南海道NECESSArrayとは? | [HOME] |
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背景:
中国東北部での大規模な広帯域地震観測(NECESSArray計画)は2008年夏から
展開される予定であったが,四川地震の発生を含む中国国内の予測不能な事情により,
観測点展開が遅れている(2008年10月現在,観測開始は2009年7月に
なることが確定している).
40セットの広帯域地震観測機材の有効利用,実フィールド観測実施による観測機器のテスト,
などのため,西南日本(紀伊半島・四国東部)において機動的なアレイ観測を実施し,
Episodic-Slow-Slip (ESS) の地震波帯域 (0.01-10Hz) における
全貌を明らかにすることを目標とした観測研究を行うこととする.
研究組織:
本観測の実施母体は,NECESSArray計画科研チーム(地震研海半球,IFREE/JAMSTEC)であり,
地震研究所共同利用・特定研究B「フロンティア観測地球科学の推進」参加メンバーとの
検討により実施する運びとなった.従って,これらの研究グループの参加者は,
本観測研究に参加できるものとする(ただし参加の義務はない).
また本観測研究の趣旨に賛同し,主体的に観測・解析にかかわる意志のあるものは,
運営推進メンバー(川勝,飯高,竹内,田中,大林,石原)の了解を得て参加できるものとする.
科学目的:
小原らによって発見された深部低周波微動(DLFT)は,
その後のEpisodic-Slow-Slip (ESS) 等のプレート間滑りとの関連などから,
比較的若い海洋プレートの沈み込みに伴う一般的な現象であることが明らかになりつつある.
また近い将来発生が確実と思われる東南海・南海地震などの巨大地震との関連から,
その物理現象の理解は,現代の地震学が解明すべき最重要課題と位置づけられる.
本研究では,深部低周波微動およびESSの発生領域直上に集中的に広帯域地震アレイを展開し,
ESSの地震波帯域(0.01-10Hz)における全貌(発生,移動,収束など)を明らかにすることを
目標とする.このような規模の観測はいまだ実施されて居らず,
短期間の観測ではあるがESSの発生頻度(約3ヶ月に一度)などを鑑みると,
現象解明のための重要なデータを取得できる可能性が高く,実施が強く望まれる.
観測計画:
西南日本のDLFT/ESS発生領域を取り囲む紀伊半島の,地震研究所,
Hi-netの既存観測点に設置する.また四国東部のDLFT発生領域には,
集中したアレイ(約10点)を展開する.
観測期間は当面,2008年10月中旬から2009年3月末までとする.
ESSの発生頻度から,最低一回のESSを観測できると期待される.
データ公開:
本観測研究によって得られたデータは,一定の猶予期間(6ヶ月〜2年)の後,
地震研究所海半球観測研究センターのデータセンターから公開するものとする.
また,猶予期間中でも,共同研究としてデータ交換などによるデータの共有は
可能とする(運営推進メンバーの了承のもと).
研究成果の公表:
運営推進メンバーは,最低一報の論文を国際英文誌に発表する義務を負う.
主要参加メンバーは共著者となることが出来る.
参加機関:
地震研究所,JAMSTEC/IFREE,防災科学技術研究所,広島大学,高知大学,愛媛大学(10/12/08現在)