平成27年度地震研究所職員研修会報告
研修運営委員会
平成27年度地震研究所職員研修会を平成28年1月27日から29日の3日間にわたり開催いたしましたので, ここに報告いたします.
1.
研修会の概要
研修会は昨年度と同様に「技術発表」,「所外研修」,「特別講演」を主な研修内容として開催しました.
1日目は開会挨拶に続き, 7件の口頭による技術発表と13件のポスターによる技術発表が行われました.ポスター発表の終了後, 今年度で退職される坂守氏, 井本良子氏, 森健彦氏を囲んでの記念撮影を行い, 参加者と交流を深めるための懇親会を主催しました.
2日目は公益財団法人鉄道総合技術研究所および国立極地研究所で所外研修を実施しました.午前は鉄道総合技術研究所を訪れ, 研究所の概要紹介や研究設備の見学, 講演会を行っていただきました.午後は国立極地研究所を訪問し, 南極・北極科学館の見学, 金尾政紀准教授による講演や設備見学を行いました.
3日目は4件の口頭による技術発表と1件の研修報告, そして元地震研究所准教授である卜部卓氏による特別講演「私の技術開発」が行われました.最後に池澤賢志氏と名古屋大学の高木菜都子氏が, 所内と他大学・他機関をそれぞれ代表して修了証書を授与されて,研修会は終了しました.
研修会参加者は45名で, 内訳は所内から25名, 他大学および他機関から20名(北大3名, 東北大4名, 東大海洋研1名, 名古屋大4名, 京大5名, 高知大1名, 九大1名, 鹿児島大1名)となりました.3日間の全日程参加者は40名で, その内訳は所内が21名, 他大学および他機関が19名でした.昨年度に引き続き, 所外からの多くの参加をいただきました.
2.
アンケート集計結果
研修会ではさらなる改善を目指して毎年参加者にアンケートの協力をお願いしております.アンケートでは口頭発表, ポスター発表, 所外研修, 特別講演について5段階で評価を行っていただきました. また次年度には全国の大学の技術職員の参加する総合技術研究会が2017年3月9日と10日に開催される予定であるため, 職員研修会と総合技術研究会のどちらに参加予定かどうか, 職員研修会の日程変更を希望するか等もお聞きしました. 32名の方から幅広い意見をいただくことができました.これらの意見を参考に, さらに充実した研修会を目指して準備を進めていきたいと考えております. 以下に寄せられた意見のいくつかを紹介いたします.
² 「技術発表(口頭発表)」について
A〜Eまでの5段階評価でAが11名, Bが19名, Cが2名でした.
· 発表件数, 時間ともに適切であった.
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観測方法, 機材についての情報収集ができた.
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もう少し基本的なアプローチもふまえてから, 発表に臨んだ方がよいと思えるものがあった.
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普段あまり詳しく聞けない内容にも触れられて参考になった.
² 「技術発表(ポスター発表)」について
A〜Eまでの5段階評価でAが10名, Bが20名, Cが2名でした.
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コアタイムが2部に分かれていることが良かった.
· コアタイムをもう少し増やして欲しい.
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時間的余裕もあり多くのポスターの解説を聴くことができた.
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それぞれ興味深く, 大変勉強になった.
² 「所外研修(鉄道総合技術研究所と国立極地研究所)」について
A〜Eまでの5段階評価でAが17名, Bが12名, Cが2名でした.
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地震関連の内容が多く盛り込まれている点がとてもよかった.
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1日で2機関で研修をおこなうことが少々大変だった.
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集合時刻が早すぎた.
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他大学や他機関の研究や業務内容を知ることができ,大変刺激になった.
² 「特別講演(私の技術開発)」について
A〜Eまでの5段階評価でAが23名, Bが7名, 無記が2名でした.
他の項目と比較してもっとも好評でした.
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過去の観測の状況や技術開発の進歩が良くわかり, 楽しみながら聴講できた.
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業務のための心得が参考になった.
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海底地震計の歴史が知れて興味深かった. 写真が面しろかった.
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観測の機器と方法の変った点, 変らない点がわかり非常に興味がもてた.
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古い写真が良かった.
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理由なんてない!有り難う!
² 「全体(プログラム構成,運営,会場,予稿集,懇親会,等々)」について
A〜Eまでの5段階評価でAが9名, Bが19名, Cが3名, 無記が1名でした.
