平成13年3月26日(月) 三宅島火山噴火調査 観測時間 12時17分 〜 12時50分 搭乗時間 11時28分 〜 14時43分 東ヘリ1130→田園調布→横浜東方→城ケ島西側→大島東沖→1217三宅上空観察1250→ 1304神津島空港(給油と警視庁職員2名降機3名搭乗)1339→大島上空→城ケ島西横浜→ 1442東ヘリ (警視庁 おおとり1号 JA9602 クル−3名+(神津島で2名降機,3名搭乗)+宮城・津久井) 観測者   津久井雅志(千葉大)   宮城 磯治(地質調査所) 天候:小雨→はれ  天候の回復を待ち,小雨の中11時30分東京へリポート離陸.西の方から天候が回復して視程が よくなり,丹沢,箱根がみえてくる.富士山はまだ見えない.11時45分,葉山から海上に出る. 汽船の煙突の煙は東へなびく.利島,新島,神津島は高度350〜400m以上に雲がかかる.三宅の 北に雲があることから東に迂回して三池港沖から接近(12時14分).高度700〜800mに厚い雲が あり,噴煙と青白いガスは坪田方面に向っている.三池から海岸に沿って反時計回りに北,西, 南へ(宮城,津久井は右席.富士山が良く見えた).大路池より東側に噴煙とガスがあるため右 旋回し,高度3500フィートで,カルデラを右に見て縁に沿って時計回りで観察.東から噴煙の上 をまたいで南へ.どんどん明るくなっていく,ここで高度を2500フィートにさげて西,北,東側 へ.三池上空で左旋回してもう一度スオウ穴上空から東へカルデラ内を観察.最後に北,西を 回って大路池西上空からカルデラの上空を高度1300mで北へ直進して美茂井上空付近で観測終了 (12時50分).神津島で給油し,職員交代後,各島の西側を北上.大島空港.逗子,横浜上空を 通って14時42分東京へリポート着陸. ○ 噴煙は白色,高度1200mくらいまであがり南東(坪田〜水溜まり方向)に流されている(写真 1,2,3).噴煙の高度は高くないが,量は多め,濃い.白色噴煙はパルス状にやや高く上がる (写真2,3).その後,海岸付近まで流れると見えなくなる.青白いガスは白色噴煙の下をやや 拡散しながらもずっと流されている. ○ 1周目,カルデラ内は噴煙が充満し,カルデラ内部は見えない(写真4)が,時間を追うごとに カルデラ内の噴煙は薄くなって内壁と火口(噴煙の出口)が見えるようになる.しかし底の様子 までは見えない. ○ 火口の様子はいつもと特別変わっているようには見えない.火口とカルデラ南縁の間からの噴 気が多い(3/19川辺さんの報告)と積極的にはいえないようである.噴煙の量は3/21よりは多 く,3/23より少ない?(天候との関係ではっきりしない)(写真5,6) ○ 東,南カルデラ壁は新たな面が露出しているように見える.(3/21の伊藤さんの写真と同じで あろうが噴煙でよくわからない)(写真7,8) ○ 確認されたカルデラ縁の亀裂は以下のとおり    登山林道(跡)の東−−いつもとかわらず.(写真9-1)    登山林道(跡)の西−−今回顕著に見えた.(写真9-1,9-2との比較)    北西−3/9に報告した(1/17に川辺さんによって報告されている)亀裂.           北−スオウ穴のすぐ西.(写真4) ○ 南西の登山林道を方向に,小さいが数多くの水たまりができはじめた(写真10). (津久井 雅志) 写真 1. 三宅の東から.噴煙は南東に流れている.正面に三池港が見える. 2. 南東から見た噴煙.山腹中央にNTT坪田中継所が見えるスオウ穴とカルデラ.噴煙は高度 1200mくらい,パルス状に高くまであがり,坪田〜水溜まり(三宅高校)方面へ流れる.海上に 出ると噴煙は見えなくなり,薄紫のガスだけが見えるようになる. 3. 南から見る噴煙,火山ガス. 4. カルデラ内は噴煙が充満している(1周目の観察).スオウ穴の西端(右側)にカルデラ縁 に沿った亀裂が見える. 5. 北東から見た火口,噴煙. 6. 西からみた噴煙,火口,カルデラ底. 7. カルデラ南〜西壁. 8. カルデラ東壁.比較的新しい断面とその一部,火砕丘を覆う灰色の砕屑物,火山灰. 9-1. カルデラ南縁(3/26).道路の東側,西側の亀裂. 9-2. カルデラ南縁(3/9).道路の西側の亀裂は目立たない. 10.埋もれた登山林道の下にできた小さな水たまり.