2001(平成13)年8月1日(水) 1.観測支援: 警視庁ヘリ 「おおとり2号」 JA6635号機         クル−4名と我々観測員2名に大久保さん(震研重力)。         立川より飛来、三宅観測後、新島で給油。 2.搭乗観測者: 川邊(産総研)・大島 3.天候・飛行コース・時刻等 :  東京〜陸部は曇りがち。洋上は風弱くべた凪、視程よくなく靄がち。三宅島は南西斜 面に雲かかるも山頂は雲なく薄晴れ。カルデラ全体を見ることができたが、もやって スカッとはせず今一つ。風弱く白煙はモワーと東へ。 重力計データ回収&メンテの大久保さんを三宅中学仮設ヘリポートに降ろした後、上 空観察。新島で給油後、大久保さんを「回収」、帰投へ。重力の方はうまくいったと のこと。  搭乗時間 09時05分 〜 13時17分頃   観測時刻 10時25分 〜 10時55分 (約30分間) 09:05 東京ヘリポートにて搭乗。   09:17 移動開始、    09:19 離陸、北向き。      視程不良のため都心部はいつもより北寄りのコースで    〜 箱崎 〜 東京駅 〜 お堀 〜 神宮外苑 〜 駒場! 〜 丸子橋上 流 〜 新横浜 〜 逗子から海上へ 〜 城ケ島西 〜 伊豆大島東方 〜 (視程よくなく、大島はやっと見える。何と大島以南の外洋に赤潮の帯多数。)安定飛行 10:10 三宅島接近。島の下半分うす靄の中だが上は一応全体が見える。白色噴 煙は約70度で上方に上がり、東にたなびいている。高さは島の2倍、ゆえに約1500m。 10:19〜20 三宅中学仮設ヘリポート、大久保さん降機。       北西〜西海上を上昇、西側からカルデラ接近、 10:25 牧場レストハウスを1旋回して高度をとり時計回り観察飛行に入る 10:26 右ドアオープン、 1〜2回目: 高空(5000 ft) 鉢巻き道路沿い上空からカルデラ全体を俯瞰(南 西〜北)スオー穴まで、 3〜4回目: 中空(3000 ft) カルデラ縁沿いからカルデラ内観察(南西〜北) スオー穴まで、 10:46 スオー穴離脱。左旋回後高度を下げながら反時計回りに北〜西〜南西斜 面を下り 10:49 阿古。ここからは雲の下、高度約300mを都道沿いに大路池まで 10:52〜10:55 大路池〜錆ケ浜港を海岸沿い、前半ドアオープン。 10:56 阿古より離脱。観察終了、新島へ向かう。 11:09〜11:12 東側から新島着陸、エンジン停止。(給油) 11:52 エンジン始動、  11:57 東向きに新島着陸 12:12 三宅中学仮設ヘリポート、大久保さん搭乗。    〜 伊豆大島東方 〜 城ケ島西 〜 逗子南から内陸へ 〜 往路よりやや 東寄りコース 〜 13:17頃 東ヘリ着陸、ヘリは立川へ。 4。 観察事項 4−1. 噴煙 噴煙は弱い西寄りの風で火口から約70度上方に上昇、東側へ流されている。白煙。 噴煙高は北の洋上から見て島の高さのほぼ2倍、ゆえに約1500m。10時台と12時台の 2回で殆ど不変。 噴煙量は、最近の中程度、排出に力強さを欠き、一般にモワーと上がる。 青白ガスは風が弱いためか広く拡散、臭いはスオー穴付近でも感じられた。 4−2. 火口 特に変化はない。以前に較べて噴煙量が減ったため、また噴煙排出位置が東寄りに変 わったためかつての活発な火口跡が見やすくなっている。現在の主な排出点(vent)は 南東奥の火口(S2(〜3?))と旧主火口(N1)の南東端。このため噴煙はよく 見ると2本に見えることもある。前者の方が大。不活発になった火口内壁には硫黄が 付着している。 かつての北西噴気帯からの白煙は更に減衰したが、5本くらいは小規模にあがってい る(100m以下)。 4−3. カルデラ底 約2ヶ月間見ていなかったので個人の目に変りようは大きいが、最近特に変化があっ たわけではない。 北池は相変わらず大きい(相変わらずきたないオード色)が、西池(黒池)は大分細 長く(小型に)なった。南側から埋まった感。 中央の(火口丘北麓の)湿地帯状小池群は、大分干上がった感じで水浸しの様子はない。 東側にその後新たな「岩なだれ」堆積物は目につかない。 北北東側スオー穴下の崖錐が発達している。スオー穴西隣のカルデラ壁が継続的に崩 落していることによる。この崩落ダストのためか、カルデラ底およびカルデラ壁は全 体にオード色のほこりを被ったようで色調の鮮やかさに欠ける。 4−4. カルデラ縁と斜面上部 約2ヶ月間見ていなかった割には変化が少ない。 カルデラ縁の南西〜南地割れは健在。以前に較べて多少スリム化しているかも(詳細 比較はまだ)。 西南西縁の大地割れもまだ1/3強程度残っている。小刻みな地割れは増えた。 スオー穴西隣のカルデラ壁が継続的に細かく崩落しているらしい。観察飛行中、常時 オード色の土煙をあげ、視程を悪くしていた。 スオウ穴の水は再び空色に戻っている。 今日は火口が見えたため、カルデラ外の周辺状況まであまり目が届いていない。 4−5. 周辺状況おちぼひろい 目立った自然変化はない。人の手による変化が目立つ。 牧場東側はヘリコプターによる種まきのため、不自然に緑がかって見える。 南都道の仮設橋、すいすいと車が通る。上方の谷は細いが深くえぐれているよう。集 水面積は広い。今のところはよいが今後溶岩塊をえぐり出すようになると考えもの。 大路池西の廃車バスの埋まった泥流扇状地も新しい仮設橋を車がゆく。 大路池、ほぼ元通りの静かなたたずまい。  (大島 治)