13年7月09日(月) 三宅島火山噴火調査 観測時間 14時19分 〜 14時51分 搭乗時間 13時20分 〜 16時40分 東ヘリ1324→田町→田園調布→横浜→大島東沖→1419三宅上空観察1451→1503神津島空港(給 油,警視庁職員1名交代)1534→神津島東側→新島西沿い→大島空港上空→横須賀の航空標識→ 横浜→1639東ヘリ (警視庁 おおとり7号 JA17MP クル−3名 +警視庁職員1名(神津島で交代)) 観測者  津久井 雅志(千葉大)  川辺  禎久(産総研)  井田  喜明(東大震研) 天気 晴れ コース 午前は訓練のため,午後からのフライトとなる.本日は井田噴火予知連会長も同乗. 御進講に備え,現地視察とのこと.13時24分,東京へリポート発.東京は晴れだが,かすみが かかって視程は良くない.暑いため高めの高度6500フィートで南下.大島付近も霞んで見え る.14時08分三宅島が見えてくる.噴煙,ガスは海抜1500mまで上昇して西方−阿古方面へな びく.遠くからは噴煙に勢いがあるように見えた(,が実はそれほどではなかった). 14時19 分,湯の浜漁港付近に接近.時計回りにカルデラに沿って(高度3500フィートくらいで)まわ る.ドアオープン.村営牧場方向に噴煙,ガスが流れているため,高度5000フィートまで上昇 する.そのまま噴煙の上を超えてカルデラの廻りを飛行する.噴煙の排出量は少なく若干のガ スの滞留はあるものの非常に良くカルデラの観察ができる.計2周したところでスオウ穴付近か ら高度を下げ山麓へ,レストハウス付近で旋回,今度は反時計回りで海岸沿いにまわる.伊ケ 谷から上昇,噴煙をこえ,そのまま反時計回りに高度6000フィートで山腹を飛んで,伊豆上空 で観測終了.  神津島で給油と職員交代の後,新島西岸,大島上空を5500フィートで北上.16時39分東ヘリ に帰還,ヘリはそのまま立川へ. ○ 噴煙の様子 白色で,海抜1500m位まで上昇する.東風に流されて,ほぼ真西の阿古方面 へ(写真1,2).パルス状にやや高く上昇し,勢いが良いように見えた(写真1,3)が,カル デラ内の火口からの噴出量は少ない(写真4). ○ 降灰の可能性 スオウ穴の西側と,東側(地獄谷方向)が埃っぽい(白っぽい;写真3)(7/ 7の大島さんの報告にもあるとおりだが,報告を知る前に私も同様の印象を持ったので確からし い).最近降灰があった可能性が高いが,上空からの確認は困難. ○ 主火口の様子 噴煙の量が少なく良く見える(写真4).本日は奥の火口からの排出が主. 背後のカルデラ壁の崩落のためか,粗粒の岩塊が火砕丘西側斜面を覆う. ○ カルデラ壁 昨7/8夜から大きめの微動や空振があったとのことであるが,大きな変化はない (写真5,6).ただ,スオウ穴の西側は比較的新しくやや規模の大きい崩落があったようで, 壁が後退している(写真5). ○ カルデラ底 観察できた範囲では,カルデラ底の様子は大きな変化は認められない(写真7,8).西の赤黒 い池は背後のカルデラ壁の崩落でやや小さくなった.北側の緑色の大池も火砕丘からの砕屑物 の供給(“泥流”の流れ込み)を受けて(写真7,)縮小したように見える. ○ 亀裂  カルデラ南西登山道西側等の亀裂も一部は残っている(写真4だが判読困難か?).登山道東 側亀裂は噴煙で確認できず. 久しぶりのカルデラ内が非常に良く観察できたが,大きな変化はなし.午後の観察のため,カ ルデラ東壁が良く見えたのだが,正面からの光なので平板. (津久井 雅志) 写真1 北からみた噴煙.噴煙,ガスは阿古方面へ. 写真2 南西山腹からみた噴煙,ガス.村営牧場方面を西へなびく. 写真3 北からみた山腹.スオウ穴の右側(カルデラ北側)と左側(カルデラ北東)が白っぽ い.降灰があった可能性がある. 写真4 カルデラ北上空からみたカルデラ内の様子.噴煙が少ないため主火口が良くみえる.噴 煙のかかっている最も手前に亀裂が見える. 写真5 カルデラ南東上空からみたカルデラ北壁の様子.スオウ穴の左側カルデラ壁の後退が目 につく. 写真6 カルデラ西上空からみたカルデラ東壁の様子.八丁平カルデラを埋めた堆積物が壁面の 上位1/4位を占める.北側の緑色の大池に向い火砕丘から“泥流”が流れ込んでいる. 写真7 北西上空からみたカルデラ底の様子. 写真8 東上空からみたカルデラ底の様子.