B A
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大変充実した内容でした.
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全体として安定感は出てきた一方で, いつもと同じ感がある.
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プログラムに会場案内図などの細かな記載の配慮があったことが良かった.
² 「所外研修」で行ってみたい機関や施設
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科学未来館
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情報通信研究機構
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防災科学技術研究所
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地震研究所の観測所,観測点
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海上保安庁
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産業技術総合研究所
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神奈川県温泉地学研修所
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東京航空地方気象台(羽田空港)
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国立天文台
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宇宙航空研究開発機構
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地震計メーカー,測器メーカーの関連企業
(敬称略)
² 「所外研修」の代わりとして「所内研修(座学,実習等)」で受講してみたい内容
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WEBデザイン
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データ流通実習
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WINの読みとり実習
² その他, ご意見やご要望
· 各大学の組織や運営法についてなど, 業務を進めるための仕組みについてのセッションを設けてほしい.
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ポスター発表の方がじっくり話を聞けるので, ポスター発表のコアタイムの時間を少し増やして欲しかった.
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参加者名簿があったほうが良かった.
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全国の地震や火山の観測の技術者が情報交換を行う貴重な機会だと思う.
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少しは実習的なことを取り入れてほしい.
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全体的に充実していて良かった.
3.
おわりに
今年度の研修会も例年どおり,地球物理観測の繁忙期を避けて1月に開催されたこともあり, たくさんの皆様の参加をいだたきました.また, 今年度は地震火山災害予防賞表彰式およびその記念講演がなかったこともあり, 技術発表に多くの時間を割り当てることができました. 発表件数も昨年よりも4件多い24件となりました.発表してくださった皆様には心より御礼申し上げます. 技術発表では,地球物理観測を行った成果や経験談を数多くいただいた他, アウトリーチの話題や実験業務の話題なども発表していただきました. 口頭発表では多くの質問や意見が交わされ、ポスター発表でも活発な議論が行われました. 今年度は,ポスター発表のコアタイムを前半と後半に分け, 発表者にも他の方のポスターを閲覧し議論できる時間を用意しました. コアタイムの分割についてもアンケートで肯定的な意見をいただきました. 所外研修については,一日でできる最大限の研修をとの思いから, 午前は鉄道総合技術研究所, 午後は国立極地研究所で研修を行いました. 集合時間が朝早かったため, 疲れが見られる参加者もおり, スケジューリングは今後の課題となりました. 一方で所外研修の内容に関しては非常に好評でした. 日頃の業務に近い早期地震警報システムの話題や極限環境における地震観測の話をしていただいたことや, 実際の装置を見学させていただいたことなどが理由としてあげられます. 来年度の研修2日目の研修内容についても, 意義の高い内容になるよう,アンケートに寄せられた意見を参考にさせていただきながら,運営委員会で議論を進めていきたいと考えております.
今年度も3日間の開催期間中に多くのプログラムを実施いたしましたが,皆様のご協力に支えられまして,盛会裏のうちに終了させることができました.アンケートでは研修会の充実ぶりを評価する意見を数多くいただき,感謝申し上げます.今年度の研修会が, 情報や技術を共有するための情報交換や議論の場として,あるいはそのきっかけと成り得たのであれば望外の喜びであります.地震研究所職員研修会が,来年度以降,皆様にとってより良い場となるよう,研修運営委員一同,真摯に取り組んでいきたいと考えています.今回参加された皆様におかれましても,所属されている大学や機関におきまして観測や開発でご活躍いただき, ぜひ来年度の研修会で,その成果や技術研鑽の様子などを紹介いただきますようにご期待申し上げます.
最後になりましたが,各大学や関連機関の施設長には,所属の職員に研修会への参加を奨励していただきまして誠にありがとうございました.また研修会の開催期間中は,所長,事務長をはじめ各センター長,各部門主任,事務部の皆様にさまざまなご支援とご協力をいただきました.研修運営委員一同,心より御礼申し上げます.
1.
参考資料
研修会プログラム
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※平成27年度
研修運営委員会
市原 美恵(運営委員長),長尾 大道(運営副委員長),増田正孝(実行委員長),芹澤 正人(実行副委員長)
安藤美和子, 井本良子,浦野幸子,竹内
昭洋, 西本太郎