Q&A

これまでに巨大地震などで受けた質問と、回答を以下に示しておきます。

 

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2015.... 1

Q)南海トラフの底に平に分布する地盤の地質データが掘削で得られているならば教えていただければ幸いです。.. 1

Q) 東海・東南海・南海の三連動地震について、どのように連動するか、連動しない場合はあるか   2

Q) 富士山噴火の可能性、地震と火山活動(噴火)の関係性.... 2

Q) 地震予知・予測:地震予知の可能性、将来的に出来るようになるか.... 2

 

 

 

その他、以前のIFREE講演会でのQ&Aはこちらを参照ください:

http://www.jamstec.go.jp/ifree/j/sympo/2011/q_and_a.html

 

 

 

 

 

 

2015

Q)南海トラフの底に平に分布する地盤の地質データが掘削で得られているならば教えていただければ幸いです。

 

A) 南海トラフは、四国海盆(1500-2500万円前に形成された海洋地殻)が西南日本弧の下に沈み込む境界で、本来南海海溝と呼んでもいいものですが、その上に1000mを超える厚い「トラフ底堆積物」が溜まっているため、水深が4000-4800m程度とやや浅くなっています。トラフ底では紀伊半島沖、室戸岬沖、足摺岬沖、で科学掘削が行われており、それぞれでコア試料が得られています。

 詳細は掘削結果報告をお読みいただければいいですが、表層にはトラフ底に沿って「上流」、つまり駿河湾方向から西に向かって陸源堆積物がタービダイトとして流れ下り、堆積しています(トラフの深度は、東ほど浅く、足摺の方では深くなっています)。当然ですが、粗い粒子(砂など)は、トラフ底の浅い方、東の方に堆積してしまうので、西までは到達しません。西ほど表層の粒子が細かくなっています。

 その下には、途中にいくつか火山灰の層などを挟みつつ、沈み込み四国海盆の地殻の上に元々溜まっている半遠洋性堆積層が存在します。

 これらの堆積物の一部はプレート沈み込みに伴って沈み込んでいきますが、浅い部分は沈み込めずに陸側に「付加」します。付加した堆積物は水平圧縮と共に隆起し、いずれは陸化します。それが現在の四国を形成しました。

 

詳細については、以下の文献を参照ください:

http://publications.iodp.org/proceedings/333/333toc.htm

http://publications.iodp.org/proceedings/322/322toc.htm

http://www-odp.tamu.edu/publications/190196SR/synth/synth.htm

http://www-odp.tamu.edu/publications/131_SR/VOLUME/CHAPTERS/sr131_02.pdf

付加体地質学 (フィールドジオロジー)(共立出版)小川勇二郎, 久田健一郎著

日本列島の誕生 (岩波新書) 平朝彦著

 

 

 

 

 

 

Q) 東海・東南海・南海の三連動地震について、どのように連動するか、連動しない場合はあるか

A)  南海トラフでは、古文書によればほとんどすべてのM8地震では、同時、あるいは数年以内に「連動」地震となっているようです。東海〜南海では3つある100kmサイズの固着域が100-200年に一度滑ってM8クラスの地震を起こしています。ただし固着域の滑りが連動することがあり、そうなると単発でM8だったのがM9クラスになる、と考えられています。プレートの年代が違うと、プレート境界に沿った温度構造が異なります(若いほど暖かい)。このことが固着域の位置や大きさに影響することは間違いありませんが、これ以外にも、プレート境界を形成する物質や、プレート沈み込み速度・角度なども大きな影響を及ぼします。(木下)

 

 

 

 

 

 

Q) 富士山噴火の可能性、地震と火山活動(噴火)の関係性

A) 確かに連動した例はあります(1707年宝永地震と富士山宝永噴火)。しかしこれは熱の移動ではなく、地震による日本列島内の応力変化によって、マグマ溜りの圧力が下がってアブクができたことが原因と思われます。

3.11地震のあとで、富士山直下のマグマだまりが活動的になりました。巨大地震にともなう日本列島内の応力変化が噴火の引き金になる可能性はあります。火山噴火の場合、特徴的な火山性地震が発生することが多く、ある程度予測はできる可能性が高いと思われます。

 

 

 

 

 

 

Q) 地震予知・予測:地震予知の可能性、将来的に出来るようになるか

地震予測の程度・精度

地震予測の方法・機械・システムについて

動物の異常行動と地震、その事例

A)   大変難しい質問です。科学掘削に携わる者としてお答えします。

地震の予知・予測には、まず地震の性質を理解することが必要です。

地震とは、地殻内の断層に力をかけて、無理やり壊す現象です。したがって、いつ壊れるか=「かける力の大きさ」と「断層の強さ」を知ることが必要となります。

地震の前兆が出るなら、その根拠を提示して実証できなくては無意味かと思います。少なくとも、震源域に近いところで観測を行うことは必須ではないでしょうか。南海トラフ地震の震源域は海の下にありますから、海底地震ネットワーク(DONET)を設置したり、「ちきゅう」で掘削することが必要になるのだと思っています。