5月7日(月) 今回搭乗したヘリは警視庁航空隊の「おおとり」8号. 同乗者は伊藤 順一氏(地調)の他,3名. 午前9時3分,東京ヘリポートを離陸.10時5分三宅島上空に到達,10時34分まで のおよそ29分間観測を行った.10時45分神津島に立ち寄り,人の入れ替えを 行った後,給油をせずに10時50分神津島を出発,帰途につく.11時39分,東ヘリに 帰還. 観測時の飛行高度は当初約950m.この高度でカルデラリムに近い位置を時計回りに 北東〜東〜南〜北西〜北の順に周回した.その後飛行高度を下げ,高度500m程の 位置で一周道路沿いを同じく時計回りに旋回.阿古上空に達した時点でそのまま 神津島へ向かった. この日はカルデラ内部にガスが充満していたため,カルデラ内部を観察することは 出来なかった.また,高度約1000mほどの位置に雲が立ちこめていたため,噴煙の 到達高度も確認できなかった. [噴煙] この日の噴煙は北北東〜北東方向に流れる.ほぼ同じ方向に,青みがかった硫酸 ミストが流されていた.三宅島に向かう際や,観測時(ドアオープンしました) に特に臭気は感じなかった.職員の方々が寝泊まりしている三宅支庁にガスが ぎりぎりかかっていない事を確認して,ちょっと安心した. [山体斜面] 最近,標高の低い所では若葉が芽吹いており,デジカメで写真を撮影すると その様子がよく分かる(赤場暁に達した泥流堆積物の中にも,緑色の点々が見える). これに対し,山腹側はちょうど植生が芽吹く直前で,泥流によって切られたガリーと 泥流による被害状況がよく観察できる.思ったより被害の大きいのが坪田の北に 位置する電波塔(NTT)付近で,この周辺の鉢巻道路はずたずたに寸断されている. また,1月に寸断されたレストハウスに向かう登山道の被害状況も露わになって おり,島内の交通網の復旧にはかなりの時間がかかりそうである. (大野希一)