短周期アレイ観測に基づく研究のまとめ

九州大学 金嶋 聰

 

 活動的火山では、火山性流体が火道を通って上昇し、地表に達した時点で噴火が起こる。火山直下の火道システムの研究は、火山学において中心的なテーマであるが、地表から地下数百m程度のごく浅い場所の火道システムについては、これ迄意外に明らかになっていないのが現状である。火山活動の展開の予測に重要な火道の形状とそこを通る流体の流れの実態と機構に関して、従来の研究と比べて本質的に新しい情報を与えるために、本研究では、火山ガス流の時間的変化の把握を中心的な目標とした。

 具体的には、阿蘇山で連続的に発生する火山性微動について短周期地震計アレイ観測と地震波形アレイデータ解析を行い、その震源の特徴を明らかにすると共に、地下300m以浅の火道システムについて考察した。その結果、火山性微動源は数十秒という短い時間スケールで見かけ上移動する事が明らかになった。またこの見かけ移動は、特定の周波数でより明瞭に認められることも分かった。この観測は、微動源が火口付近に少なくとも二つ存在し、各々が水平方向に数百メートル離れている事、そしてそれらで励起される地震波の振幅が様々な時間スケールで変動する事を意味する。浅部火道システムは地表の噴気活動から推測されるよりもずっと広く発達しており、またダイナミックに変化している事が示唆される。

 これまでに1999年、2001年、2002年、2003年、2004年と数回にわたる臨時アレイ観測を行ったが、それらの観測において取得した火山微動のアレイデータ処理を進めた結果、火山ガス流路が火口直下深さ300m付近で複数に分岐している事が示された。浅部火道システムは地表の噴気活動から推測されるよりもずっと広く発達しており、またダイナミックに変化しているのである。過去の臨時アレイ観測の結果から火山微動の長期間における振る舞いをさらに詳細に研究し、阿蘇山で連続的に発生する火山性微動についてその震源の特徴と地下300m以浅の火道システムについて考察した結果、次のことが分かった。�“�動源は火口付近に複数存在する。�△修譴蕕料蠡佚�な活動度は時期によって大きく変動する。��さらに阿蘇火山の活動が高まり、特に小規模な爆発が発生する時(例えば2003年夏)には、より浅い微動励起源からの地震波がより卓越するようになる(付図参照)。

 一方で、阿蘇山において火山性微動の地震計アレイによるリアルタイムモニタリングを開始した。京都大学火山研究センターの本堂地下坑道に2HZ地震計6点からなるアレイを設置して連続的な微動位置決定に着手した。今回構築された連続アレイモニターシステムを今後さらに拡充することによりこれらの微動源の活動の時間的変化がより明らかになり、火口直下の火道構造とそこを通る火山ガスあるいはマグマの振る舞いがそれらの時間変化を含めて解明されていく事が期待される。