平成24年度地震研究所職員研修会報告

研修運営委員会

平成24年度地震研究所職員研修会が平成25123日(水)〜25日(金)の3日間に亘り開催されましたので,ここに報告します。

 

 

1.      研修会の概要

 

平成24年度の研修会は,昨年度までの内容から一部変更して,「技術発表会」,「所外研修」,「全体研修」,「特別講演」を研修内容として開催されました。

 

1日目は1315分の開会挨拶に続き4件の技術発表と山下教授による特別講演(地震のモデル昨今)が行われました。その後,地震火山災害予防賞表彰式が執り行われ,京都大学の中尾節郎さんが受賞されました。中尾さんには受賞記念講演(地震観測46年間を振り返って)を行って頂きました。発表・講演終了後,1号館2階コミュニケーションラウンジにて懇親会が催され,日中は参加出来なかった教職員も交わって親睦を深めました。

 

2日目の午前は気象庁において所外研修が実施されました。過去にも気象庁での研修は実施されていたのですが,職員の入れ替わりも進み,研修参加者のほとんどが初めてとなる気象庁研修となりました。気象庁においては,全体レクチャーの後,現業室(地震津波,火山),判定室の案内をして頂き,気象庁の行っている地震・火山業務を直に触れることができました。

午後は地震研究所に戻り,全体研修として,卜部准教授による講演(データ流通の話),職員研修会20年を記念し,渡邉研修実行委員長より特別発表(職員研修会20年の歩み)が行われました。続けて,今年度が初の試みとなる,ポスターを利用した技術発表が行われ,10件のポスター発表がありました。

 

3日目は口頭による4件の技術発表と山科准教授による特別講演(地震活動予測,火山噴火予測を目指して)が行われました。最後に,中島剛さんと京都大学の園田忠臣さんがそれぞれ所内と他機関を代表して修了証書を授与されて研修会は終了しました。

 

研修会参加者は60名で,内訳は所内から38名,他大学・機関から22名(北大4名,東北大4名,名古屋大3名,京大8名,高知大1名,九大1名,鹿大1名)でした。 3日間の全日程参加した教職員は40名で,その内訳は所内が21名,他大学・機関が19名でした。昨年度に引き続き,他大学からの多くの参加を頂き,全日程の参加者数では所内の参加者数に匹敵する参加者数となりました。

 

 

2.      アンケート集計結果

 

研修会では更なる改善を目指して毎年参加者にアンケートをお願いしており,25名から回答を頂きました。今年度は研修運営委員会の人数を削減した中,技術発表の形式にポスター発表を取り入れ,地震火山災害予防賞表彰式を初日に実施,研修会場を2号館から1号館へ変更,2日目に所外研修を実施するなど,いくつもの変更を加えた研修会となりました。そのようなことから,参加者の皆様に今回の研修会に対して支持が得られるかどうか,研修会運営に落ち度がなかったかどうか,一抹の不安を抱いていたのですが,アンケートの回答からは概ね良好な評価を頂いており,運営委員一同,胸を撫で下ろしています。特に,今年度から実施されたポスター発表に関しては,コアタイムが長すぎるのではとの意見があったものの,概ね肯定的な評価を頂きました。近年増加する講演数に対し,十分な講演時間を確保するためにも,来年度以降もポスター発表の形式を継続していくことを考えていきます。以下に,寄せられた意見の幾つかを紹介します。

 

²  研修会全体について(プログラム構成,運営,会場,予稿集,懇親会,などなど)

Ÿ   座長を外部発表者に依頼しても良いのではないか。

Ÿ   プログラム冊子の配布はできないか。

Ÿ   ポスターと口頭発表が同じ部屋で良かったが,講演の見やすさは2号館会議室の方がよかった。

Ÿ   プログラム構成は昨年度よりすっきりしたが,会場は2号館会議室の方がよかった。

Ÿ   1号館事務会議室は少し狭いようにも感じたが,悪くはないと思った。

Ÿ   マンネリ化していた二日目の研修がここ数年でなかった編成になり,大変良かった。

Ÿ   会場は明るくて良かった。

 

²  「技術発表・特別講演」について

Ø  全般について

Ÿ   特別講演も内容をかみ砕いて頂き,興味を持って聞くことができた。

Ÿ   苦労話や工夫した点など,日頃から行っている業務について話が聞けてよかった。

Ÿ   特別講演は関連する分野の人か,今後仕事で関わっていく方に発表してもらう方が良いのでは。

Ÿ   前年度よりも講演の時間に余裕があり良かった。

Ÿ   データ解析の新しい手法や可能性などの講演があれば嬉しい。

Ÿ   テレメータ装置,ロガーの発表が聞けて良かった。

Ÿ   技術発表における質問時間がもう少し長くできないか。

Ÿ   発表内容が技術職員の技術向上について充実した物になっていてよかった。

Ø  ポスターセッションについて

Ÿ   良かったが,発表件数の割に時間が長かったかも。

Ÿ   時間を気にせず質問ができ,色々な方と話ができてよかった。

Ÿ   ポスター発表者が他の方のポスターを見にいける時間が欲しかった。

Ÿ   全日に渡りポスターは張り出されていたので,発表者でもポスターを見ることができよかった。

Ÿ   コアタイムが長いように感じた。

Ÿ   もう少しポスターが増えても良いかと思う。

Ÿ   珈琲等を飲みながら行えればと思った。

Ÿ   口頭発表のみで行う方が良いのではないか。

Ÿ   ポスター紹介は直前ではなく,もう少し早く実施する方が良いかと思う。

Ÿ   技術関連の発表には口頭よりもポスターが向いていると感じた。

 

