13年4月23日(月) 三宅島火山噴火調査 観測時間 9時58分 〜 10時25分 搭乗時間 8時59分 〜 12時27分 東ヘリ→品川→横浜→大島東沖→958三宅上空観察1025→1038神津島空港(警視庁給油,職員1名 交代)1133→新島東側→大島東側→城ケ島西→逗子→新横浜→大井町→1226東ヘリ (警視庁 おおとり1号 JA9602 クル−3名 +1名(神津島で職員交代)) 観測者   津久井 雅志   (千葉大)   中野   俊   (地質調査所)   天候:はれ  9時01分,東京へリポート発.東京は晴れているが,かすみがかかって視程良くない.横浜,葉山を 通るいつもの警視庁コースをとり,高度2000フィートで南下.9時42分モンキーベルト着用,ドアオー プン準備OK.高度を上げつつ三宅へ接近.風が弱いため,噴煙は高度(海抜)2000mくらいまでほぼ 真上に上がり,東へなびく(写真).ヘリは高度6500フィートマで上がり,噴煙の上をまたいで時計 回りに島を一周する.2周め東から南にかけて高度を3300フィートに下げて低い高度で観察.西,北 から観察する.スオウ穴の近くでイオウ臭を感じて左旋回.もう一度3300フィートの高度で南〜西〜 北から観察し,北東まで飛んで観察終了.神津島へ向う.  神津島で給油,職員交代,ガスマスク・検知器を積んだ後,11時33分離陸,(リクエストに応えて) 各島の東側を北上.逗子,新横浜,大井町上空を通って,12時26分東京へリポート着陸.ヘリはすぐ に立川へ. ○ 噴煙の様子 噴煙は白色,噴煙の高度は1800〜2000mくらい(写真1,2,3,4).西風によっ て東にたなびくが間もなく消散.風が弱いため,比較的高くまであがるが,特に勢いが良いわけではな い.噴煙の下側には淡青紫色の火山ガスは高度1300〜1500mを保ったまま地表にまでは降りず(写真 4)に空港方面を主軸として(坪田〜三池浜方向に拡散しつつ)さらに遠方へ流れている.  また,火山ガスがカルデラ内から地形的に低いスオウ穴を経て溢れ出ている(写真2,5).2周目は このガス臭を感じて,旋回.回避した. ○ カルデラ壁,カルデラ底  カルデラ壁や火砕丘,噴煙は思いのほか良く見えた(写真5以降).東〜北壁は,北東の沢の谷頭付 近も含めて,わずかながら4/16よりもさらに,壁面が崩れ,崖錐が発達(写真6).  スオウ穴西側の,北〜西壁の表面も新しい(写真6,7). カルデラ底も良く見えた.基本的には変わりはないが,南西の赤黒い水たまりが,後述の崖錐によって 埋め立てられてきた(写真10). ○ 亀裂  登山道東側,同西側(写真9)の亀裂とも残っている.西側の亀裂のカルデラ内側は大きくえぐれ, 崩壊して崖錐をつくっている(写真7,10).大島さんの4/4の指摘の通り. 天候,クルーに恵まれ,ドアオープン可,コースもよく,良く観察できた. (津久井 雅志) 写真1 北からみた噴煙 写真2 北東からみた噴煙,東へなびく白色噴煙とガスのほか,スオウ穴から北へ這いおりるガスに注 目.風向きによらず流れるガスにも要注意ということか. 写真3 南東からみた噴煙,白色噴煙は東へなびくと消散.ガスが拡散しながら風下へ.中腹に見える のは坪田のNTT中継所. 写真4 南からみた噴煙,ガス.ガスは高度1300〜1500mを保ったままで地表にまでは降りずさ東方 へ流れている. 写真5 北西からみたカルデラと火口.(高度6500フィート) 写真6 南西からみたカルデラ北西〜北東壁.(高度3300フィート) 写真7 北からみたカルデラ底,火口,西壁.登山道西の亀裂の下部が大きくえぐれて,その下に崖錐 が成長. 写真8 北からみたカルデラ東壁と火口. 写真9 西からみたカルデラ底と登山道西側の亀裂. 写真10 北からみたカルデラ底と火口.