沈み込み帯掘削研究グループ
(以下はサイドメニューで、常に左側に表示)
リンク
ODSall
(Home)
日本列島周辺で起こる巨大地震のメカニズムを解明し、地震や津波の切迫度の評価に挑戦することが我々のミッションです。2007年から続けている「南海トラフ」掘削では、南海地震の発生に備え、過去に発生した地震の履歴や、ひずみのたまり具合などのデータを集め、地震の発生範囲や規模、切迫度などの予測に活かしています(図)。一方、2012年に実施した東北沖地震調査掘削では、巨大津波を起こした断層岩の採取に成功しました。地震を理解するためには、世界各地のプレート境界への掘削や、陸上に顕れた地震の化石の調査研究を展開する必要があります。そのため、音波、岩石、摩擦、年代測定、地震活動といった様々な関連分野に長けた人材を集めて強いチームをつくり、次の研究航海のチャンスにつなげます。
ODS集会:海溝型巨大地震の理解のために陸域アナログ研究から何ができるか
主催:JASMTEC/ODS 沈み込み帯研究G
共催:MAT、科研費基盤S NanTroUrge
日時:2015年12月2日(水)10:00-17:00
場所:JAMSTEC SIP連絡室
趣旨
NanTroSEIZEのゴールは、M8級巨大地震の震源域であるプレート境界や分岐断層の固着域に到達し、断層岩やその上盤・下盤の地層と共にその特性と状態を現場実測することで、固着の性質を正確に把握することである。その先には、人間社会に甚大な被害をもたらす地震・津波発生への「切迫度」を数値化するという目標を設定している。
そのためには、断層やその近傍、あるいは上盤付加体の摩擦係数、間隙水圧、全密度、そして現在の応力場、を知る必要がある。掘削に先立ってこれらの値を予測し、それらを実測して統計的誤差を超えた有意な結果を得るための最適な計測・分析戦略を立てることが必要である。その中には、例えば「断層に到達する前の浅い孔の段階で、地震発生切迫度の評価に資する結果が得られないか?」といった、現実的な課題もあるだろう。
予測と戦略作成を行うために、過去に巨大地震を起こした断層系で、素性の分かったものを解析することが有益であると考える。例えば、延岡断層調査(掘削を含む)では、断層の上盤と下盤で変形の度合いが全く異なることが分かった。このことから、断層上盤だけでなく下盤まで到達して掘削することが必要であるという戦略が提案できる。
陸域研究では、対象試料を任意のスケール、空間分布から採取できるメリットもある。これを最大限に活用し、海域の主要断層に加え,陸域の素性確かな断層を解析することで,断層物性解析の多点化を進めることが重要であろう。海洋掘削コアから連続した鉛直方向情報を取得するとともに、陸域アナログの研究から水平方向バリエーション(空間分布)をそれぞれ補完できる。今後掘削が予定されているNanTroSEIZEの陸上アナログにおいて、先行的に物性や化学組成の分析を行うことで、掘削試料の分析手法、解釈方法への提案を行うこともできるだろう。
地下の間隙流体の挙動は、切迫度評価にとって最も重要で最も計測困難なものであろう。地震波速度異常から推定されている間隙水圧比λ*を「実証」するためには、水の供給源とその流動を解かなくてはならない。供給源としては、例えば粘土鉱物の脱水が考えられる。これは温度圧力に規定されており、もし地層のPT条件が変動しないのであれば水の生成率を推定することは(反応速度を考えて)可能であるが、実際には付加体の成長に伴い一旦沈み込んでから逆断層として再浮上するだろうし、その途上で大変形も起こしているであろう。このような複雑なプロセスを、できるだけ忠実に再現するためには、陸域でその素性を解き明かし、それを参考にすることが有用であろう。
以上の観点を心に留め、陸域研究の進捗状況や今後の戦略を議論したい。沈み込み帯(地震発生帯・前弧発達過程等)のアナログ研究として、MATや外部研究者と共同で推進しているが、その進捗状況の確認と、海域研究へのリンクをきちんと取っておくために、一度集会を開催する。
話題提供(案) ※まだまだ変更になります
斎藤:KAPと房総から南海地震発生帯を考える
山本:浅部断層とシュードタキライト
濱田:過去の地震断層からいかに温度異常情報を抽出し運動像に結びつけられるか
浜橋・木村:延岡付加体検層から南海トラフ地震発生帯をのぞき見る
大坪:延岡衝上断層での地震前後の応力変化と間隙水圧推定(仮)
廣瀬:スロー地震発生場の断層を探れ:四国三波川ナップ境界の研究例
氏家:地震発生帯の構造・摩擦強度履歴等の概観・犬山・沖縄?
辻:上盤と断層の切迫度を定量化する
山田:JAMSTECにおける陸域アナログ研究
木下:NanTroSEIZEはどこに行くのか?
木村:地震津波切迫度