7月11日(水) 今回搭乗したヘリは警視庁航空隊の「おおとり」7号. 同乗者は伊藤 順一氏(地調).他6名の搭乗者がいたが,そのグループは別の ヘリにて移動.神津でこのヘリと合流したが,搭乗者が三宅島で降りたのか 神津島で降りたのかは不明. 午前9時4分,東京ヘリポートを離陸.9時55分三宅島上空に到達,10時51分まで のおよそ56分間観測を行った.11時00分神津島に立ち寄り,給油後,11時43分 神津島を出発,帰途につく.12時30分,東ヘリに帰還. この日は俗に言う”島曇り”で,海上はきれいに晴れていたものの,三宅島は 村営牧場のちょっと上あたりから厚い雲に覆われており,カルデラ内部や山腹 斜面を観察することは出来なかった. ヘリは島の北側から近づく.高さ300mほどの高度で中腹域を反時計回りに旋回. ほぼ同じ高度のまま,向きを変えて時計回りに島を旋回した後,高度を上げ, およそ2400m付近から島の中央部を時計回りに2回ほど旋回.さらに高度を下げ, 唯一雲の切れ目となっているスオウ孔方向から,地上すれすれの高度で カルデラ壁の縁まで何度かアプローチを試みるが,失敗に終わる. [噴煙] この日は雲と噴煙の厳密な区別はできなかったが,雲の北北東〜北東方向に 青みがかったミストを含んだ噴煙が流れていく様子が確認された.ミスト混じりの 雲は,ヘリの最高到達高度(2400m)付近まで立ち上っており,非常に活発な 印象を持った.三宅支庁はこのガスの流下方向からは外れており,ひと安心である. [山麓] 数日前に小噴火があったという報告をうけ,山腹域を低い高度で旋回する際に降灰の 有無を観察した.スオウ孔付近を地上ぎりぎりの高度で上昇していく際,確かに 斜面が白っぽいという印象を持った.7/9津久井さん撮影の写真によると,降灰が スオウ孔の付近に認められた可能性があることから,この白っぽいものが降灰である 可能性が高い.降灰のもう一方の分布域にあたる島の北東斜面は,今回は噴煙の 流下方向にあたるため,詳細な観察はできなかった. (大野 希一)