2月19日(月) 今回の同乗者は中野 俊氏(地調)の他,災対関係者2名.搭乗したヘリは 警視庁の「おおとり1号」でした. 午前9時5分,東京ヘリポートを離陸.上空にあがると,富士山がきれいに見えた. 9時58分三宅島上空に到達,10時27分までのおよそ29分間観測を行った. その後神津島に立ち寄り,給油と災対関係者の入れ替えを行った後,11時18分 神津島を離陸,帰途につく.12時15分,東ヘリに帰還. 今回の飛行ルートは,三宅島の北から反時計回りに島を半周した後,太路池上空で 向きを変え,カルデラリム沿いを時計回りに三池付近まで周回.このルートを2回 繰り返した. 今回はカルデラ内にガスが充満していたため,カルデラ内を観察することは 出来なかった.そのため,ここでは主に噴煙と島内の状況を報告する. [噴煙] この日の噴煙の到達高度は1000m.風が強いため,真上にあがらずすぐ横に たなびいてしまう.噴気そのものは定常的に放出されているものの,その勢いは 前回のフライト時(1/22)にくらべておとなしい.噴煙の色は白で,三宅空港から 坪田集落の間を流れていった(南南東方向).また,青みを帯びた硫酸ミストが, この白い噴煙にまとわりつきながら,同じ方向に流れていた. [カルデラ内部] ガスが滞留していたため,カルデラ内部は観察できなかった. [カルデラリム南西域の亀裂] この亀裂はこの日も観察された.前回(1/22)と比べて,ほとんど変位していない ようにみえた. [カルデラ壁] ガスの隙間からカルデラの北東壁を瞬間的に観察した.カルデラ北東壁は これまで確認してきたカルデラ北西壁にくらべて成層構造が著しいことと, 顕著な岩脈があまり認められない,という違いがある.もっと条件の良いときに 注意して観察したい. [スオウ孔] スオウ孔の色は前回と同じく陸水色.ただ,形状がやや丸くなったような気がする. 最近の降雨・降雪により,表層水が流入したようである. [山麓および山腹] 最近の降雨・降雪による泥流被害の状況を観察したが,新しい泥流が発生した様子は 確認できなかった.ただ,カルデラの北東斜面に刻まれたガリーは明らかに 深くなっており,わずかずつではあるが山麓域への土砂流出が生じていると思われる. 神着から伊豆にかけて,建物の屋根が茶色く変色している.どうやら,この地域に 最近降灰があったらしい.同様の報告は大島さんのヘリメモ(2/16付)にもある. 上空から観察すると,この「灰」は黄土色を呈する.この色から判断した限りでは, この「灰」は表層近くにある泥が吹き飛ばされたもの,つまり最近のカルデラ 拡大に伴う「まきあげ火山灰」に由来すると思われる. (大野)