レポート課題2 (締め切り6月5日)


問題1:

 平坦地球(flat Earth)でのプレート運動を考える.図のように四角で囲まれた領域にA,B,C3つのプレートがあるとする(四角の外側には同様のプレート境界が果てしなく続くと考えよ).今プレートA-C , B-C間の相対速度は図のように与えられるとする.さらにプレートBはプレートCに直角に沈み込んでいるとする.

(1)プレートAに対するプレートBの速度ベクトルを求めよ.また,A-B 間の片側発散速度(図の?)を求めよ.

(2)三重会合点(Triple Junction: 三つのプレート境界が交わる点)Tは,プレートCに対してどの様に動くか説明せよ.

(3)図のようなプレートの相対運動が今後維持されるとして,Tからおよそ100km程離れたプレートC上の点X,Yに関して,今後2千万年間になにが起こるか推測せよ.


問題2:

 海底地形に見られるトランスフォーム断層の延長上の線的な地形の構造(相対運動のない部分=地震の起きない部分)は「断裂帯」と呼ばれ,その両側で海洋プレートの年齢が異なることが知られている.ある断裂帯で,両側のプレートの年齢が25Ma, 30Ma`の時,断裂帯での地形の変化(壁の高さ)を求めよ.


解答1:

下図のような速度ベクトル空間で図示すると物事は簡単になる.


(1)三角形ABCは,AC=3,BC=4の直角三角形だから,AB=5cm/yとなり,AVBは東向き5cm/yearとなる.また片側発散速度は相対速度の半分の2.5cm/yearである.

(2)上図の速度空間で,ABの境界(発散境界,中央海嶺)上の点は,ABの中点Mを通る垂直二等分線ab上に必ずのる.またAC, BCの境界上の点は,はプレートCに対して常にその境界線(図のac)上にあることになる(これはそれぞれの境界が,横ずれ,収束境界(プレートBが沈み込む)であることによる).

この図で三重会合点Tは,三つの境界に共通する点なので,abとacの交点で表される.従って,CVTは図より決定できる.

ここで3角形ABCとAMTが相似な3角形であることより,

AB:AC=AT:AM

AT = ABxAM/AC=5x2.5/3=25/6cm/y

CT = AT-AC = 25/6-3=7/6=1.17cm/y

従って,三重会合点TはプレートCに対して,BとCの境界(プレートCの縁)にそって南南東に約1.17cm/yの速さで移動していく.

(3)(2)より,プレートC上の点Xにおいては,今後永遠にプレートAとの横ずれ境界が観測される.一方点Yにおいては,100km/(1.16cm/year) = 100km/(11.6km/Ma) =8.6Ma,すなわち約860万年後に沈み込み境界(プレートBによる)から,横ずれ境界(プレートAとの)への急激な変化が起こり,地震の起き方,火山活動の有無などの地学現象にドラスティックな変化が起きる.



解答2:

講義ノートより,海洋プレート上面の水深は中央海嶺を基準にして

H(km) = d + 0.31 sqrt( T(Ma))

で深くなる(dは海嶺での水深).

今,中央海嶺の水深がどこでも同じであるとして, 25Ma, 30Maのプレートの水深差は

0.31x(sqrt(30) - sqrt(25)) = 0.15km =150m

である(理論値0.31の代わりに実測値.35を使っても可)