10月4日(水) 大野 午前9時に警視庁のヘリにて東ヘリを離陸.本日の同乗者は 山元孝弘氏(地調).今回乗ったヘリは「おおとり」です. 9時57分に三宅島上空に到達し,観測を始めました. まず,一周道路の上空から雄山を観測,山麓の状況を目視観測しました. 今日は雲が山頂からやや高い位置に点在していて視界が遮ぎられてしまい, 山麓の詳しい状況はわかりませんでした. 雲の隙間から見た山麓周辺の観察結果は以下の通りです; ・島の北東域(あかばっきょうの上流)にある貯水池が鉄錆色に変色している. ・一見した限りでは,新たな泥流や火山灰の降下は認められない. 今日の噴煙は北方向に流れていました.今日は青みがかった硫酸のミストが非常に 顕著に観察されました.気象庁によれば,この日の硫黄放出量も1万トン/dayに 達するレベルを継続しているらしいです. 山麓の観測の後,高度をあげ,カルデラ内部の地形観測を試みました. 航路はカルデラの北北東から東を反時計回りに3回回転しました.当初は 飛行高度が低すぎて(〜1500 ft)カルデラの中が確認できなかったため, 途中で飛行高度を上げて(〜5000 ft)観測を試みました. カルデラ内部の観察結果は以下の通りです; ・カルデラ内部に認められた大小さまざまなサイズの水たまりは,9/30の時に比べ  成長している. ・カルデラ北端にある複数の水たまりはくっつき合い,一つの大きな水たまりに  なった. ・9/30現在,普通の”陸水色”であったカルデラ北端の水たまりが赤褐色に変色した.  色の毒々しさはスオウ孔に迫る勢い. ・カルデラの北〜北西斜面の一部が最近崩壊したらしいが,今回のフライトでは  その痕跡を確認することは出来なかった. ・火砕丘からの火山灰放出の状態は,9/30の時から変化なし(常に出っぱなし). ・火砕丘以外からの噴気の位置はよくわからない. カルデラ内部の地形観察の後,飛行高度を上げて噴煙の到達高度を求めました. 今日はここ数日間では最も高所まで噴煙が上がっているようです. 噴煙は山頂付近の雲を突き抜け,高所まで達していました.この噴煙の色は白. またこの白噴煙より低い位置に,青みがかった硫酸ミストが広く薄く 滞留していました.噴煙を遠望すると,噴煙は高所まで達する白色の水蒸気と, 相対的に低所に拡散する硫酸ミストの2層に分かれます. 白色噴煙の最大到達高度はおよそ8000 ft(〜2500 m),また硫酸ミストの 拡散する高度は3000〜4000 ft(1000 m< height <1500 m.ちょっと自信ない) でした. 10時55分まで観測を続け,その後東ヘリまで戻りました.