4月9日(月) 今回搭乗したヘリは警視庁航空隊の「おおとり」6号. 同乗者は宮城磯治氏(地調)の他,1名. 神津島が大雨のため,出発が遅れる.天候の回復を待って,9時55分に 東京ヘリポートを離陸.10時50分頃三宅島上空に到達,11時15分まで のおよそ25分間観測を行った.11時27分神津島に立ち寄り,給油と 人の入れ替えを行った後,12時03分神津島を出発.さらに,三宅島の沖を かすめ通って,12時24分御蔵島に立ち寄る.再び人の入れ替えを行った後, 12時25分帰途につく.三宅島の沖をかすめ通り,13時26分,東ヘリに帰還. 観測時の飛行高度は約500m.今日は悪天候で山頂が見えなかったため, 低高度で山麓・山腹の状況を観察した.観察ルートは,島の外周を 北から時計回りに阿古付近まで.これを1.5回繰り返した(最後は 伊豆から神着の範囲しか観察できず).しかし,ゆっくり飛んで もらったため,山麓域の観察には十分であった. [噴煙] この日の雲底高度はおよそ600mで,火口からの噴煙そのものは雲に紛れて 識別できない.ただ,青みがかったミストが西に流れていた. 神津島に向かう途中で刺激臭を感じたことから,ミストの流下方向は 途中でやや北寄りに向きを変えたらしい. [山麓・山腹の状況] 伊豆,神着集落の上流部に当たる山の北側斜面と,三池の上流に当たる山の 東側斜面の中腹には泥流堆積物がたまっている.これらのうち,伊豆集落の 上流にある泥流は,中腹にある貯水池の中に流れ込んだ後,その場で 拡散しており,一周道路には到達していない.神着の上流にある泥流は, 土佐林道の最初のヘアピンカーブ付近で側方に拡がっている.一部は一周道路に 到達しているが,島内作業を行っている方々の尽力によって,路盤が確保されている (これは昨年発生したものかもしれない.未確認). 三池上流の泥流堆積物は,伊豆や神着のものと比べると分布範囲が局所的である. 葉っぱを保持した植生の隙間から,灰色の泥流堆積物が谷沿いに見え隠れする 程度である.この地域ではこれまであまり泥流堆積物を確認していなかったことから, これらは最近発生したものかもしれない. 坪田地区の上流(山の南東側斜面)には,特に泥流堆積物らしきものは 確認できなかった. 太路池の西で崩壊した一周道路の復旧作業はまだ続いている. (大野)