2月26日(月) 今回搭乗したヘリは警視庁の「おおぞら2号」.15人乗りの大型機. 同乗者は田崎氏(気象庁三宅島測候所所長)の他,災対関係者1名. 午前9時12分,東京ヘリポートを離陸.10時4分三宅島上空に到達,10時35分まで のおよそ31分間観測を行った.10時48分神津島に立ち寄り,災対関係者の 入れ替えを行った後,11時頃神津島を出発,帰途につく.12時11分, 東ヘリに帰還. 今日はカルデラ内部およびカルデラ壁を観察することが出来た. 飛行高度は約1000m.カルデラを時計回りに北〜東〜南の順に旋回. これを3回繰り返した. [噴煙] この日は噴煙と硫酸ミストの漂う方向が食い違っていた.メインの噴煙は 最初カルデラの西〜北西方向に突出した後,螺旋状に立ち上り,最終的には 北東方向にたなびいた.到達高度は7200ft(約2400m)で,間欠的に高所まで 達する.メインの噴煙の色は白で,火山灰が含まれているようには見えない. 一方,硫酸ミストは,最初に噴煙が突出した西〜北西方向にあふれ出し, 広く拡散していた.このミストの一部は噴煙と共に高所にまで達し,およそ 高度2000mの地点に滞留していた.その滞留するミストは紫がかった雲として 識別することが出来る. [カルデラ内部] カルデラ内部のコーン,噴気帯,北西のマウンド,水たまりの位置関係に大きな 変化は認められない.黒色の水たまりも,その形状やサイズに変化がない. 噴気活動は非常に活発で,これまで認められなかった黒色水たまりの周囲からも 白い噴気が上昇している. [山麓および山腹] 土曜日(2/24)に三宅島で大雨洪水警報が発令されたことから,泥流発生の有無を 観察した.その結果,島の北にある焼場付近の周回道路上に,新たな土砂流出 と思われるごく小規模な泥流を確認した.これは道を薄く覆う程度のもので,路盤を 破壊するようなものではない. 一方,島の東側斜面(三池〜三宅空港)には,これまであまり気が付かなかった ガリーが認められた.この地域には,最近周回道路にまで及ぶような規模の 大きな泥流は認められていないことから,土砂のほとんどは中腹に留まっている ものと思われる.これから多雨期に入ることを考慮すると,大規模な泥流の発生に 対する対応を検討する必要があると思われる. 先週,私が確認した島の北西域に降下した火山灰は,その一部が屋根の上に 残留していたものの,ほとんどは土曜日の降雨によって洗い流されてしまった ようである. (大野 希一)