13年8月27日(月) 三宅島火山噴火調査 観測時間 10時04分 〜 10時28分 搭乗時間 9時06分 〜 12時47分 東ヘリ910→芝浦→横浜東→大島東沖→1004三宅上空観察1028→1036三宅中ヘリポート1038→ 1054神津島空港(給油)1149→神津島西側→新島西側→大島空港→横須賀VOR→みなとみらい21東 側→丸子橋→1248東ヘリ (警視庁 おおとり3号 JA6704 クル−3名 +警視庁職員三宅島まで5名搭乗,神津島で1名交代) 観測者   津久井 雅志   (千葉大)   川辺  禎久   (産総研)   天候:くもり時々雨 コース 山里さんからの連絡は“とりあえずヘリポートまで行って下さい.中止の可能性が高いです が”.しかし,ほぼ予定通り飛ぶことになる.9時10分,東京へリポート離陸.東京は曇りだが,視程 良くない.“天気は午後から崩れるので早く帰ってきましょう“とクルー同士の会話.いつもの警視庁 コースよりもやや東より.雲を避けて高度を4500フィートから上下して南下,大島は400〜500m上 は雲がかかっている.10時,三宅島に近づく.風が弱いため噴煙,ガスの流れる向きがはっきりしな い.東に流れているか? 高度800m以上は雲があるため,噴煙高度は不明.10時04分伊豆に接近.反 時計回りに西〜南山腹を経て坪田へ.雲は低いが,東からカルデラ内の観察を試みることにする.東〜 北東側から地獄谷沿いにカルデラ縁に接近.瞬間見えた!高度800m程度で坪田〜赤場暁〜カルデラ東 縁を計3回繰り返す.あわせて 5〜10秒×3回,カルデラ内を観察.(本日は天候が優れないことと, 同乗者多数で整備員氏がドア扱いできないため?ドアは開けない)その後は,台風の後の泥流の状況を 観察するため,海岸に沿って,高度300m程で時計回りに一周し,大路池南方で観察終了(10時28 分).旋回し,反時計回りに三宅中ヘリポートまで飛び,職員5名を降ろして,神津島へ.給油後,職 員1名が交代して12時48分東京へリポートへ帰投.ヘリは立川へ. ○ 噴煙の様子   噴煙は白色,800m以上は雲がかかっているため,上昇高度は不明(写真1).大島さんの8/24の報告 では2300mまで上昇していたとのことだが本日は不明.噴煙は多めであるが,特別勢いがよいようには 見えない(写真2).噴煙・火山ガスは風が弱いためたなびく方向ははっきりしない.カルデラ縁・東麓 を高度700〜800mで旋回している時にクルーの一人が1回,硫黄臭を感じたといっていたが,津久井は 気がつかなかった. ○ カルデラ壁,カルデラ底 観察できた範囲では,北の池,西の池の他に小さな池(湿地)が数多く見られた(写真3).台風の影響 もあるかも知れないが,すでに8/6(大野さんの写真3),8/20(津久井の写真4)にもみられる.基本 的にはカルデラ底の様子は大きな変化は認められない.スオウ穴の下(写真4),西の池の背後(写真 2)に崖錐が着実に発達しているようである. ○ 泥流の様子 台風11号による三宅島の降水量は88mmとのことであるが,ヘリコプターからの観察では,目立った泥 流は,(発生しなかったか,すでに除去されたかは不明であるが)現在残っていない.もちろん芦穴,タ ツネなどに架設された橋にも問題はない.赤場暁付近と,阿古鉄砲場(1983年溶岩流付近)の写真をつ けた(写真5,6).  観測時間内にも作業車両が頻繁に往来しているのが確認できた. (津久井 雅志) 写真1 北(伊豆付近)からみた山頂付近の様子.700〜800m以上に雲がかかる. 写真2 カルデラ縁東側からみた火口の様子.噴煙の量は少なくないが,勢いがよいわけではない.西の 赤黒い池の背後の崖錐が大きくなっている. 写真3 カルデラ縁東側からみたカルデラ底の様子.西の赤黒い池,北の緑色の池のほかに小さな池が多 数見られる. 写真4 カルデラ縁東側からみたカルデラ底北部の様子.スオウ穴の下の崖錐が発達. 写真5 赤場暁を北側から見る.目立った泥流は都道上には残っていない. 写真6 阿古鉄砲場の様子. 1983年溶岩流の上に泥流の跡が灰色に見られるが,今回のものかどうかは 確認できない.ヘリの上からは,都道の上に顕著に泥流が残っているようには見えない.