令和3年度地震研究所職員研修会報告

研修運営委員会

令和3年度地震研究所職員研修会を令和4年2月3日(木)~ 4日(金)の2日間にわたり開催しましたので,ここに報告いたします.

1.研修会の概要

 本研修会は例年3日間の集合研修で企画しておりましたが,コロナ禍の続く状況を鑑み,昨年度に引き続きオンライン開催といたしました.これに合わせ,従来の「技術発表」・「所外研修」・「特別講演」の3構成から,「技術発表」に相当する「口頭発表」および「ポスター発表」,「特別講演」に加え,昨年から新たに始めた「自己紹介セッション」の4構成へ変更し,これらを2日間の日程で開催しました.

 <1日目> 開会式に引き続き,自己紹介を2セッション,口頭発表(3件)とポスター発表(5件)を行いました.

 <2日目> 初めに研修報告(2件)と自己紹介最後のセッションを,続いて小屋口剛博教授(東京大学地震研究所)による特別講演を行いました.その後,口頭発表(6件),つづいて地震火山災害予防賞の授賞式(受賞者:京都大学 山崎友也氏,鹿児島大学 平野舟一郎氏)と受賞記念講演が行われ,最後に地震研究所所長佐竹教授の講評と本研修会実行委員長の挨拶をもって修了式といたしました.

 本研修会への事前参加申込者のうち,2日間全ての研修に参加をご希望された方は36名で,その内訳は所内19名,学内(地震研以外)1名,他大学16名でした.一部のみご参加いただいた方や,特別講演の聴講を含めると60名以上の方々にご参加いただきました.また,今回は研修会の全日程を録画し,申込者に公開するとしましたところ,日程が合わず当日参加は叶わない方から,後日動画を視聴したいとの申込みも4件いただきました.

2.アンケート回答概要

 研修会ではより良い運営を目指して,毎年参加者にアンケートをお願いしております.今回は25通の回答をいただきました.アンケートにお答えいただいたみなさまに感謝申し上げ,ここに要約してご紹介いたします.

 問1-2では研修会の内容を項目別に5段階で評価していただきました.全ての項目(「口頭発表」・「ポスター発表」・「自己紹介セッション」・「特別講演」・「全体」)で概ね高い評価をいただきました.その中でも特に口頭発表の評判が良かったようです.昨年度に引き続き行った自己紹介セッションでは,「親近感が湧きました」「もう少し時間枠をとっても良かった」とお楽しみいただけた様子が伺えました.工夫を凝らした自己紹介で会を盛り上げてくださったみなさまに感謝いたします.また,今回ポスター会場として採用した仮想空間ツール oVice については,「非常に面白い試み」「ポスターの聴衆者が分かりやすく良かった」「会場を移動している感じが味わえた」とのお声をいただけました.

 問3-8では次回の参加予定と開催時期,開催形式の要望をお伺いしました.大多数の方々が次回も参加していただけると回答して下さり,たいへんありがたく感じております.また,ほぼすべての方が例年と同じ1月~2月上旬の開催を希望されていました.参加された方の多くは地震火山の観測に関わっていらっしゃることから,野外観測が比較的少ないこの時期が研修会に参加しやすく,開催時期として適切なのだろうと思います.
 開催形式では,対面集合とリモートのハイブリッドを望む方が半数,残り半数は,対面集合のみとリモートのみが同数でした.どちらの形式も良い面があり,参加される方の都合により選べる方が良いのかもしれません.実行委員会の負担も考慮しながら,できるだけ多くの方に快適に参加いただける形を目指したいと思います.

 問9-12では研修のあり方,および希望される所外研修の訪問先や,所内研修の内容をお伺いしました.ほとんどの方が所外研修を望むとのお答えで,訪問先として気象庁を筆頭に宇宙航空研究開発機構,産業技術総合研究所など多くの研究所や施設,企業を挙げていただきました.一方,所内研修では,機械工作,光ケーブル加工,地震観測,等のご希望をいただきました.所外研修の希望が多分野にわたり,みなさまの業務の幅や興味の方向性の広さがうかがえる一方,所内研修では今より深い知識と技術の習得が望まれていることが分かりました.

 問13では特別講演の講師や内容についてのご希望をお伺いしました.講師は地震研究所内外の教員複数名のお名前を,講演内容はGPS(GNSS)や西之島についての話を聞きたい,というご要望をいただきました.

 問14では修了証書の配布形式についてお聞きしました.昨年度からオンライン開催に合わせてPDFでの証書発行としたところ,ほとんどの方がPDFなどの電子データをご希望でしたが,従来の紙の証書を希望される方もいらっしゃいました.どちらの発行も対応いたしますので、お気軽にご要望をお知らせいただければと思います.

 問15では発表された方を対象に,気が付いた点やアブストラクトテンプレートへのご意見を伺いました.発言者の表情や聞き手の反応が捉えにくく,不安になった,心配だったとのご意見が寄せられました.オンライン開催ならではの弱みではありますが,カバーするべく改善を図りたいと思います.

 問16ではその他のご意見等をお伺いしました.多くの方から感謝のお言葉,委員へのねぎらいのお言葉をいただき,嬉しい限りです.本問ほか,アンケート全体を通して,オンライン開催のメリット・デメリット,運営の良かったところ・至らなかったところ,と率直にご意見いただき,大変参考になりました.とくに,オンラインによる顔合わせが浸透するなか,同じ場所に会して話すことを希望する声も多く寄せられました.いただいたご意見,お言葉を糧に,次回もさらに充実した研修会を目指していきたいと考えております.

3.研修会を終えて

 本研修会には,所内・学内からの参加のみならず,北海道大学,東北大学,名古屋大学,京都大学,高知大学,鹿児島大学よりご参加いただきました.コロナ禍を感じさせないフィールドでの活動や観測を支える新しい試みなど,例年にも増して多岐にわたる発表がなされました.この研修会は,専門部会や学会とは異なり,自由に技術や情報共有,問題提起ができる場です.これからも,話題の新旧や分野に気兼ねすることなく,積極的に発表していただければと思います.地震や火山に関わる全国の技術系職員や省庁・研究所職員が普段の業務活動で得られた知識や経験を共有する場として,本研修会が活用されれば幸いです.

4.謝辞

 職員参加につきまして,ご賛同及び格別のご配慮をいただきました各施設長のみなさま,開催期間中の業務につきましてご配慮いただいた所内教員のみなさま,特別講演の依頼を快くお引き受けいただいた小屋口先生,事務手続きや受付・修了証の発行等でご協力いただいた所内職員のみなさまに,委員一同,心よりお礼申し上げます.

5.参考資料


※ 令和3年度 研修運営委員 ※

馬場 聖至(運営委員長) ・ 石山 達也(運営副委員長) ・ 上原 美貴(実行委員長) ・
藤田 親亮(実行副委員長) ・ 浦野 幸子 ・ 宮川 幸治 ・ 渡邉 篤志 ・ 秋山 峻寛 ・橋本 匡