GOTIC2で潮汐補正値を計算する

2009/02/18
2019/06/19 一部訂正
東京大学 地震研究所
渡邉 篤志

重力加速度は,月や太陽の引力の影響などで僅かながら時々刻々変化しています. この変化はとても小さいので普段の生活には全く影響しませんが, 重力を精密に測定する場合はこれを見積もって補正する必要があります. ここでは,Windows XP上で国立天文台で公開されている潮汐予測システム GOTIC2 を使って潮汐による重力変化を計算します. GOTIC2は非常に優秀で,潮汐に関する様々な値を予測できます. が,ここでは紹介しませんので,詳細は展開したファイルの中にある README_GOTIC2_041025_Jp(Shift-JISのテキストです)を読んで下さい.

  1. 国立天文台水沢観測所のNAO.99b 潮汐予測システムから"gotic2_041025_Win_withNAO.zip"をダウンロードして,適当なディレクトリに展開します.以後,展開したディレクトリ内で作業を進めます.

  2. 設定項目(カード)と設定値(パラメータ)を記述したテキストファイル(制御ファイル)を作成します.exam1.txtは地震研究所における21分潮重力を計算させる例です. 説明は以下の通り.
    カードパラメータ説明
    STAPOSDERI, 139.75956, 35.71869, 21.0, 0.0観測点名, 東経(度), 北緯(度), 高度(m), 方位角(度)
    (方位角は,重力の計算に不必要だが"0.0"で埋める)
    WAVEALL全ての分潮(短周期潮汐16分潮+長周期潮汐5分潮)を計算する
    KINDGV重力(GraVity)を計算する
    MESH4 ON4次メッシュを使用する
    GREENF2遠藤・大久保(1983)による1066A地球モデルに基づくGreen関数を使用する
    END 設定終わり

  3. コマンドプロンプで以下のように実行すると,21分潮重力を計算してresult1に書き出します.
    同じ座標の補正値を計算するのであれば,前回の計算結果を使い回せるので 4. にSkip.
    少し時間がかかるので,お茶でも飲みながら待ちましょう.
    gotic2 < exam1.txt > result1

  4. 時系列重力予測を計算させる制御ファイルexam2.txtを作成します. 説明は以下の通り.
    カードパラメータ説明
    STAPOSDERI, 139.75956, 35.71869, 21.0, 0.0観測点名, 東経(度), 北緯(度), 高度(m), 方位角(度)
    (方位角は,重力の計算に不必要だが"0.0"で埋める)
    WAVEALL全ての分潮(短周期潮汐16分潮+長周期潮汐5分潮)を計算する
    KINDGV重力(GraVity)を計算する
    MESH4ON4次メッシュを使用する
    PREDICT1, 200902160600, 200902160730, 5固体潮汐+海洋荷重を2009年02月16日07時30分(UTC)から2009年02月16日06時40分まで5分間隔で予測
    PREXFLresult1予め計算しておいた21分潮重力
    PREFMT5, 4計算結果を"年/月/日 時:分 μgal"の書式で出力
    PREOUTresult2.txt出力ファイル名

  5. コマンドプロンプで以下のように実行すると,result2.txtに予測値が出力されます.
    gotic2 < exam2.txt
    補正値と予測値は符号が逆ですので, PREFMT 5, 2 とすれば補正値がファイルに書き出されます.

  6. 毎回コマンドプロンプトでコマンドを実行するのは面倒だという人は,5. のコマンドを書いたバッチファイルを作っておきましょう.あとはこれをダブルクリックするだけでOK.
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