4月2日(月) 今回搭乗したヘリは警視庁航空隊の「おおとり」5号. 同乗者は中野 俊氏(地調)の他,3名. 午前8時40分,東京ヘリポートを離陸.9時44分三宅島上空に到達,10時15分まで のおよそ31分間観測を行った.10時31分神津島に立ち寄り,給油と人の入れ替えを 行った後,10時51分神津島を出発,帰途につく.11時46分,東ヘリに帰還. 観測時の飛行高度は約1000m.この高度で,カルデラの西側を北〜西〜南の順に 旋回.これを5回繰り返した. [噴煙] この日は白色噴煙がメインのコーンから放出されていた.火山灰を含んでいる 様には見えない.噴煙の到達高度は約1300mで,北東方向にゆっくりと流れていた. 噴煙そのものの勢いは弱い.また,青みがかった硫酸ミストが,噴煙と同じ方向に 流されていた.ミストの量は3/30に比べるとずっと少ない. [カルデラ内部] カルデラ内部のコーン,噴気帯,北西のマウンド,水たまりの位置関係に大きな 変化は認められない.また水たまりの埋没状況も,3/19の時とあまり変化が ないように見える.しかし,メインのコーンとその付近の地形は大きく 変化しているように見える. まず,メインのコーンは北西南東方向にのびたひょうたん型を呈する. 3/19の写真から判断すると,このとき放出された火山灰は,ひょうたんの左手 (南東側)の火口から噴出したようである.また,このメインのコーン(北西側) の内部に,黄色い硫黄が付着している様子も観察された. メインのコ?ンの北側斜面に認められた噴気は,そのほとんどが消失している. 最近のカルデラ崩壊に伴う堆積物によって,同地域に存在した噴気孔の一部が 埋め立てられたのかもしれない. カルデラ底は最近の崩落堆積物によって,その起伏が徐々に失われつつある ように見える.北西に位置するマウンドも,見かけ上その比高が減じたような 印象を持つ.カルデラの南西斜面や北側斜面にも新鮮なテーラスが認められる. こころなしか,カルデラ底北端の水たまりのサイズが小さくなったようにも 見える. カルデラ底にある”黒色水たまり”の表面にはさざ波がたっていた.これを見て, 改めてこの水たまりの色が”本当に黒い”こと,そしてそれが”水たまり” であることを確認した. [南斜面] 3/30に確認した南側斜面の大きな亀裂は,まだ残存している.この地域は 3/19火山灰が飛散・降下堆積したと考えられているが,新鮮な火山灰が 降り積もっているようには見えない.若干カルデラリムの付近が明茶褐色に なっているようにも見えるが,光の加減によるものかもしれない. (大野)