13年5月30日(水) 三宅島火山噴火調査 観測時間 9時59分 〜 10時22分 搭乗時間 9時01分 〜 12時18分 東ヘリ901→芝浦→田園調布→横浜→大島東沖→959三宅上空観察1022→1034神津島空港(給 油,警視庁職員1名搭乗)1110→神津島東側→新島西側→大島東側→野島崎南沖→房総半島西岸 沖→富津岬→海ほたる→1218東ヘリ (警視庁 おおとり6号 JA6786 クル−3名 +神津島から警視庁職員1名搭乗) 観測者   津久井 雅志   (千葉大)   川辺  禎久   (産総研)   天候:くもり時々雨 コース (時間のない方は以下とばして”噴煙の様子”のところへどうぞ)9時01分,東京へリ ポート発.東京は薄曇りだが,かすみがかかって視程良くない.梅雨前線が南から北上するた め,天気は南から崩れる模様.横浜,横須賀,小網代湾を通り,雲の高さとほぼ同じ高度4500 フィートで南下,いつもの警視庁コムスよりもやや東より.大島付近で2200フィートまで降 下.霞んで見える大島の,高度300〜400m以上は雲がかかっている.さらに1500フィートまで 下げて雲を避けて飛行するが断続的に雨.9時55分三宅島が見えてくる.噴煙,ガスは北西−伊 ケ谷方面へなびく.900〜1000m以上は雲があるため,噴煙の高度ははっきりしないが海抜 1500mくらいか.9時59分神着に接近.雲のためカルデラ内の観察は厳しいと思ったが,機長は “近づいてみましょう“.1875年火口列に沿ってスオウ穴に接近.飛行高度700〜800m,雲と スオウ穴〜カルデラ東縁の間に機体をねじ込むようにして,カルデラ東縁をかすめて南下.カ ルデラの中が見える!南麓へまわり,レストハウス近くで旋回.神着までもどる.計3回北〜東 〜南を観察する.開けてくれた小窓と半球状に張り出した窓から川辺さんと交代で観察.しか し3回めはカルデラ内は噴煙のため全く見えず.10時22分レストハウス上空で観察終了し,神津 島へ.給油後,機長が交代して神津島東,式根島−新島間,新島西側を北上.利島の手前,鵜 渡根島で旋回し,1万800フィートまで上昇.雲を避けるためとのこと.大島の東上空から雨雲 の隙間をさがしつつ,エアライン空域を避けて東へ向い降下し,野島崎沖に出る.房総半島西 岸に沿って北上.富津岬から海ほたるを経て東ヘリへ.木更津で羽田着陸の航路を横切るのは “気持ち悪い”とクルー同士の会話.東京湾内を縦断する消防庁コースを警視庁ヘリは飛ばな い(飛んだことがない)ようだ.12時18分東京へリポート着陸.ヘリはすぐに立川へ. ○ 噴煙の様子 900〜1000m以上は雲がかかって観察しにくいが,噴煙は白色,高度は海抜 1500mくらいか.北西にたなびく(写真1).南麓へもカルデラから溢れている.噴煙量は多 め.火山ガスは噴煙の下側に地表にそってはいおりる(伊ケ谷方面)(写真1,2).帰路,式 根島〜新島付近で(整備員氏と川辺さんは)ガス臭を感じたという(津久井は鈍感でよくわか らなかった). ○ カルデラ壁,カルデラ底  観察できた範囲では,5/27に降灰があったにもかかわらず,カルデラ底の様子は大きな変化 は認められない(写真3,4,5,6).カルデラ東側に白色の崩落物が拡がっている.これは大 島さんの4/27報告の“赤い岩なだれ”の下の崩落物か?(あとから写真を見ると4/23津久井報告 写真10にも,すでにあるようにもみえる). 北東壁の表面は新しいので頻繁に崩落しているの だろう. ○ 5/27早朝の降灰の様子  カルデラ東縁はいつもより白っぽく,山腹も白い.カルデラ縁近くの無線中継所も灰をか ぶっているように見える(写真7).しかし,ヘリ観測からは,空港の滑走路上では降灰を確認 できない(写真8).路面が雨によって湿って見にくいせいもある. ○ 亀裂  登山道東側,同西側等の亀裂は,観察条件が良くないため確認できず. 短い観測時間内にも作業車両を5〜6台確認できた. 11時半すぎに有感の微動があったとのこと. 天候不良の中,クルーの判断,操縦は見事.観察のための配慮に感謝. (津久井 雅志) 写真1 北からみた噴煙.噴煙,ガスは伊ケ谷方面へ. 写真2 南西(手島牧場上空)からみた噴煙,北西へなびく. 写真3 スオウ穴上空からみたカルデラ内の様子. 写真4 カルデラ北東上空からみたカルデラ内の様子.東側(左手)から白く崩落物がみえる. (これは大島さんの4/27報告の“赤い岩なだれ”の下の崩落物か?) 写真5 カルデラ北東上空からみたカルデラ底西側の様子.大量の降灰がカルデラ内にあったよ うには見えない. 写真6 カルデラ北東上空からみた火口の様子. 写真7 南東からみた山腹の様子.中継所付近の降灰を認めることができる(ただし今回の降灰 がどの程度寄与しているかは不明). 写真8 三宅島空港滑走路.雨で路面が湿っているせいもあって降灰を確認することは困難.