.反  省

 

 職員研修会で発表を希望する所内の参加者が少なかった.技術職員の削減に伴い多忙になっている事も一因と思われるが,開催時期や,早い時期に発表の募集・依頼をする事も検討の余地がある.参加者が気軽に発表できる環境を作るとともに,グループ研修,個別研修を活性化させる事が重要で,技術職員がこの制度を積極的に利用するよう働きかける.また,教官の方々にも積極的に研修のテーマを提案していただく事も必要と思われる.

 所外からの発表,参加者が昨年は少なかったが,今年度は火山関係の合同観測が行われた折,他大学の技術職員への研修参加と発表の依頼が早くからなされ,9名の方々に参加していただくことができた.今後も各部門で合同観測に参加する技術職員も多いと思われるので,それらの機会を利用して他大学の技術職員に参加をお願いしていただきたい.

懇親会には事務の方々にも参加をして頂いた.運営などでお世話になるので,今後も参加して頂くようにしていきたい.

 

5.最 後 に

 

 職員研修会にあたっては,各大学や関連機関等の施設長には所属の技術職員に地震研究所職員研修会への参加を奨励して頂き有り難うございました.3日間にわたる開催期間中,所長,事務長をはじめ各部門主任,各センター長,事務部の皆様には,年度末を控えた大変忙しい時期に,研修会の運営などで様々なご支援ご協力をいただきました.ここに記して深く感謝申し上げます.

 

資料1.「職員研修プログラム」

平成17年度 地震研究所職員研修日程・プログラム

日時:平成18年1月23日(月)〜1月25日(水)

場所:技術発表会 東京大学地震研究所 第一会議室(5階)

   所外研修会 国立天文台三鷹キャンパス

         東京都三鷹市大沢

技術発表会

1月23日(水)13時30分〜17時00分 第一会議室

        大久保修平地震研究所長挨拶

        新谷昌人研修運営委員長挨拶

〈座長 小山悦郎〉

発表者:坂上 実(地震研究所技術開発室)

題 目:松本市牛伏寺断層周辺および松本盆地における強震観測点の設置計画について

発表者:一柳昌義(北大地震火山研究観測センタ−)

題 目:ロシア極東地域での地震観測

発表者:荻野 泉(地震研究所総合観測室)

題 目:跡津川大学合同観測点設置報告

〈休憩10分〉

〈座長 小林 勝〉

発表者:山口照寛(北大地震火山研究観測センタ−)

題 目:北海道大学における地殻変動連続観測の紹介

発表者:三浦勝美(地震研究所総合観測室)【都合により欠席】

題 目:広島地震観測所の4観測点の撤去工事報告

発表者:宮島力雄(名大地震火山・防災研究センタ−)

題 目:ヘリコプター投下型GPS観測システムの開発 −浅間山投下試験−

〈休憩 10分〉

〈座長 内田正之〉

特別講演:馬場聖至助手(地震研究所海半球観測研究センタ−)

題 目:海底電位磁力計を用いた上部マントル電気伝導度構造探査

特別講演:工藤一嘉助教授(地震研究所地震火山災害部門)

題 目:臨時(移動)観測での悲喜こもごも −強震から微動まで−

懇親会:17時30分〜18時00分 第二会議室(2階)

所外研修

1月24日(火)所外研修会:10時30分〜15時30分

 場所:国立天文台三鷹キャンパス

    講演者 野口教授

    現地案内役 天文情報センタ−普及室 小池氏

 集合:10時30分 コスモス会館会議室

講義:10時30分〜12時00分 

   すばる望遠鏡について

昼食:12時00分〜13時00分 コスモス会館食堂

見学:13時00分〜15時30分

   天文台歴史館,開発実験棟

   TAMA300重力波,太陽フレア望遠鏡他

解散:15時30分

技術発表会

1月25日(水)09時30分〜11時40分 第一会議室(5階)

〈座長 松嶋信代〉

発表者:井上寛之(京大地球熱学研究施設火山研究センタ−)

題 目:阿蘇火山における各種観測〜磁場観測システムについて

発表者:辻 浩(地震研究所総合観測室)

題 目:浅間山集中総合観測における臨時自然地震観測点の設置

発表者:福嶋麻沙代(京大防災研火山活動研究センタ− 桜島火山観測所)

題 目:桜島火山観測所での業務紹介

〈休憩 10分〉

〈座長 芹澤正人〉

発表者:小山悦郎(地震研究所総合観測室)

題 目:観測現場から見た浅間山2004年の活動

〈休憩 5分〉

特別講演:土井恵治助教授(地震研究所アウトリ−チ推進室)

題 目:地震研究所におけるアウトリ−チ活動

挨 拶:小山悦郎研修実行委員長

修了証書交付:大久保修平地震研究所長

 

資料2.(平成17年度研修運営委員会委員)

運営委員長:新谷昌人  副委員長:塩原 肇,松嶋信代

委員:内田正之,小林 勝,小山悦郎,芹澤正人,八木建夫

平成17年度職員研修会実行委員長:小山悦郎 副実行委員長:小林 勝

 

  

技術発表会                      懇親会

 

   

 所外研修 65cm屈折望遠鏡の見学)   所外研修(TAMA300重力波検出用レーザー干渉計見学)

 

 

修了証書交付