3月30日(金) 今回搭乗したヘリは東京消防庁の「かもめ」. 同乗者は東宮氏(地調)の他,2名. 午前9時1分,東京ヘリポートを離陸.9時45分三宅島上空に到達,10時15分まで のおよそ40分間観測を行った.10時34分利島に立ち寄り,ヘリポートの電球交換 の確認作業を行った後,10時41分利島を出発,帰途につく.11時22分,東ヘリに 帰還. 観測時の飛行高度は900〜1000mでカルデラリムすれすれの高度.この高度で, カルデラの西側を北〜西〜南の順に旋回.これを4回繰り返した. 今日は大量の噴煙によって山頂付近が覆われていたため,カルデラ内部を 観察することはできなかった.そのため,山体斜面の様子を観察した. [噴煙] この日は,3/19の時とは全く異なり,大量の白色噴煙が定常的に放出されて いた.その量はカルデラの縁からあふれるほど.このガスが充満していた ため,カルデラ内部は全く見えなかった.風が強いため,噴煙はカルデラ リムから出たとたん横倒しになり,山体斜面をかけ下って東南東〜東方向に 流れていった.噴煙の到達高度は900〜1000mで,ヘリの飛行高度とほぼ同じ レベル. また,この日は青みがかった硫酸ミストが顕著に観察された. 今日の状況を見ると,表面的には3/19以前の状態に戻ってしまったようである. [南〜北側斜面] 南側の斜面には,大小さまざまな深さのガリーが形成されている. この状況はこれまで観測していた時とほとんど変化がない. 潟山さんによると,3/19午前7時過ぎの火山灰は主に阿古に流れたという. これを元に,撮影した写真を見る.もし火山灰が大量にこの地域に降下して いるのなら,ガリーの一部が浅くなるもしくは埋め立てられても良いように 思えるが,とてもそのようには見えかった. その一方で,南西端には大きな亀裂が認められた.亀裂の幅をみると, 今すぐにでも崩落しそうな印象をもった. また問題となっている山体の北〜北西斜面を観察した.この地域を見ると, 元々谷地形となっている部分に,泥流と思われる茶褐色の堆積物が 集まっているように見えた. 気になったのは,山体北側斜面の中腹に,これまであまり気付かなかった 泥流堆積物があることである.これがいつ形成されたのかまだ特定 できていないが,もしかすると,宮城さん@地調が確認した北〜北西斜面の 変化は,最近(?)北〜北西斜面で発生した泥流によって,樹木の一部が 流出したことによって引き起こされたのかもしれない. その他,山体の北西側斜面を流下した泥流が,鉢巻林道を寸断している 様子が観察された. [写真説明] 1:カルデラリムから溢れる白煙.  3/19の時とは一転して,大量の白色噴煙がカルデラから溢れる. 2:カルデラ南側  写真中央やや右寄りには,亀裂が認められる.そのすぐ左手,林道の  突端にあるへこみは最近の崩落跡. 3:スオウ孔  本来スオウ孔ごしに見えるはずのカルデラ内部は,立ちこめる噴気によって  ほとんど見えない. 4:海上を流れる噴煙と硫酸ミスト  3/19にはほとんど確認できなかった硫酸ミストが,この日は顕著に認められた. 5:カルデラ北西斜面  最近の話題となっているカルデラ北西斜面. 6:カルデラ南西側の大きな亀裂  南西のリムには大きな亀裂が認められる.亀裂の幅から見ると,  崩落するのは時間の問題? 7:北東斜面の泥流被害  鉢巻林道は,北東斜面を流下して泥流によって寸断されている. 8:土佐林道付近の泥流  土佐林道付近に認められる泥流.一周道路には達していないらしい.  いつ発生したかについては不明.