平成25年度地震研究所職員研修会報告
研修運営委員会
平成25年度地震研究所職員研修会が平成26年1月22日(水)〜24日(金)の3日間に亘り開催されましたので,ここに報告します。
1.
研修会の概要
平成25年度の研修会は,昨年度の内容を一部変更し,「技術発表会」,「所外研修」,「特別講演」を研修内容として開催されました。
1日目は13時15分の開会挨拶に続き4件の口頭による技術発表と15件のポスターによる技術発表が行われました。その後,地震火山災害予防賞表彰式が執り行われ,地震研究所の坂守さんと京都大学の三浦勉さんが受賞されました。坂さんと三浦さんには受賞記念講演を行って頂きました。発表・講演終了後,地震火山災害予防賞受賞者を囲んでの記念撮影,1号館2階コミュニケーションラウンジでの懇親会が催され,参加者同士の親睦を深めました。
2日目は農学部構内から貸し切りバスに乗り込み,つくばの国土地理院,柿岡の気象庁地磁気観測所へ向かい,所外研修を実施しました。午前は国土地理院を訪れ,全体レクチャーの後,屋外施設である電子基準点とVLBIアンテナを見学・説明して頂きました。VLBIアンテナでは実際に稼働していただき,その大きさに参加者は驚きの声を上げていました。その後,地図と測量の科学館内を各自見学し,地図作成に関する様々な資料を目の当たりにすることができました。昼食後,気象庁地磁気観測所を訪れ,全体レクチャーの後,観測所内の各施設を見学・説明して頂きました。また,オーバーハウザー磁力計を用いた磁気測量の実演も披露して頂き,地磁気観測業務の大切さや難しさを直に触れることができました。
3日目は口頭による5件の技術発表とグループ研修報告,そして,東京大学産業医である大久保靖司先生による野外活動における有害動物への対応についての特別講演が行われました。最後に,西本太郎さんと東北大学の海田俊輝さんがそれぞれ所内と他機関を代表して修了証書を授与されて研修会は終了しました。
研修会参加者は59名で,内訳は所内から32名,他部局から7名,他大学・機関から20名(北大1名,東北大5名,名古屋大5名,京大6名,高知大1名,九大1名,鹿大1名)でした。 3日間の全日程参加した教職員は42名で,その内訳は所内が21名,他部局が1名,他大学・機関が20名でした。昨年度に引き続き,他大学からの多くの参加を頂いたとともに,学内の他部局からも参加頂きました。全日程の参加者数では,所内の参加者数は所外の参加者数と同数になっています。
2.
アンケート集計結果
研修会では更なる改善を目指して毎年参加者にアンケートをお願いしており,27名から回答を頂きました。今年度の技術発表においても,昨年度に引き続き,ポスター発表を取り入れさせて頂きました。今年度のポスター発表のコアタイムは,プログラム編成上,昨年度の半分程度の時間となりました。昨年度のアンケートの回答でコアタイムの長さを指摘されており,奇しくもコアタイムの縮小を実現したわけですが,今年度の回答からは逆にコアタイムが短いとのご意見を頂きました。また,ポスター発表の件数が多く,口頭発表の件数を増やして欲しいとのご意見も頂きましたが,研修会の期間中に実施できる口頭発表の枠数に限界があり,なかなかご要望にお答え出来るプログラム編成を実施できないのも実情です。一方で,2日目に丸一日かけて実施した所外研修に関して,皆様から肯定的な評価を頂き,企画が上手くいったのではないかと,運営委員一同,胸を撫で下ろしました。来年度におきましても,今回頂いたアンケートを参考に,さらに充実した研修会を目指して準備を進めていきたいと考えています。以下に,寄せられた意見の幾つかを紹介します。
² 研修会全体について(プログラム構成,運営,会場,予稿集,懇親会,などなど)
懇親会会場とポスター会場が同じで,飲食しながら議論できたのがよかった。
ポスターセッションの時間が短かった。
ポスター発表の件数が多いと感じた。口頭発表の件数を増やして欲しい。
満足できる研修会であった。
休憩時間が短かった。
² 「技術発表・特別講演」について
特別講演は役だった。同じ内容でも数年に1回繰り返してもよいのではないか。
他部局の発表は良かった。地震・火山分野外の話しも聞いてみたい。
ポスター発表者がポスターをみる時間を作って欲しい。
ポスター発表が多すぎて時間が足りなかった。
様々な分野の講演が聞けて参考になった。
口頭発表は15分ぐらいで良いのではないか。
² 所外研修・全体研修について
業務に関連する機関であったので良かった。今後に役立つと思う。
バス移動が長く,現地集合が良かった。
関東に行かないとみることのできない施設への研修を今後も希望する。