²  所外研修・全体研修について

Ÿ   業務に直結する内容でよかった。

Ÿ   貴重な機会で良かったが,余裕のある見学時間が欲しいと感じた。

Ÿ   データ流通の話は業務に直接関係あり,理解が深まって良かった。

Ÿ   気象庁では気象分野も見学してみたかった。

Ÿ   移動時間の短い近場の見学で良かった。

Ÿ   気象庁では業務に関して踏み込んだ話を聞きたかった。

 

²  来年度へ向けての希望

Ÿ   業務に関連する機関や企業などへの所外研修を希望する。

Ÿ   地震研の観測点をみてみたい。

Ÿ   現状での問題について,解決へ向けた討論会なども良いかと思う。

Ÿ   職場に戻り,活用できる内容であればよいかと思う。

Ÿ   同じ機材を使用している方々の話す場があれば嬉しい。

Ÿ   新しい機器の評価などの実習の類はどうでしょう。

Ÿ   分析などの科学実験など。

Ÿ   参加者全員に参加者リストを配布すると名前を覚えやすいと思う。

Ÿ   プログラムにおける発表者に所属が併記されていた方がよい。

Ÿ   メンタルヘルスに関する講演を希望する。

Ÿ   DIYアドバイザー講習などはどうでしょう。

Ÿ   電気工事士の実習を希望します。

Ÿ   全体研修では教員による講義もよいかと思います。

Ÿ   開催地を京都大学とか他機関で行うのもどうでしょう。

 

²  その他,ご意見・ご要望

Ÿ   運営委員会がテーマを決めて,その関連の発表を招待や依頼することで参加する期間が増えるのではないでしょうか。

Ÿ   参加者へ強い口調で命令するのは如何なものか。

Ÿ   「比較」する発表などどうでしょう。例えば,臨時観測における地震計の設置法や使用機材の紹介,定常点の観測形態など。

Ÿ   会場で水が飲みたかった。

Ÿ   他大学と自分の職場の違いをもう少し理解したかった。

Ÿ   教員の参加が少なかったと思います。

 

 

3.      研修会を終えて

 

今回の研修会においても,他大学から22名の参加を頂き,自然観測系の技術職員の集まりとしては国内最大の場へと成長してきました。このように地震研究所の職員研修会が全国規模の研修へと定着してきたことは喜ばしい限りなのですが,運営委員会としては発表者の増加への対応に悩んできたことも事実です。今年度は,このような発表件数の増加に対応するため,技術発表においてポスター発表を取り入れました。初めての試みであり,運営に至らぬ点も多々あったと思いますが,皆様のご協力の下,スムーズな進行ができたと感じています。また,ポスター発表の形式を導入したことで,口頭発表の持ち時間を昨年度より5分長い20分へと拡大することができ,プログラム編成に余裕を持たせることもできました。来年度におきましても,ポスター発表の利用をお願いし,講演時間の十分な確保に努めたいと考えております。一方で,経費逼迫から今年度もプログラム冊子の配布をやめ,PDFのダウンロードをお願いすることになりました。来年度以降もプログラム冊子の配布は難しいかと考えておりますが,発表申込時に記入をお願いしている発表の概要をプログラム中に組み込む等,発表の内容が一目できるような改善を検討します。

 

地震火山災害予防賞の授賞式・記念講演ですが,今年度は研修会の一環として実施させて頂きました。中尾さんには職員研修の場に相応しい記念講演を行って頂き,職員研修会と連携したのは良かったのではないかと考えています。来年度につきましては,今年度と同様に連携して行うのがよいか,研修会とは切り離して行うのか,全体のプログラム編成を考慮しつつ,運営委員会で検討をしていきたいと考えています。

 

2日目の研修は昨年度までのグループ研修をやめ,気象庁への所外研修と全体研修の組み合わせで実施させて頂きました。気象庁への所外研修,卜部准教授によるデータ流通の話ともに参加者から高い評価を頂き,ありがたく思っています。来年度の研修においても,日頃の業務に直結した意義の高い内容になるよう,運営委員会で研修内容の議論を進めていくと共に,他機関の関係者へもご意見を伺っていきたいと考えています,

 

先輩諸氏のご尽力もあり,地震研究所の職員研修は20年を越えることができました。これからの10年,20年へ向けて,この研修会をより良い場へと成長させ,職員のさらなる能力向上の一助となるよう,研修運営委員会一同,真摯に取り組んでいきたいと考えています。加えて,この研修会をより全国的な自然観測系の職員研修会(技術研究会)へと発展させていくために,企画運営を地震研究所だけでなく,他大学・機関の職員と連携・協力して進められるような態勢作りに取り組んでいければと思っています。

 

最後になりましたが,各大学・機関の施設長におかれましては,所属職員の地震研究所職員研修会への参加を奨励して頂きまして誠にありがとうございました。3日間に亘る研修会期間中は,所長,事務長を始め各センター・部門主任,事務部の皆様には特段のご配慮とご支援を頂きました。研修運営委員一同,心よりお礼申し上げます。

 

4.      参考資料

Ÿ   職員研修会のアルバム

Ÿ   研修会プログラムとアブストラクト

Ÿ   職員研修会のご案内

 

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※平成24年度 研修運営委員会

望月公廣(委員長),今西祐一(副委員長),渡邉篤志(実行委員長),森 健彦(副実行委員長),工藤和子,辻 浩,八木健夫,浦野幸子