ERI Zengaku Zemi
水と地震発生
上嶋 誠

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太平洋プレートやフィリピン海プレートなどの沈み込む海洋性プレートからの脱水によって,地下深部から定常的に水が供給されている日本列島においては,地殻や上部マントルに局在する水が,弱体となって歪集中をもたらすとともに様々な地震活動を規定し,メルトの生成を介して火山活動を規定していると考えられます.一方,水やメルトが存在すると,電気が流れやすくなり,地震波の進行速度が遅くなります.従って地下間隙流体のマッピングのために,電気の流れやすさ(電気伝導度)や地震波速度が地下深部でどのように分布しているかを調査する研究が内陸地震発生域や火山周辺域で盛んに実施されるようになりました.

本ゼミでは,MT法とよばれる,太陽活動などによってもたらされる自然起源の電磁場変動を用い,それが地下に浸透していく様子を調べることにより電気伝導度構造を知る探査手法を紹介し,電気伝導度・地震波速度構造をあわせて解釈することで日本列島下に分布する水の状態についてどのような情報が得られつつあるか,水と地震発生・歪集中との関連などについて議論します.