² 来年度へ向けての希望
来年度も所外への研修を希望します。
GIS研修。
太陽電池とバッテリーのシステム構築の方法や実演など。
アウトリーチ活動について。
電子工作や3DCAD。
テーマを決めて話題を持ち寄るようなスタイルも良いかなと。
地震の専門外の方もおられるので,初心者向けのセミナーなど。
ポスターセッションを継続し,セッション時間を延長して欲しい。
駒場キャンパスの見学(ガラス加工場)など。
プログラミング実習。
実習系の研修や観測技術の研修。
² その他,ご意見・ご要望
盛りだくさんで良かったです。
ポスターの印刷サービス(実費負担)。
参加者一覧の名簿があれば良かった。
学内の学生さんや教職員も立ち寄ることができれば良いのではないか。
口頭発表の質問にマイクを使って欲しかった。
参加申込前にプログラムが発表されればと思った。
地震研の場所がわかりにくかった。案内表示を多めに出して欲しい。
1年の仕事をまとめる良い機会なので,今後も続けて欲しい。
地震・火山系の技術職員が集まる全国唯一の研修で,参加することでモチベーションが上がる。
発表1日,見学1日の2日間のプログラムを希望する。
3. 研修会を終えて
今年度の研修会においても,他大学から20名の参加を頂き,地震・火山観測系の技術職員の集まりとしては国内最大の場に成長しました。このように地震研究所の職員研修会が全国規模の研修の場として定着したことは喜ばしい限りなのですが,運営委員会としては,発表者増加への対応に悩んできたことも事実です。このような発表件数の増加に対応するため,昨年度よりポスター発表を取り入れてきました。また,ポスター発表の導入により,口頭発表の持ち時間を20分にすることができ,口頭発表における議論の時間も十分に取れたのではないかと考えています。しかしながら,ポスター発表の増加に伴い,ポスター発表講演者が他のポスター講演を聴けないなど,問題点も浮き彫りになってきました。学会などを含め,どのような研修会においても,ポスター講演者が他のポスターをみることができないという問題は永遠の課題と言えます。講演者の要望を100%満たすことは難しいと思いますが,コアタイム以外にもポスターを見て,議論を行える時間が取れないか,次年度の課題として検討致します。
地震火山災害予防賞の授賞式・記念講演ですが,今年度も研修会の一環として実施させて頂きました。坂さん,三浦さんには職員研修の場に相応しい記念講演を行って頂き,職員研修会のプログラム内で実施できたのは良かったのではないかと考えています。しかしながら,災害予防賞をプログラム中に組み込むことで研修会の運営時間を短くするのも事実です。今年度の状況を見る限り,職員研修会と連携して地震火山災害予防賞の授賞式・記念講演を行うのが良策と思われますが,全体のプログラム編成を考慮しつつ,運営委員会で検討する課題の一つであると認識しています。
2日目の研修は丸一日費やして,国土地理院及び気象庁地磁気観測所への所外研修を実施させて頂きました。両機関への研修には,参加者から高い評価を頂き,ありがたく思っています。来年度の研修におきましても,日頃の業務に直結した意義の高い内容になるよう,運営委員会で研修内容の議論を進めていくと共に,他機関の関係者のご意見も伺っていきたいと考えています,
今年度も参加された皆様のご協力もあり,無事に研修会を実施することができました。現在,技術職員に期待される能力は高まっており,日々の業務への専門的な要求が高まってきています。技術職員のより高度な専門的技術の探求・獲得のためにも,この研修会をより良い場へと成長させ,さらに全国的な地震・火山観測系の職員研修会(技術研究会)へと発展させていかねばならないと思っています。そのためにも,企画運営を地震研究所だけでなく,他大学・機関の職員と連携・協力して進められるような態勢を作ることができないか,難しい課題ではありますが,模索は続けていければと考えています。
最後になりましたが,各大学・機関の施設長におかれましては,所属職員の地震研究所職員研修会への参加を奨励して頂きまして誠にありがとうございました。3日間に亘る研修会期間中は,所長,事務長を始め各センター・部門主任,事務部の皆様には特段のご配慮とご支援を頂きました。研修運営委員一同,心よりお礼申し上げます。
4.
参考資料
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※平成25年度 研修運営委員会
今西祐一(運営委員長),安田 敦(運営副委員長),森 健彦(実行委員長),八木健夫(実行副委員長)
井本良子,辻 浩,中島 剛,増田正孝