第3回 地震とは何か

3.2 地震とは断層である

地震は新しい破壊面を作るのはまれで,地震にとっては,既存の弱面・断層をすべる方が楽(!)である


実験室における摩擦滑りの実験(Byerlee, 1978)

横軸が法線応力,縦軸が剪断応力 (すべりが起きたときの)

様々な岩石のデータをいっしょにプロットしてあるが,きれいな直線に乗る関係は一定

法線応力<2kbar   tau = 0.85 sigma_n

法線応力>2kbar   tau = 0.5 + 0.6 sigma_n

tau      剪断応力, sigma_n   法線応力

(Byerlee の法則と呼ぶことがある)


実際の断層運動は,このように断層面にはたらく法線応力の影響をうける.

クーロンの破壊条件 (Coulomb failure criterion)

剪断応力から法線応力に摩擦係数を掛けたものを引いたものをクーロン応力と呼ぶ:

(クーロン応力) = (剪断応力) − (摩擦係数)x(法線応力)

このクーロン応力が断層面上である大きさを超えるときに破壊が起きるのを,

クーロンの破壊条件 という.

クーロン応力の変化DCFF) を見積ることで,地震の起き易さ・起こり難さの変化が評価できるという

考え方があり,地震の長期予測・余震の予測などに役立つという期待がある.