2001年3月21日(水) 1.観測支援: 警視庁ヘリ 「おおとり6号」 JA6786号機         立川より飛来。クル−3名と我々観測員2名のみ。         三宅島上空観察後、神津島で給油。帰京組2名搭乗。 発進の際、三宅島上空観察時のドアオープンを依頼したが、中央の窓は半球状に飛び 出し、前寄りに下降式の小窓もあるから、とのことでモンキーベルトの用意はなし。 たしかに目視観察だけの場合、これはこれで便利。反射光はある程度やむを得ないが 、モノを落とす心配はない。小窓がもう少し大きいとより楽だが、小さくとも開くの は格段にありがたい。 整備担当氏が着席する中列は右2席にとどめてあり、左側の椅子は取り外して自由空 間になっている。広い空間のおかげで、普通なら右側前後に着席したままの観測員も 左右を自由に移動、カルデラ縁沿い飛行時は往復ともカルデラ内観察ができた。左の 小窓位置には救命ブイがくくりつけてあったが、2回目に左側に寄ったときははずさ れていた。飛行ルートも文句無し。クル−の細やかな配慮、協力に感謝。 2.搭乗観測者 : 伊藤(地調)・ 大島 3.天候・飛行コース・時刻等 :  薄曇り。春は曙、で始めたいくらい(始めてもあとが続かない)の暖かい日(18度前 後)となった。都心も春霞で視程悪く、南の空は白一色、先が思いやられたが、久し 振りに強風を忘れる快適飛行。白波の見えない洋上飛行は何カ月?ぶりか。 三宅島は高空にうすく雲がかかって晴とは言えないが低空に雲なし、薄曇り。光不足 は残念だが霞みがかりながらも全景が見え、接近してみるとカルデラ内はよく見えた 。噴煙量が格段に減った、従って蔭も減った、両方の効果もあって余計よく見えたと 言えそう。  搭乗時間 09時00分 〜 12時18分 (三宅島観察の後、神津島で給油)  観測時刻 09時50分 〜 10時30分 (約40分間) 8:58 東京ヘリポートにて搭乗。   9:00 発進。北に向かって離陸後、いつもの警視庁コース      (〜 目黒 〜 多摩川園 〜 新横浜 〜) 9:25 逗子から海上へ   (〜 城ケ島西方 〜) 9:35 伊豆大島(波浮)東方。 利島や新島は霞の中で見えず。      三宅島までずっとベタなぎ、白波見えず。高度 2000 ft の安定飛行。 9:4X 前方うす暗いながらもうっすらと島影が見えてくる。      白煙が細く上り、300m程度上がって力なく東にたなびいている。 9:50 三宅島空域到着(島の東側2? km)。全景を見るのと噴煙の高さを      確かめるために、高度は徐々に上げてもらってきた。8000 ft。 観測飛行は以下のとおり。 1周目: 三宅島東2? kmくらいをそのまま南下、力なく南東にたなびく噴煙を 850 0 ft でまたぎ、海岸沿いにゆるく右旋回しながら、大路池西から島に入る。徐々に 6000 ft 程度まで降下、カルデラ西側接近(鉢巻き道路上)。徐々に高度落としなが ら、北西〜北〜北東、噴煙手前で左旋回。 2周目: カルデラ縁ぞいに北〜西〜南西、噴煙手前で右旋回。再び南西の離脱地点 にもどって、カルデラ縁ぞいに西〜北〜北東、この間高度は徐々に低下してきたが、 3周目: うすい白色噴煙のたなびき方を見た機長の判断で「このまま噴煙の下くぐ ってみます」。東斜面上カルデラ縁より低い高度を通過、小窓からプ〜ンと硫黄臭、 箱根大涌谷程度。以前自衛隊機で何回か感じたのに較べて弱い。高度を上げて再び南 西縁へ。〜西〜北〜北東。「くぐるのはやめます」。左旋回。 4周目: 北〜西〜南西縁、噴煙手前で右旋回。再び南西〜西〜北〜北東縁、噴煙手 前で左旋回。 5周目: 北〜西縁、そのまま南下、村営牧場を中心に右旋回、牧場北端で左旋回、 進路を西へ。 10:30 阿古〜伊ケ谷間で離脱。 10:40 神津島着陸。 11:15 給油、搭乗後、エンジン始動。 西に向けて離陸。  神津島 〜 式根島 〜 新島 〜 鵜渡根島 〜 利島 のいずれも西岸沿い 11:44 伊豆大島北端(乳ケ崎)通過       〜 城ケ島西方 > 往路の逆ルート 12:18 東京ヘリポート着陸、降機。  ヘリは新たな1名乗せて立川へ。 4。 観察事項 3月18日22時32分の最大規模の微動、それに続く19日7時台の灰まじり噴煙 排出、を境に表面現象は劇的に変わったと見える。噴煙量・排出の勢いがグッと減った。 今フライト中、「噴煙」は大部分白色、主火口から排出。頼りなく弱々しく上昇、縁 上300mくらいで折れ曲がって南東へ拡散。噴煙量が減った分、これまでなかなか見 られなかった火口周辺が見やすくなった。19日噴出の主役とされる主火口南隣の火 口は沈黙にちかい。噴気を上げてはいるが、せいぜい100m以下。噴気の合間から黒 々と内壁?が見えるようなのはカルデラ南縁からの崖錐が一部埋めかかったのか?( 写真ができたら確認します。) かつてのパルス状にもっくもっくと上がる活動はない。遠目には、だらしなく、しま りなく、弱い白煙をあげている感じ。 北西に連なる噴気帯ほとんど沈黙ぎみ。せいぜい100m程度の弱々しい白色噴気をあ げるのみ。 カルデラ南縁が幅広く姿を見せたのも、私にとっては初めて。南縁後退に見える。( 写真ができたら確認します。) カルデラ底地形、大きな変化は見当たらない。池は健在。黒池水位少し下がったか。 19日の降灰で全体がくすんでみえる。 カルデラ壁も同じく、灰をかぶり、壁面きたない。 カルデラ縁の地割れ、南西は健在。南にも。西にも。北(スオウ穴西)は以前同様い くつもあり、いくつも落ちているが中段に落ちかけが複数ひっかかっている。 書き足りない、まだあるが、時間切れ。あす追加の予定。 (大島 治)