10月6日(金) ヘリコプター:航空自衛隊・入間(UH-60J) 搭乗者:大野.金子,中野(地調) 午前8時57分,入間基地を離陸,9時48分,三宅島上空着.噴煙の高度は海抜約1500m, 白色で,南に流されている.青白いミストが南斜面を這うように流れくだり,大路池と七島 展望台の間の領域に漂い海上に達している.降灰は認められない.噴煙のある南側を避け, 東〜北〜西側からカルデラ内を観察する(ちぎれ雲はあるものの,ゆっくり飛行できたため, 内部を詳しく見ることができた).カルデラ内部の状況に大きな変化はない.火口付近も9 月末と同じ.ただし,中央付近にある2つの小火口の周りに,イオウと思われる黄色い物質 が析出しているのが認められる.また,噴煙で観察が困難であるが,南側カルデラ壁の一部 も黄色くなっている模様.コーン基底部の水泥の領域はやや拡大中.水泥は,火口から細い チャネル(ガリ)を伝わって,流れ出しているように見える.この領域の先,以前からの水溜 りとの間に,バナナ型をした新しい水溜りができている(水泥の上水が低地に流れ込んだ). この水の色は緑であるが,以前からの2つの水溜りは,赤褐色になっている(9月30日より). マウンドとカルデラ壁の間にも,小さな水溜りができている(赤褐色).マウンドは,周囲 より10m程度高く見える.高さの変化は不明.表面はやや赤い.割れ目や噴気はない. TVS-600で火口底内の表面温度測定を行う.結果は, ・噴煙(主火口の噴煙出口):最高151℃ 以前と比べ変化はない. ・マウンド頂上部:最高30℃ ・マウンド中腹部以下:26℃マウンドの中央は周囲より,3-4℃温度が高くなっている.ま た,この付近,カルデラ床と壁の間付近に,円周に沿って,線上に温度が高くなっている部 分がある(最高34℃).マウンド内外の熱異常は,太陽光による加熱のみが原因とは考え難 い. ・水溜り:19℃ 最後に島を一周する.一周道路は,三七山,赤場暁,大路池付近での泥流に加え,一部で冠 水しているのが認められる.南側でミストの下をくぐる.イオウ臭がするものの,探知機の 数値は0. 10時50分観測終了. 11時47分,入間基地到着. (金子隆之) 0857に入間基地を飛び立ち、およそ50分のフライトの後、 観測を始めました。この日の同情者は金子たかゆきさんと 中野さん(地調)。 この日の噴煙の流れた方向は南〜南南西。到達高度は1500m以下で、 非常に低い。地をはうような硫酸ミストが常時観察されました。 この日は勇敢なパイロットと機長に恵まれ、これまでにない 好条件でカルデラの中を観察できました。 カルデラ内の観察で気が付いた点は以下のとおりです; ・カルデラ北西側にちょっとしたマウンドが認められる。 ・マウンドの南側には最近できたと思われる陸水色の水たまりがある。 ・噴気を出している火口のうち、幾つかの火口は放出された硫黄 によって黄色く色づいてみえる。 上記記載は、すでに気象庁に報告済みです。 (大野希一)