船牀六尺 : ふつうの海洋マントル観測航海記 | [HOME] |
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海半球センターの皆様,特別推進研究関係者の皆様 昨日(8/22)は未明からNM03に移動を開始し,16:00ころ到着しました. OBS NX 投入(着地点:ちょっと離れた) EM 03にあったOBEMを切り離し応答なし,洋上回収できず(★) OBEMの投入,着地確認 明日 かいこうダイブ NX展開+回収 明後日 かいこうダイブ EFOSレコーダー交換+展開,OBEM回収 OBEMが回収できず,かいこうによる引き上げに期待がかかります.
ポイント(誤)解説: BBOBS-NX@NM02 NM02点でのNXの設置の様子をお知らせしましょう. 8/19に投入したNXの海底での着地の様子を示したのが1枚目の写真です. かいこう(以下K7)のオペレータ室の画面を撮ったものです. 私はこの様子を見たときに正直言ってドキッとしました. 全体が傾いているだけでなく,枠がゆがんでしまったと思ったからです. この不安感を醸し出す構造は,NXの構成に依っています. NXは旧来型のチタン球(電源+収録)部とペネトレータ型地震計(CMG3T)で 組上げた3角形の地震計部によって構成されています.最終的には海底で 分離されますが,投入の都合上重ねてくみ上げてあります.不安定感を 醸し出す傾きを持ったステンレス枠は実は地震計部とチタン球部を一体化 させるためのフックなのです.フックの上を回してあるゴム線を引っ張ることで フックが外れ,分離可能にするという仕掛けです. これに加えてチタン球の水平を保つための枠組み(本来鉛直を向く)が あるため,ステンレス枠がそもそも鉛直構造と傾斜構造の2重構成に なっていて,船上で鉛直にくみ上げられたものをみたときは それほど違和感がなかったのだが,深海底で斜めになっていると, どれが鉛直方向の枠でどれがフックかわからなくなり(船酔いのせい?), 「枠が歪んでしまった!初っぱなから一大事!」と思った次第です. もちろん組み上げた塩原・一瀬さんらはそう思わなかったろうけれど, 彼らは足下の白いもの(本来あるべきでない!)を見て心配になったようです. 想定外が起きたと.これを確認するためにK7がいろいろな方向からの画像を 撮ろうと移動している間にK7自体の不具合が発覚し作業終了と なりました.
翌々日の夜に修理がすんだK7で再ダイブ.その時のオペレータ室の 様子を写したのが,2枚目の写真です. すでにチタン球と地震計は分離されていて,右と正面の大きな画面にそれぞれが 映っています(この二つの画面はほぼ連続していると考えてよい). 傾きも,白い部分も特に問題ないということで作業を進めました. ちなみに左手の指示棒を持っているのは塩原さんです. 「ケーブルを地底に埋めよ」との指示.それをロボットアームが上手にこなす. このあと最後にペネトレータ地震計部をできるだけ平行にするように, K7のかごの部分で上に乗って押し込むという作業があったはず (こちらからするとかなり大胆.地震計部は強固にできていると理解). この部分は土煙でみられないまま,時間の制約から 2年前の設置のNX回収作業のため500m先の地点を目指します. (この移動に1時間半かかって,深夜を回っていたのでので結構つらかった) 回収作業は割愛しますが,ロボットアームの作業は思ったよりスムーズで NXの展開・回収にそれぞれ40分かかっただけです. それよりも大変なのは作業をしやすい場所にK7を持って行くことのようです, NM02では,海流の複雑さ等の影響でこれに手間取ったようです. 以上.