9月25日(火) ヘリコプター:海上保安庁「しきしま」搭載ヘリ「うみたか」 観測搭乗者:下司・金子(東大地震研),中堀・高田(気象庁) フライト: 午前11時30分,羽田航空基地を離陸.横浜港-城ヶ島東-大島東を経 由. 12時20分ごろ三宅島付近に到達,観測開始.噴煙を避けつつカルデラ外側を西 -北 -東と往復しカルデラ内外の観察を行う.その後,COSPECによる二酸化硫黄量 観測.三宅島の南東沖5〜7マイルを,噴煙をくぐりながら3回測定.13時25分観測 終了・三宅島離脱. 13時58分,給油のため大島東沖を航行中の巡視船「しきしま」 に着船. 14時40分離船し, 15時18分羽田基地着陸. 天候: 天候は快晴だが霞がかかっているため視程はあまりよくない.海上は白 波は見られないが南東からの大きなうねりがある.風は弱い北西風(3500ftで 5kt程度). 噴煙の状況: 噴煙量はかなり少ない印象を受ける.カルデラ内主火口から白色 の細い噴煙がカルデラ壁を越えてゆっくり上昇する.噴煙高度は最大2000m(海抜) で,観測中ほぼ一定の高度を保っていた.島の上空で噴煙が滞留し塊状の噴煙と なり,ゆっくりと南東に漂う.青白いガスが白色噴煙から分離して漂っているが, 今年の夏前までに比べればその量はかなり少ない.噴煙・火山ガスは一度高く上 昇してからゆっくりと風下へ流れるため,COSPEC測定中に噴煙の下をくぐる時に もガス臭は感じなかった. カルデラの状況: カルデラ輪郭に大きな変化はない.カルデラ西縁にある,5月 中旬に北半分が崩壊した落ちかけのブロックなどが崩壊せずに残存していること から,カルデラ壁の大部分は一応の安定状態にあると考えられる.カルデラ内の 地形にも大きな変化は見られない.すおう穴西側カルデラ壁の小規模崩落は依然 継続しているらしく,小量の土ほこりが上がっているのが見られた.昨年冬から今 年春にかけてすおう穴直下に形成された大きな崖錐は,カルデラ壁に沿った部分 が流水によると思われる再侵食を受け,縮小しつつある. 火口の状況: 噴煙量は少なく,主火口周辺の状況を観察することが出来た.外 側火口底にはほぼ全面に硫黄が付着している.火口地形に顕著な変化は見られな い.外側火口底の中央には顕著な噴気孔が存在し,青白い透明な火山ガスを噴出し ている.内側火口からは白色噴煙が連続的に上昇するがその量は少ない.主火口 周辺の噴気帯の位置・規模などに大きな変化なし. (下司信夫) 写真1:北側からみた三宅島と噴煙.ゆっくりと南東方向にたなびく. 写真2:北西からみた主火口付近. 写真3:東から見た主火口付近とカルデラ床の池群. 写真4:東から見た主火口アップ. 写真5:すおう穴周辺の垂直写真.すおう穴直下の侵食されつつある崖錐が見える. 写真6:COSPEC越しにみる三宅島.三宅島南東の海上より.