三宅島火山噴火調査 観測日時等 13年8月20日 観測時間 10時21分 〜 10時41分     搭乗時間 9時30分 〜 12時06分                 東ヘリ934→恵比寿→新横浜→城ケ島西側→大島東沖→1021三宅上空観察1042→ 1054神津島 空港(6名降機,8名搭乗)1100→1110新島空港(3名搭乗)1115→大島東上空→横浜→ 1233東ヘリ (警視庁 おおぞら2号 JA9678 クル−4名+災対職員・三宅署長ほか署員(往6名,復11 名)+松島・津久井) 3.観測者氏名   津久井  (千葉大)   松島   (産業技術総合研究所) 4.天候状態(概況)   薄曇り〜三宅上空曇 5.飛行経路・高度 昨夜の船が欠航になり職員の交代をヘリでするため.大型機に機体変更.そのため出発30分遅れ る.9時33分,東京へリポート離陸.東京は薄曇り.視程よい.大島は標高700m以上に小さな 雲あり,大島上空からは雲の上に富士山が見え,利島,新島も見えた.が,大島以南は台風11号 の影響でうねりが大きくなり,白波もたつ.神津島,三宅島には高度1100〜1200m以上に雲. 10時21分神着上空に到着.北西からカルデラに接近,カルデラ縁に沿って高度800mで北→東→ 南西を2往復し観察.神津島,新島で職員の乗降をして,12時4分東京へリポート帰還(給油な し).ドアオープンは想定されていない大型ヘリだったが,往復ともカルデラ側のドアをオープ ン.松島さんが熱赤外映像撮影. 6.観測結果 ○ 火口・噴煙 噴煙,ガスはカルデラ内に滞留し,火口上に上がると,風に流され西(阿古方 面←笠地付近〜ゴミ焼却場)方面に流れる.海抜1000m程度,ほぼ雲の底までまで上昇してい た.噴煙は白色.火山ガスは斜面に沿って下っていた(写真1,2).また,一部は地形的に低い スオウ穴から溢れだすものもあった.松島さんの測定によれば火口内の最高温度は120℃とのこ と.ただし,滞留していた噴煙・ガス越しであること,火口正面ではなく,北〜北東の低い高度 からの測定であるため,実際よりも低めの見積もりと思われる. ○ カルデラ内 噴煙,ガスはのため大変見にくい(写真3〜6).大きな変化はないが,南東壁 からの“岩なだれ?”が堆積している(写真4).8/6の大野さんの報告の写真3にもよく見えて いる.これは(7/9にはなかったように見えるので)比較的最近のものと思われる.3月,4月こ ろにも同様の“岩なだれ”があり,ほぼ同じような場所に堆積しているようだ.スオウ穴の西壁 が崩落して崖錐の上をすべり台のように落下して(写真5)展開している(写真5). ○ カルデラ縁南 今まで気付かなかった割れ目がへりに沿って認められた. ○ 雄山へ登る林道に堆積した噴出物が随分薄い(写真7)ので,雨に流されたのかと思った ら,観測点の復旧のための啓開が進んだ,とのこと. ○ 姉川上流のダムの土砂の浚渫が進んだ模様.ほぼ,カラになっている.(写真8) ○ 重力班の作業が当初予定されていたが,とりやめ. 写真 1 南山腹から火口をみる.噴煙は火口上100〜200m上がり,西へ流される. 写真 2 南山腹から阿古方面を見る.ガスが斜面に沿って流れ下っている. 写真 3 北東からカルデラ内を見る.火口の様子は見にくい.北の大池の左まで“岩なだれ” が堆積している. 写真 4 南東壁(左上)から流れ下った“岩なだれ?”堆積物.(カルデラ北東) 写真 5 スオウ穴から崩落物が崖錐斜面を流れ下っている.(カルデラ北東) 写真 6 崖錐斜面を流れ下った崩落物はカルデラ底で展開している. 写真 7 カーブより下の林道上の堆積物が薄いと思ったら,観測のために啓開したとのこと. 不自然な緑色は播種のため. 写真 8 姉川上流のダムが浚渫されて,カラになっているように見える. (津久井 雅志)