平成23年度地震研究所職員研修会報告

研修運営委員会

平成23年度地震研究所職員研修会が平成24年1月25日(水)〜27日(金)の3日間に亘り開催されましたので,ここに報告します.


1.研修会の概要

平成23年度の研修会は,昨年および一昨年と同様に「技術発表会」,「グループ研修」,「特別講演」を主な研修内容に開催されました.

1日目は13時15分の開会挨拶に続き11件の技術発表と都司准教授による特別講演(海外の地震津波調査とマラリア・狂犬病・肝炎の予防について)が行われました. 発表・講演終了後,1号館7階ラウンジにて懇親会が催され,日中は参加出来なかった教職員も交わって親睦を深めました.

2日目は3組に分かれて終日「グループ研修」が行われました. 電研精機より講師を招いた「ノイズのはなし」,中川茂樹助教による「ネットワーク講習(入門編+α)」は今年で3回目の開催となりました. 所内の現役技術職員は既に全員が第二種電気工事士の講習を受講済みでしたので,これに替わって浅間火山観測所の小山悦郎さんを講師に「測量の実習」が行われました.

3日目は再び「技術発表会」が行われ,8件の発表がありました. その後,地震火山災害予防賞表彰式が執り行われ,名古屋大学の奥田隆さんと東北大学の河野俊夫さんが受賞されました. 残念ながら河野さんはご欠席でしたが,奥田さんが受賞記念講演(スタートは水管傾斜計)をされました. 最後に,浦野幸子さんと高知大学の山品匡史さんがそれぞれ所内と他機関を代表して修了証書を授与されて研修会は終了しました. 昼休みの後,希望者に対して「地震研ラボツアー」を開催し,研修出席者の他にも所内の教職員が多数ツアーに参加しました.

研修会参加者は51名で,内訳は所内から31名,他大学・機関から20名(北大2名,東北大5名,気象庁3名,名古屋大1名,京大6名,高知大1名,九大1名,鹿大1名)でした. 3日間の全日程参加した教職員は44名で,その内訳は所内が26名,他大学・機関が17名でした. 平成4年度に現在のような職員研修会が開催されるようになって20年の節目を迎えた今年は,他大学からの参加者が多く気象庁からも3名参加されるなど,例年以上の盛況ぶりでした. また,技術発表と特別講演は自由に聴講できるため多くの教職員や学生が訪れて熱心に耳を傾けていました.


2.アンケート集計結果

研修会では更なる改善を目指して毎年参加者にアンケートをお願いしており,25名から回答を頂きました. 概ね好評を頂いて胸を撫で下ろしていますが,今年は講演数が多くて一律15分に抑えてしまった技術発表の講演時間確保や,「ノイズ」,「ネットワーク」,「電気工事士」(今年は測量)のグループ研修が一巡したため研修内容の刷新を望む声が多く揚がっています. また,経費の逼迫からプログラム冊子を廃止してPDFのダウンロードに切り替えましたが,心配していたほど反対意見が出なかったので来年度以降もPDFをダウンロードしてもらうことにします. 以下に,寄せられた意見の幾つかを紹介します.


3.研修会を終えて

今回の研修会で最大の特徴は,他大学・機関から20名も参加されたことです. その内8名の方が初参加で,地震研究所の職員研修会が全国の技術職員が交流する場として定着しつつあることを喜ばしく思います. 昨年は1月に霧島山新燃岳が噴火し,3月には東北地方太平洋沖地震が発生するなど,技術職員の出番が多い1年でした. これも参加者が増えた要因の1つでしょう. 参加者の増加はそのまま発表件数の増加に繋がり,19件もの技術発表がありました. 近年は発表件数の減少に悩まされていたので嬉しい悲鳴だったのですが,希望通りの講演時間を確保できず不満の声を複数頂きました. これだけの技術職員が一堂に会する発表会ですので,次回からは講演・質疑の時間の確保に努めたいと思います.

グループ研修は3項目を3年で一巡してもらう計画でしたが,「第二種電気工事士」は再雇用職員を除く所内の観測系技術職員は全員受講済みでしたので「測量の実習」に変更しました. 講師の小山悦郎さんは今年度で地震研を去られるため,水準測量を伝授するには今回が最後の機会でした. 目新しさも相俟って参加者の約半数が受講する人気ぶりで,無理にでも講師ををお願いした甲斐がありました.

震災予防協会賞に代わって昨年度から始まった地震火山災害予防賞ですが,その授賞式・記念講演は一旦研修会を閉じてから行うのがよいとの意見を頂きました. どのように職員研修会と地震火山災害予防賞との連携をとるのが最善なのか,更なる検討を続けます.

恒例となった最終日午後の「地震研ラボツアー」は,所内の教職員にも事前に案内されて21名(所外4名,所内17名)の参加がありました. 研修会初参加でもツアーに参加出来なかった方もありますので,来年度も開催したいと思います.

最後に,各大学・機関の施設長におかれましては,所属職員の地震研究所職員研修会への参加を奨励して頂きまして誠にありがとうございました. 特に研修会費用の窮状を察して発表者への旅費補助を辞退された東北大学の皆様には,篤くお礼申し上げます. 3日間に亘る研修会期間中は,所長,事務長を始め各センター・部門主任,事務部の皆様には特段のご配慮とご支援を頂きました. 研修運営委員一同,心よりお礼申し上げます.


4.参考資料


※平成23年度 研修運営委員会
清水久芳(委員長),望月公廣(副委員長), 内田正之(実行委員長),渡邉篤志(副実行委員長), 阿部英二,工藤和子,藤田親亮,外西奈津美,森 健彦